gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

瀬尾まいこ他『Re-born はじまりの一歩』(最初の4編)

2008-05-05 18:39:41 | ノンジャンル
 瀬尾まいこ、豊島ミホという私の好きな作家が書いた短編が載っているということで読んだ、7人の作家の短編を集めたアンソロジーです。書いているのは宮下奈都、福田栄一、瀬尾まいこ、中島京子、平山瑞穂、豊島ミホ、伊坂幸太郎の各氏です。
 宮下奈都「よろこびの歌」は、声楽の道をめざして志望校に落ち、普通科の高校に通うようになった主人公の女性が苦悶する様子を描いたもの。
 福田栄一「あの日の二十メートル」は、頭の中をからっぽにすることができるので毎日プールに通う克彦が主人公。ある日老人に泳ぎを教えてやると、お礼に克彦の大好きなカレーをご馳走になります。その日から老人相手のレッスンが始まりますが、ある日老人の孫に見つかり、老人が重大な心臓疾患を抱えていて運動を禁止されていることを知ります。しばらく老人の姿を見なくなったので、ご馳走になっていたカレー屋を訪ねると、店主が伝言をもらってると言い、しばらくすると老人がやってきて、小さい頃にとてもよくしてくれた兄が溺れ死ぬのを助けてやれなかったことがこの年になって急に悔やまれるようになり、人を助けるぐらい泳げるようになりたくてレッスンを始めたと言います。その後は、家族に気付かれないように別のプールで練習を再開し、老人は目標の20mを泳げるようになります。克彦は「物事を始めるのに遅すぎるということはない」という老人の言葉に触発されて、今行っている不本意な大学を辞め、行きたい大学を目指し、受験勉強を始めるという話です。
 瀬尾まいこ「ゴースライター」は、「戸村飯店青春100連発」の最初から兄が東京に出るところまでと全く同じ文章でした。
 中島京子「コワリョーフの鼻」は、三人の主婦が食品偽装、消費・賞味期限の話をしていて、結局頼りになるのは自分の鼻だという結論にたどりつくのを聞いていた主婦である私の話です。前日には2~300年後には人間の鼻が地球温暖化の影響でなくなるという話を聞き、その話でゴーゴリの「鼻」という小説の話になります。この話では八等官のコワリョーフの鼻がポロンと落ち、カザンスキイ大伽藍の前で鼻と再会し、鼻はパリッとした服装で五等官と名乗ります。夫は実際に過去には鼻で歩く動物が存在し、この小説もフィクションとは言い切れないと言います。パート先では、昔の中国では刑罰で鼻を削いだと聞かされます。実は私は結婚前に隆鼻術を受けていて、最近ガタが来ているのですが、治すのに60万もかかると言われ悩んでいました。私は「鼻」の小説でコワリョーフからとれた鼻というのは隆鼻術で鼻に入れるシリコンだったという説を夫に言うと、君の鼻にもシリコンが入っていることは知っていたと言われ、45万は僕が出してあげると言ってくれ、私は泣きます。そして1年後、私の鼻は美しく真ん中に収まったという話です。

 と今日は前半の4作の紹介にとどめておきます。残りの3作については明日紹介します。お楽しみに!