海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「ロンドン警視庁は、この男を捜している」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2005年07月10日 | テロリズム
ロンドンのテロには、ある顔がある。「警察は、私がどこにいるか、私の電話番号がどれか知っているよ」とモハメッド・アル・ガルブジは、一年前にイギリスの『ガーディアン』紙に語った。「私は森に隠れたりはしない。彼らが証拠を持っているというなら、それを出すべきだ。」だが、アル・ガルブジはそれを待ってはいなかった。数ヶ月前、この45才の男はロンドン北部にある彼の低所得者住宅を出て、地下に潜った。先週木曜日以来、警察はこの六人の子供の父親がロンドンの爆弾テロに関係していると言う疑いを持っている。警察は、このもともとよく知られた人物を世界中で追跡している。何年も前からこの商人は国際的イスラム主義テロの出張販売員であると疑われてきた。
モロッコに生まれたアル・ガルブジは、1974年に父について英国に来た。この島国がこのホテル業者の家族の新しい故郷になった。今日も、彼の4人の兄弟と3人の姉妹はイングランドに暮らしている。外国にいながら、若いアル・ガルブジの眼差しはモロッコ国王ハッサン2世の腐敗した政権に対して敏感になった。宗教的な人々は、独裁君主に対してもっとも強力に立ち向かった。ロンドンで、彼は憎悪の説教者アブ・カタダの下で学び、髭を蓄え、援助の荷物を届けると称して、しばしばパキスタンに旅行した。しかし、目撃者の報告によると、彼はアフガニスタンでアルカイダの指導者オサマ・ビン・ラディンの訓練センターに入ったり出たりしていた。この報告に驚いて、英国の追跡者は彼の電話を盗聴した。
彼らが聴いた内容ではなくて通話の相手が危険を知らせた。去年5月に起こったマドリッドの爆弾攻撃の首謀者ジャマル・ツーガムがしばしばアル・ガルブジに電話をかけた。追跡者は、ヨーロッパ中のよく知られたイスラム主義者の横の連絡を再構成した。
まだアル・ガルブジは、安全だと感じていた。モロッコでは、彼は欠席のまま20年の懲役刑を宣告された。この英国籍の公民は、偽のパスポートと資金を出して、昨年のカサブランカのテロ攻撃の黒幕達を助けたと言われている。しかし、モロッコ政府からの間接証拠は、英国の司法当局を納得させなかった。引き渡しの要求に英国警察は応じなかった。いつの間にか、アル・ガルブジの足跡が見失われた。
その形跡を再び取り上げることが今やユーロ・ポールの最も重要な課題である。国際警察は、ロンドンの爆弾攻撃の背後にアルカイダのグループか、多くのそれと緩やかに結びついている細胞が隠れていると確信している。捜査当局は、駅や街の広場に設置された監視カメラから取られた何百時間もの映像に目を通している。その間に、毎日発見された死者の数は増え、現在52人となった。更に25人が相変わらず行方不明である。
[訳者の感想]7月10日付『ヴェルト』紙のヤン・リューベル記者の記事です。ヨーロッパの先進国では、明確な証拠がない限り容疑者を簡単に逮捕することができないようです。
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