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ドイツ人とアメリカ人の間には友情はあるか?(『ヴェルト』紙の記事から)

2005年02月23日 | 国際政治
ドイツの新聞『ヴェルト』2月23日の「ヴェルトの世論調査から、独米の友情が明らかになる。疎外は大きくなっている」と題する記事から。
2月22日、ブッシュ大統領はドイツを訪問し、シュレーダー首相と会談し、イラク戦争以来広がったアメリカとドイツとの関係を修復しようと努力した。この機会に『ヴェルト』が行った世論調査の結果についての記事である。
「ブッシュ大統領よりもプーチン大統領のほうが信頼できる。」「アメリカ合衆国よりもフランスのほうが、ドイツの外交政策安全政策のパートナーとして信頼できる。」「ドイツの外交政策をアメリカとより密接に調和させることは望ましくない。」大西洋を挟む国々との関係にある気まずい雰囲気を改善しようとアメリカが努力しているのに、ドイツ人のかつての重要な同盟国からの疎外は、ますます進んでいる。「コンラート・アデナウアー財団」と「マーシャル元帥基金」が昨年夏に行った世論調査において暗示されていた事態は、『ヴェルト』紙の世論調査で裏書きされた。ドイツ人は明らかにアメリカ人と距離を置くようになっている。
プーチンとブッシュのどちらが信頼できるかという問いに対して、29%のドイツ人は「プーチン」と答え、24%は「ブッシュ」と答えた。東ドイツでは、37%のドイツ人が「プーチン」と答え、16%が「ブッシュ」と答えた。ドイツ人の多数が目下アメリカ人と関わりになりたくないと思っている。「シュレーダー首相とフィッシャー外務大臣とは、ドイツの外交政策を今までよりももっとアメリカの外交政策と一致するようにするべきか」という問いに対して、「するべきでない」と答えたドイツ人は、51%に達する。「アメリカの外交政策と一致するようにすべきだ」と答えた人は、44%に留まっている。調査対象者の中で教育水準の高い人ほど、アメリカとの協力に対して否定的である。大学入学資格を持っているか、大学を卒業した人では、協力を否定する人は60%に達している。これに対して、高卒程度の教育を受けた人たちの50%が協力に否定的である。中卒の人たちの42%が否定的であって、53%がアメリカとの協力に賛成している。外交安全政策に関して、多数のドイツ人が、アメリカ人よりもヨーロッパの隣人のほうが頼りになると考えている。最も信頼できるのはフランスだと答えた人が38%で、アメリカ人だと答えた人は、27%しかいない。ロシアと答えた人は、7%で、イギリスと答えた人は、6%,中国と答えた人が5%,スペインと答えた人が2%いた。アメリカに対して親近感を持っている人は、保守派のCDU/CSUの支持者に多く、このグループでは、42%の人がアメリカを最も重要なパートナーであると答え、28%がフランスだと答えた。これに対して、「緑の党」の支持者では、59%がフランスに親近感を持っており、社会党支持者の48%,自由民主党支持者の48%がフランスを重要なパートナーであると答えている。
ここから言えることは、ドイツ人の間にあるむしゃくしゃした気分を改善するために、アメリカ大統領は、いくつかのことをしなければならないだろう。アメリカ人が第二次大戦後ドイツ国の再建のためにしたことは、ドイツ人の多数にとって明らかに印象に残っていない。この貢献に対する感謝の念は、若いドイツ人の間では忘れられている。60才以上のドイツ人の42%は、今でも感謝の念を抱いているが、45才から59才までの人では、僅かに25%が、30才から44才までのドイツ人の24%が、18才から29才までのドイツ人のたった22%が感謝の念を抱いている。失業者の間ではアメリカとの協力にたいして否定的な人が最も多い。彼らの82%は、アメリカ人に対する感謝の念は見当はずれであると思っている。
この『ヴェルト』紙の世論調査は、2月15日と16日に1,000名の有権者の対象に行われた。
訳者の感想:アメリカの単独行動主義がヨーロッパ人、特にドイツ人の間にアメリカ人に対する深い失望と不信感を産み出したことをこの記事は示唆していると思われる。
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