海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「西欧よ、直ちに諦めろ」と題する『ヴェルト・オンライン』の論説。

2010年01月02日 | 国際政治
 「境界国」とも呼ばれる経済大国は最近、コペンハーゲンの気候サミットで西欧に、新しい世界秩序に対する予感を感じさせた。ヨーロッパ人とアメリカ人とは、彼らの生態学化された幸福社会についての夢を落ち着いて夢見るがいい。かっての第三世界の新参者は、環境保護のような成長を妨害する気まぐれによって逸らされることなく、何時か硬い包帯で世界を征服するのだ。
 中国の政権は、その御伽噺のような台頭にもかかわらず、相変わらず民主主義の幻想にしがみついている反体制派を閉じ込めた。それによって、中国は、中国においてすでに全く素晴らしい自由化過程を達成したと思いたがる西欧の夢想派に頼る必要はないということを示している。
 イランは、確かに本来境界国ではないが、反対派を弾圧する点では、北京の石油パートナーにどんな場合でも引けを取る気はない。それゆえ、西欧のある人たちは、民主政治が人間虐待者のもとではまさに人気がないということに同調している。そういうわけで、アフガニスタンは、その歴史と伝統のゆえに「われわれの基準による民主主義のショー・ウインドウには適さない」と連邦防衛相は考えている。
 アフガン国民がそのためにタリバンによって殺されるという危険に曝されているのに、最近投票のために並んだけれども、それは、フォン・グッテンベルク防衛相に彼らが民主制を守る能力があることを確信させなかった。その代わりに、彼は「タリバン穏健派」を政府に取り込もうとした。
 タリバン穏健派だって?それは恐らく全く選挙を認めないがゆえに、選挙人を殺す必要がないような連中だ。それは、8年間ものヒンヅークシュ山地への連邦軍派遣の代償となる文明の進歩ではないだろう。ドイツ連邦軍の前には、戦術の転換から撤退にいたるまで、すべての善意のドイツ人を熱狂させる一つの素晴らしい人道的な使命が待ち構えている。それは、あるイスラム過激主義の政権にたいして、平和的な建設援助をすることだ。
結局、アフガニスタンの「土着の文化」をこれ以上無視してはならないとグッテンベルクは言う。だが明らかなのは、いくつかの文化は民主制とフランケン風炙りソーセージが好きだし、これに対して、他の文化はむしろ、石打ちや労働収容所や拷問地下室が好きなのだ。そこでこれほど僭越で評価を企てる人がだれかいるだろうか。それなら、アメリカ人とヨーロッパ人は、できるだけ目立たずにその半球に閉じこもり、他の連中の好きに任せたほうがましだろう。結局、われわれは、われわれが必要なものを全部持っている。電気は、環境に優しい風車や太陽電池から来るし、DSDSのスタッフは、われわれが退屈しないように、再び始めるのだ。(後略)
[訳者のコメント]リヒャルト・ヘルツィンガーというこの論説の筆者は、保守派の評論家のようです。温暖化ガス削減に対する低開発国の反対を批判する彼の論調には、かなりやけっぱちな響きがあります。「保守派の苛立ち」というべきでしょう。
DSDSというのは、ケルンに本局を置く民間テレビのRTLが提供している「ドイツは、スターを探している」といるという番組の略称。見たことはありませんが、視聴率が非常に高い番組らしいです。


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