海外のニュースより

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「ネオナチ、左翼のシンボルを利用」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年05月05日 | 政治と文化
彼らは運動靴を履き、サングラスをかけ、黒いフード付きコートを着ている。彼らの横断幕で、彼らは「資本主義を粉砕せよ」とか、「自律者の抵抗を組織せよ」と要求している。彼らが黒い塊でデモをするとき、左翼の自律者はこんな風をしている。だが、覆面をした自律者達が自動的に左翼の路線に属していた時代はとっくに過ぎた。というわけは、それと比較できるグループは、数年前から、極右のシーンにも存在するのだ。このような「自律的ナショナリスト」は、現在、ドルトムントの5月1日の極右の行進にも現れた。6月初めに開かれるハイリゲンダムでのG8に反対するデモにも参加するかもしれない。
憲法擁護庁は、極右の「自律者」を「戦闘的周辺現象」に格付けしている。彼らは行進の際、チェ・ゲバラの止めピンをつけ、"fight the system"というような非ドイツ的なスローガンを掲げて資本主義と議会制民主主義に反対する戦線を張っている。確かに、国内情報機関は、彼らの数を150人から200人と見積もっている。だが、憲法擁護庁は、「自律的ナショナリスト」という現象を非常に重視している。なぜなら、彼らの背後には、右翼のイデオロギーを新しい仲間に植え付けようとする試みが潜んでいるからである。特にこれまで極右運動に敏感でなかったスキンヘッド・グループの外にいる青少年達に植え付けようとしている。
 その際、右翼の「自律者」達は、彼らを長靴を履いて頭をつるつるに剃ったネオナチや俗物的な極右政党とは明確に区別する現象に賭けている。なぜならば、流行しているヒップ・ホップ風衣装やパレスチナ人風スカーフや英語で書かれたスローガンは、以前には、ネオナチやNPD(ドイツ国家民主党)には似合わなかった。そういうわけで、かなり多くの伝統的なネオナチは、憲法擁護庁によれば、「右翼自律者」について問題を抱えていた。特に彼らが容易に暴力に訴える点に問題を抱えていた。彼らは、2004年以来、警察との衝突を幾度となく繰り返してきた。このような攻撃的な態度は、潜在的なシンパを遠ざけることになったと極右陣営出身のかなり多くの批判者は主張している。
 「自律的ナショナリスト」達は、違った見方をしている。「われわれの右頬を叩く者は、右も左も一発食らうぞ」とヴッパータール出身の自律者グループはインターネット上で言う。「どんな音楽を聴くか、どれほど長い髪をしているか、どんな服を着ているか、は、問題ではない。」あらゆる政党の政治家は、「ドイツ民族を多文化社会と取り替えようとしているのだ。」だから、重要なのは、「青少年と社会の重要な部分に浸透し、われわれの目的のための道具とすること」である。
 ネオナチの光景でのこの争いにおいては、専門家に依れば、イデオロギー上の違いではなくて、もっぱら、行動形式の違いが問題となる。確かに、例外なく西ドイツとベルリンで組織された「右翼自律者」は、これまで、自分を新しい青年の反逆の前衛者にする演出の試みに成功しなかった。だが、ナチの周辺グループが、青年への浸透からは遥かに遠いとしても、彼らを無害化することチャンスはないと治安官庁は考えている。
 警察にとっても、18才から25才までの年齢の「自律的ナショナリスト」達は、扱い難くなっている。デモの際、左翼の自律的黒い集団と並んで、ますます多くのナショナリストの黒い集団と関わらなければならない。「ネオナチは、そり上げた頭で分かるというのは、だいぶ前から通用しなくなった」と対デモ経験を積んだ警官は言う。「右と左の黒い集団出身の連中が、デモと反対デモの途中の列車の中で出会うことがある。そうすると、車内で殴り合いになる。」
[訳者の感想]左翼と右翼の過激派が服装やスローガンが似ているのと言うのは、20世紀の初めにもあったことのようです。
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