海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「トルコの法廷で、弁護士が裁判官を射殺」と題する『ガーディアン』紙の記事。

2006年05月18日 | イスラム問題
イスタンブール発:昨日、一人のトルコ人の弁護士が「私はアラーの戦士だ」と叫んで、トルコの最高行政法廷でピストルを発射、判事の一人を殺し、他の四人を傷つけた。
目撃者によると、裁判所の第二法廷でピストルを発射した際に、その弁護士は「アラーは偉大なり」と叫んだ。
イスタンブール弁護士会の認証をもつこの弁護士は、自分が判事を攻撃した理由は、法廷がある女性に彼がスカーフを着けているという理由で校長になることを止めたからである。判事の一人、ムスタファ・ユセル・オズビルギンは、頭部を打たれて病院で死亡した。
オズビルギンを含む四人の判事は、二月に勤務外でスカーフを被っていた小学校教師の昇進に反対の投票をした。五番目の判事は、昇進に賛成の票を投じた。
裁判所の決定は、レセプ・タイイップ・エルドガン首相によって批判された。彼の率いるAK党は、政治的イスラムの政党である。エルドガン首相は昨日、拳銃発射を非難した。
この攻撃は、宗教心のあるトルコ人がモスレムが多数を占めるのに厳格に世俗的な国にいてフラストレーションを感じているという劇的な兆候である。
この国の次第に進行するイスラム化に対する憂慮を表明したアハメト・ネクデト・セゼルは、この事件を「トルコ共和国における黒点」であると述べ、「圧力と脅迫とはトルコの裁判官をおじけづかせないだろう。裁判官は世俗的で民主的な共和国に義務づけられた憲法上の義務を遂行するだろう」と付け加えた。野党のデニズ・バイカルは、「この事件はトルコが非常に危険な場所に引きずられていることを示した」と述べた。
エルドガンの妻のエミネは、スカーフを被っているという理由で大統領の公務に出席することを禁じられているが、彼女は、この禁止令が撤回されることを要求した。
先週、「アラーは偉大なり」と叫んだ襲撃者は、トルコの最も頑固な世俗主義的新聞社に爆弾を投げた。
ムスタファ・ケマル・アタチュルクが1923年にオスマン帝国から近代的なトルコ共和国を作り出したとき、彼はスカーフを被ることを禁止したのだが、この禁止令は、今日トルコでは、最も不和を生じる問題の一つだと見なされている。来年の大統領と議会の選挙を控えて、この問題はイスラム主義的政府と世俗主義的体制との間の摩擦の源泉となった。
トルコの世俗主義的体制の言論を代表する『クムフリエット新聞』は、最近、それが台頭するイスラム主義だと見なすものを警告するキャンペーンを行った。トルコの世俗主義の擁護者であると称するヒルミ・オズコク大将は、昨日の発砲事件を「憎悪に満ちた不快な攻撃」であると公然と非難した。
[訳者の感想]この記事を読んで、トルコでは、軍隊の方がケマル主義に忠実で、世俗主義的であるのに対して、エルドガンの率いる政府の方がイスラム主義的であることが良く分かりました。
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