海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「彼女はわれわれの問題を知っている」と題する『ヴェルト』紙の記事

2006年05月23日 | 国際政治
アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦首相の中国訪問は、中国では普通でない注目を浴びている。政府報道官、共産党機関誌、社会科学者、反体制派は、月曜日に、政治的視点では北京の寛容さの限界を綱渡りすることになる彼女の就任初の訪問の跡を緊張して追跡した。街頭の世論調査によると、殆どすべての人が、破産した社会主義政権(ドイツ民主主義共和国のこと)のもとで育ったドイツ首相の訪問について聞いたことがあると述べた。「彼女ならわれわれの問題を知っている」と質問された人の多くが即座に答えた。
北京は今回は他の場合では操作されている報道機関に自由にさせている。どのような期待と恐れをこの権力を握った女性と結びついているかを、一ダースほどの新聞は、全面に押し出した。彼女は自分の東独時代の経験にしたがって、注意深く中国と関わろうとした。そえゆえ、北京の指導層は、政治的な魅力の攻勢で首相の気に入ろうとした。メルケルが政治的な嵐を煽るという心配は、杞憂に終わった。ほっとして、温家宝首相は、メルケル首相が友好的な風をもたらしたと述べた。「コール元首相、シュレーダー首相からメルケル首相に至るまで、ドイツの中国政策には、いかなる変化もない。」
 中国政府は、もっと強硬な調子に備えていた。、「メルケルもブッシュ大統領と同様、人権問題の取り扱いについては具体的であろうとしている」と述べた中国の反体制派の作家ユー・ジエの主張は、中郷政府に警戒を呼び起こした。家庭内教会運動のメンバーであり、ペンクラブのメンバーであるユー・ジエは、二人の中国人キリスト教徒であるワン・イとリ・バイグアンと一緒に、訪米の際、5月11日に驚いたことに、ブッシュ大統領の私的会合に招かれた。中国大使館が抗議したけれども無駄だった。ユー・ジエは、『ヴェルト』紙にその会合について漏らした。彼はブッシュに対して、フランス及びドイツの国家指導者が中国との経済交流にのみ考慮し、人権に対してもはや配慮しないと言う理由で、彼らの弱腰の態度について不満を述べた。ブッシュは彼らに対して、米国はそのようには振る舞わないだろうと保証した。ドイツでも、新しい連邦首相のもとでは事態は変わっただろうと述べた。言葉通りに引用すると、ブッシュは、「私は丁度メルケル首相と電話で話したところだ。私は彼女に、人権問題についての彼女の憂慮を強調するように助言した。彼女は同意したよ。」
『中国ビジネス・ニュース』のような公式の日刊紙は、その読者に対して「メルケルも好ましくない非政府組織や作家にドイツ大使館内で会うだろう」と述べていた。「彼女は中国の社会問題を理解し、市民の政治参加がどうなっているかを知るという関心を持っている。」メルケルは、昨日、4人の社会批判者に会い、特に作家のチェン・グイディとウー・チュンタオ夫妻と会った。彼らが書いた『農民の状況についての研究』は、農村における腐敗を暴露したため、禁書にされた。メルケルの結論は、「中国ははらはらさせるダイナミックな国だ」というものであった。
[訳者の感想]『ヴェルト』紙にしばしば中国に関する記事を寄稿するジョニー・エアリング記者の記事です。メルケルは温家宝首相が招待した晩餐会で人権問題について発言をしたという記事を他の新聞で読みました。彼女は中国への武器輸出禁止は、解除する気はなさそうです。
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