海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「過激派は、武器としての心理テロに賭けている」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年02月02日 | テロリズム
ロンドン発:1月31日早朝バーミンガムの住居でテロ容疑で逮捕されたパキスタン系の8人のイギリス人は、数ヶ月間監視されていた。9番目の男は高速道路上で逮捕された。十分な材料を集めることができたので、拘留期限の28日間内に告訴する希望ができた。
この未遂の犯罪は、英国におけるテロリズムを心理テロに押し上げたかもしれない。アフガニスタンやイラクでの戦闘経験を持った英国軍に勤務しているイスラム系のある兵士が、誘拐され、カメラを回しているなかで、心理的に拷問を加え、湾岸地域やヒンヅークッシュ山地などの戦闘地域から撤兵するようにブレア首相と英国政府に要求することが、計画の一部であった。その後で、2004年9月に英国人人質のケネス・ビグリーを処刑したやりかたで、犠牲者の首をはね、処刑の光景をインターネットを通じて世界中に流す予定だった。
副作用は、英国人モスレムを軍務につくことを思いとどまらせ、既に勤務している者は、軍務を止めるようにすることだった。10万人所属する英国軍には、現在、246人のムスリム少数派の兵士がいる。全人口に占めるイスラム教徒の割合、約7%に及ばない数である。
容疑者の作ったリストに上がっていたのは兵士だけでなく、公的生活についている25人も含まれていた。誘拐のアイデアは、1970年代のドイツの赤軍派や、イタリアの「赤い旅団」の戦術を思いださせる。彼らはマルチン・シュライアーやアルド・モロを殺したのだった。それは、新たな性質をもった脅威を含んでいる。
昨年、8月に計画された米国行きの旅客機を爆破するという計画を食い止めた後では、700名の警官を動員したバーミンガムの手入れは、英国警察のテロ予防行動の第二の勝利を記録している。新しい点は、攻撃は包括的な化学技術的な準備を必要としなかったことである。監視されていた人物が、週末にビデオカメラを購入した後で警察は介入した。未遂に終わったテロが間近に迫ったと結論したのだ。本来はもう二ヶ月間観察する予定であった。
推測によると、パキスタン在住の高位のアルカイダの関係者が、糸を引いていた。これは、昨年夏の手入れの際も推測された。けれども、警察は今回は追跡の詳細については非常に慎重であったということは、イスラム教徒の間に、彼らが治安部隊の目標になっているという古い反感を呼び起こした。これまでに発見された多くの証拠から、このような不満の種を蒔き、英国社会の中に「ミニ・イラク」を導入するというテロリストの戦術に一定している。既に英国人の多数派は、彼らの間にいるイスラム教徒に対して、不信感を持つに至っている。多くの新聞が掲載したバーミンガム出身の三人のベールを被ったイスラム女性の写真もこの態度を促進した。なぜなら、彼女らは、右手でブイ・サインをしていたからである。
9人の逮捕者の中には、お持ち帰りのピッツェリアの所有者やイスラム文学の書店の店員もいる。押収されたフィルムのなかには、「不信仰者」に対する戦いを美化するいくつかのDVDがあり、その中の一つは、「神よ、彼らを粉砕して下さい」というスローガンを掲げたものもあった。
[訳者の感想]アルカイダは、英国内のイスラム教徒にも大きな影響を与えているようです。
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