海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「不平等の拡大」をテーマとした本の書評。

2009年01月13日 | 国際経済
(前略)
ケヴィン・フィリップとロバート・フランクによると、米国における富の生産の波は、三つの力の協力によって生み出された。それは、第一に、新しいテクノロジー、第二に金融投機、第三に自由市場と金持ちを支持する政府である。(中略)
富を形成する第三の波は、金融市場資本主義である。米国の富の半分は、過去10年間に作り出された。1900年に、スタンダード石油の所有者ジョン・D・ロックフェラーは、既に10億ドルの財産を持っていたが、それは現在の貨幣価値では、140億ドル(1兆4000億円)に相当する。これはウオル・マートの創始者だったサム・ウオルトンの五人の遺産相続人のそれぞれが持っている財産に等しい。(言い換えると、五人の財産の合計は、700億ドル(7兆円)に達する。)
実際、金融市場で得られた富は、経済と政治、企業と国家の間の深刻な不均衡を作り出した。2007年には、地球上のすべての国の国民総生産(GDP)は、47兆ドル(4千700兆円)に達した。そのうち、250の大企業に属するのは、14兆8700億ドルであり、13兆3000億ドルは米国の属し、13兆7400億ドルは欧州連合に属している。世界で最も大きな5つの企業(ウオルマート、エクソン・モービル、ルイヤル・ダッチ・シェル、BP、ジェネラル・モータース)の売り上げは、1兆5000万ドル(150兆円)に達する。これは、最も豊かな7ヶ国を除いた、世界中の国々の国民総生産よりも多い。世界の大企業2千社の売り上げは、27兆ドル(2千700兆円)で資本金の合計は、103兆ドルであり、7千万人の従業員を抱えている。「30から40億人が努力してやっと生計を維持しているということを前提すると、地球上で手から口への生活をしている人間の半分以上は、一握りの決定権を持った人間に依存していることになる」と『超階級』の著者ダーフィット・ロートコップフは言う。
 この企業と国家、経済と社会の間の不均衡は、世界史上初めての人間と人間の間にある最大の社会的不平等の原因である。ロートコップフによると、世界の人口の10%の人間が世界の富の85%を持っている。人類の半分は、世界中の富の1%で我慢せねばならない。最上位の2%に属する人間が、世界中の富の50%を握っている。100万ドル以上の財産を持っている950万人は、「高額所有者」であると思われ、3000万ドル以上の財産を持つ9万5000人は、「超高額所有者」と呼んでも良い。(中略)
「超階級」に属しているのは、誰か?ロートコップフによれば、6千人が地球上の60億人を支配している。彼らのおのおのは、それだけで、一つの階級で、一人で100万人の普通の市民と釣り合っている。彼らに属しているのは、2千の大企業の経営者であり、100の金融機関であり、120の政府の高官であり、国際機関の議長であり、NPOの代表であり、軍隊の司令官であり、大きな宗教団体の首長であり、最も重要な科学者であり、大学教授や芸術家であり、テロリスト指導者であり、犯罪集団の親分である。これらが現代の社会を支配しているエリートである。(後略)


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