海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「農村の暴動に直面して、中国、改革に着手」と題する『ワシントン・ポスト』紙の記事。

2006年01月28日 | 中国の政治・経済・社会
1月27日、北京発:増大する農民の暴動に直面して、中国共産党は、農民の生活全体を改善し、彼らの土地を侵食する急速な経済的発展を停止する広範な変化を宣言した。
共産党は、農業改革を今月始まる新しい五カ年計画の主な目標であると宣言した。政府もまた数千年の歴史を持つ農業税を廃止すると声明した。また農民の子弟のための無料の公立学校や医療を受けられないでいる8億の農民のために医療に助成金を出すと声明した。
決定が矢継ぎ早になされたことは、土地収用と環境汚染によって憤慨した農民が暴力による抗議に立ち上がったことに対する党と政府内部での関心の深さを反映している。それらの抗議は、高官によれば、社会の安定と経済成長に対する脅威となっている。国家公安部は、2005年中に起こった暴動の件数を8万7千件であり、2004年と比べて6%の増加であると述べた。
暴動は、毎年9%の国民総生産の増加を生み出したが、主に都市の住人にしか利益をもたらさない経済成長に対する反動である。
ある中国人の官憲は、強力な抑圧が最善の返答であると示唆した。人民武装警察の司令官であるウー・シュアンチャンと軍の政治コミッサールであるスイ・ミンタイは、今月初め共同の論文を執筆し、訓練を強化し、暴動を鎮圧する準備を要求した。しかし、高位の指導層は、力の行使を否認はしなかったが、農民の問題を長期的に解決することを強調した。
温家宝首相は、先月、農民とその土地を守ることに失敗すれば、もっと多くの暴動につながるという「歴史的な失敗」をすることに対して高位の官僚に警告した。特に彼が注意を促したのは、都市は土地を収用する際に法を犯してはならず、公共のファンドを吊り上げる方法として収用した土地をビジネスに売却してはならないと述べた。
先週、党の機関紙『人民日報』に発表された彼の演説の本文によると、彼は「これが農村と社会の安定に影響する主要な問題であり、それは政府と党委員会のあらゆるレベルで認められなければならない」と述べた。
胡錦涛主席は、金曜日に政治局に宛てたメッセージで、われわれが直面している矛盾と問題の解決を要求した。『新華社』通信によれば、彼は「農民を助けて彼らの生活を著しく向上させ、農業と農村地域を発展させることに失敗するならば、われわれは比較的繁栄した社会を建設するという目標に到達できないだろう」と述べた。
都市の成長と搾取された農村の間の緊張をうまく調整しようとする党の努力は、過去30年間の経済的自由化の中で発展した社会主義と資本主義との雑種の中では挫折してしまった。新しい時代には、共産党の主要なイデオロギーが経済成長になり、それは官吏とビジネスマンの間の腐敗した連合を生み出した。
結果として、何人かの中国人アナリストは次のように指摘した。農民とその農地を保護する本当の決定は、違法の農地収用や売却に首を突っ込んでいる都市と田舎と農村の官吏を断固として処罰することを必要とするだろうと。温家宝と胡錦涛がそういうことを考えている兆候はない。異常に率直な中国の農村問題についての言及であるとして歓迎された彼の演説で、温家宝は、土地収用における腐敗の役割に言及しなかった。農民はそれが彼らの暴力的な抗議の理由であると述べているのだが。
党の連帯が地方の行政を改善したいという欲求を上回ったように見える。例えば、先月、2004年8月にセッコウ省の土地収用における組織的な腐敗を非難した地方の党書記が終身刑を宣告された。火曜日には、彼を助けて告発を書かせたジャーナリストが懲役3年を宣告された。
人民武装警察が発砲して数名が殺された一連の農民暴動の後で、広東省の地方党書記張徳江は、彼が「三つの指令」と呼んだものを発表して、地方官僚を彼らが不適切に農地を収容したならば、首を切るぞと脅した。今月もう一つの暴動の後で、彼は再び警告を繰り返した。だが、首切りは宣告されなかった。
24人の政治局のメンバーである張は、高位の指導者から、香港の北東125マイルにある東州市での暴動者と警察の衝突について激しく責められた。衝突についての彼の公式の報告は退けられ、中央政府のチームが調査のために派遣された。
北京のアナリストの間の予想にもかかわらず、張は広東省の党書記の地位を失わなかった。彼の運命は特に敏感であると考えられている。というわけは、江沢民前主席が彼の出世に責任があるからである。
特権的な「国立行政学校」の校長代理であり、農村問題の専門家である王ユカイは、農民の生活を改善することに焦点に置こうという胡錦涛の決定は、党の思考の変化を代表していると言う。以前には政策は、成長が拡大すれば農民は都市の住民とともに利益に預かるだろうと期待して経済発展を策定することであった。
「それは大目標なのだ。それは一日限りのスローガンではない。それは長いプロセスだ」と彼は言った。
農業税を廃止することは、何千年もの間、収穫あるいは収入の1%を地方官僚に差し出してきた農民の間では歓迎されている。胡錦涛は、テレビを従えた農村視察で、彼の決定について農民に思い出させた。
だが、王は、北京で発表されたこのような決定は、13億の3分2以上の人口が住む都市や農村では完全に適用されない。
例えば、昨年の政府の歳入の4分の1は、あらゆるレベルの600万人の役人の扶養するのに用いられた。それには、宴会や運転手付きの自動車や給与が含まれている。政府の費用で、これらの特権を享受している役人を見ることが、しばしば、農民の怒りに油を注いでいるのだと彼は付け加えた。
胡錦涛の執務室での高官のための報告で、胡錦涛は、農村の生活改善のための14文字からなる原則を提示した。「官吏のための厳正な規律」は、そのリストの先頭に掲げられていた。
[訳者の感想]増える一方の農民暴動を抑えるのに、農民の生活を改善しようと中国政府が乗り出したようです。歳入の4分の1が官吏のために使われているというのは信じられません。中国も行政改革が必要なようです。
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「アリアンツ、中国最大の銀行に資本参加」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年01月28日 | 国際経済
上海・ミュンヘン発:「アリアンツ」は、中国最大の「中国工商銀行」(Industrial and Commercial Bank of China)に参入する。金曜日にアリアンツの広報担当アンチエ・テラーヘが伝えたところによると、このドイツの金融大企業は、8億2千万ユーロで、資本金の2.5%を所有する。アリアンツと並んで、アメリカの金融会社ゴルドマン・サックスとアメリカン・エクスプレスも「中国工商銀行」に参入した。取引額は、37億8千万ドルである。取引の大部分はゴルドマン・サックスが引き受け、同銀行の資本金の7%にあたる25億8千万ドルを投資する。アメリカン・エキスプレスは、0.5%を出資する。
業務行為は、四月以前には、締結されないだろうとテラーヘは断言した。だが、アリアンツは、ICBCの支店で投資ファンドや生命保険などの商品を販売し始める。アリアンツにとっては、全国的展開が重要であるとテラーヘは言った。アリアンツ社の会長ミヒャエル・ディークマンは、中国市場が生命保険会社にとって大きな戦略的意味を持つということを強調した。最近締結されたパートナー協定は、アリアンツの参加の長期的な性格を裏書している。ゴルドマン・サックスやアメリカン・エキスプレスの代表者もすでに存在する協力の上に更に築かれる将来の協力について楽天的に述べている。
「中国工商銀行」は、中国で、2万の支店を持っている。これに対して、アメリカン・エキスプレスは、消費者クレジットに集中しようとしている。このビジネスは、まだ所轄の役所によって認可されなければならない。中国の金融市場は、観察者の意見では、確かに巨大な潜在能力をもっているが、多くの領域でまだ初歩的な段階に留まっている。最近まで、銀行は、不良債権の波と戦わなければならなかった。中国の官庁は、外国の金融機関にこの領域に投資するように奨励したが、そのわけは、彼らがこのような外国金融機関の参加によって自国の銀行の資本準備金の改善と外部からの技術的ノウハウを約束されたからである。現在、ICBCは、構造変革過程の真っ只中にあり、香港の株式市場への参加を目指している。
アナリストは、ロイター通信に対して、高額の購入価格にも関わらず、肯定的な発言をしている。WestLBのカルステン・ツィールケは、「アリアンツは、2.5%の出資分しか持たない。だが、それはいくつかの可能性を作り出す」と述べた。HVBのアナリストであるルチオ・ジェロニモは、「アリアンツが支払った価格を評価するには、まだデータが少なすぎる。さしあたりの保険料収入わずかなであるにしては、相対的に高価な出資金であるように見える」と言った。「だが、それは中国市場を開拓するための長期的な戦略的な第一歩と見なければならない。」
[訳者の感想]ドイツやアメリカの金融機関が中国市場に参入しようと懸命になっているのが分かります。
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