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海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「アメリカの余計なものがくっついた日本の牛肉」と題する『シドニー・ヘラルド・ニュース』

2006年01月27日 | 国際経済
東京を出た新幹線の中で、フラッシュ・ニュースがスクリーンに流れ、旅客にアメリカ産牛肉が再び日本から追放されたということを伝えた。オーストラリア・牛肉・家畜組合の東京駐在員であるサマンサ・ジャミーソンは、細部を捉えようと目を凝らした。東京に戻るとオーストラリア牛肉の最大の輸入者の一つの代表者たちはパーティの最中だった。
伊藤ハム会長の斎藤アキノブによると、数秒間で誰もが同じテキストを読んだ。ジャミーソン女史が急行列車からオーストラリアに向けて危なっかしい連絡を通じて彼女の電話に「アメリカが追放された」と怒鳴った。
オーストラリアの牧畜業者にとっては、一週間前のその声明は、彼らにとって25億ドルの価値がある市場での潜在的な独占を意味している。ジャミーソンや伊藤ハムの重役にとっては、その市場では、大きな機会が残っているのだ。
三月に始まる11の都市を巡る巡回の展示会では、味見やレストランのシェフを招き、スーパーマーケットのプロモーションが行われる予定であるが、それはオーストラリア産牛肉に対する需要を高め、アメリカ産牛肉のいないのを利用することを目指している。おもなメッセージは、安全と風味についてなされるだろう。
水曜日の晩、東京のある中華料理店で、オーストラリア産ビーフと子羊肉が、140名の卸売り業者や巨大食肉購入者に振舞われた。客として招かれたシェフは、種種さまざまな肉切れにナイフを振るい、牛肉の融通が利くこと柔軟さを誉めた。
アメリカ産牛肉の復帰を待っていたそこらじゅうにある牛丼店がいまやターゲットになっている。年間3万トンの牛肉を使用するあるチェーン店は、オーストラリア産牛肉と取り替えることことを真面目に検討中である。
伊藤ハムの営業部長であるカサイ・チカラ氏は改めてアメリカ産牛肉が輸入禁止になれば、オーストラリア産牛肉が優位になるのは当然だと言った。
「私達はアメリカがこの過ちを犯したことにショックを受けている。彼らが消費者の感情を理解しなかったことにもっとショックを受けている」とカサイ氏は述べた。彼の会社は、毎年8万トンのオーストラリア産牛肉を輸入しており、ニューサウスウエールス州の北部で5万3千頭の牛を飼っている。
2年間の禁止の後、わずか1ヶ月で再びBSEの疑いでアメリカ産牛肉の輸入禁止を決めたことは予期されなかった。ニューヨークの小さな牛肉梱包業者からの違法な発送が日本の消費者を恐怖に陥れた。なぜなら、彼らは安全な肉だけが輸出されると約束されていたからである。脊椎を含む子牛肉の入ったダンボール箱は、致命的な帰結をもたらした。手袋をはめた役人が、まるで毒物ででもあるかのように、テレビカメラの前に牛肉を突き出したとき、大騒ぎが起こった。
日本の消費者が科学的検査を要求した際に、日本に対する制裁の脅しに頼ったアメリカ政府の戦略にとってそれは破局であった。ブッシュ大統領は、新たな禁止令に対して日本を貿易に関して罰するぞという脅しで応えた。政治的環境に詳しい人たちは、日本政府が深刻に困っていると言っている。アメリカの破約の一日前、日本の役人達は、カメラの前で行列して、消費者に向かって、自分たちは、場や肉の梱包工場を見学し、それらがすばらしいものであることが分かったと保証した。
伊藤ハムの重役は、アメリカ牛が一年以内に市場に帰ってくることを示唆したが、他の食肉業者は、もっと遅くなるだろうと予想している。日本はアメリカの処理工場に自分自身の食肉検査官を置く必要があるかもしれない。日本の安全マニュアルが英語に訳されるかもしれない。あるいは、アメリカ人の検査官が日本へ送られて、彼らの資格をテストし、証明してもらう必要があるかもしれない。
いずれにしても、惨めな謝罪を伝え、もう一度交渉をやり直すために送られた三人一組のチームは、事態をもっと悪くした。
農務省次官のJ・B・ペンは、「汚染された牛肉を食べて狂牛病で死ぬよりはスーパーマーケットの外で車に引かれる確率のほうが高い」と影響力のある「テレビ朝日」のリポーターを説得した。
この比較は、記者会見の場所では記者団にショックを与え、翌日の新聞やテレビで繰り返された。
「もちろん、狂牛病と事故とを比較するのは間違っている。だって狂牛病は事故ではないのだから」と伊藤ハムのカサイ氏は言った。
[訳者の感想]アメリカ産牛肉が輸入禁止になっている間に日本市場に割り込もうとオーストラリアの食肉製造業者が必死になっているのが分かります。
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