海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「食糧倉庫は、トウモロコシで一杯なのに饑餓」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年01月18日 | アフリカの政治・経済・社会
ケープタウン発:まるで計画に責任があるのは馬鹿者であるかのように見える。ケニアの旱魃に見舞われた北部地方では2百万人が飢えているのに、豊かな西部地方では、倉庫に百万袋のトウモロコシがあって、一部はすでに腐り始めていると首都ナイロビで発行されている『スタンダード』紙は伝えている。穀物倉庫は昨年の収穫でまだあふれているとのことである。だから、担当の役所は、これ以上のトウモロコシを買い入れることができない。ケニアの農民は、彼らの収穫物の上に座って買い取りを待っているか、それをただ同然の価格で投げ売りしなければならないので怒っている。農民達は、彼らのトウモロコシを隣のウガンダに売却するぞと脅している。もっともウガンダには飢饉はない。
先週、国連の「世界食糧計画」(WFP)は、「アフリカの角」にある四つの国では、1100万人が食糧の寄付に頼っていると警告した。彼らの半数は危機的な状況にある。ケニア以外では「アフリカの角」にあるソマリアで200万人、エチオピアで100万人、ジブチでは15万人が飢えている。
3年前から大統領職にあるムワイ・キバキは、彼の前任者ダニエル・モイ前大統領の20年間の放漫財政と腐敗と貧困に対して宣戦布告したのだが、最近、飢饉が国家的な災害であると宣言し、外国に援助を求めた。だが、最初の援助物資が到着するかしないかに、ジャーナリスト達は、北東部の一ダースほどの商店に「非売品」(Not for Sale)と書かれた豆やトウモロコシや粉ミルクで一杯の袋を発見した。スキャンダルが知れ渡った後で、警察は先週、24人の商人を逮捕した。けれども「世界食糧計画」のスポークスマンは、配分が不規則になったということを否定した。むしろ、数人の便宜を図って貰った人たちが無料の食糧を売却し、「その金で彼らが必要とするものを買ったのだ」と「世界食糧計画」の代表ゴロ・ラホは断言した。しかし、ブラ・ムズリにある配給倉庫では、村人達は、彼らがこれまで何の援助物資も貰ったことはないと主張した。
国会議員のルート・オニアンゴは、またもや飢饉で利益を得たと閣僚を非難した。「食糧を過剰にもっているのに、外国からお金がもらえるように、飢饉を災害だと宣言することは、アイロニー以上のものである。寄贈されたトウモロコシを運送している会社が閣僚の所有だと言うことが分かっても、私は驚かない」と野党の女性国会議員は言った。まさに同じことが2004年の飢饉の際にも起こった。調査の結果明らかになったのは、当時、穀物を飢饉地帯に運んだ運送会社は、閣僚かその親族の所有だった。
人口3100万人のケニアは、人口350万人のリトアニアと同じ国民総生産を作り出している。この国は、「国際透明度」によって最も腐敗した国の一つに挙げられている。24年間続いたモイ大統領時代の後で新しいケニアが誕生したという希望は、裏切られた。74才で病気がちなキバキ大統領は、「国民虹連盟」を率いている。彼は種族的な対立を部分的に克服し、改革を導入した。しかし、新しい憲法草案は、昨年九月に国民によって拒否された。キバキがどれほど長く大統領職にあるかは分からない。なぜなら、たいていのケニア国民は、彼を盗癖のある政治家であったモイの跡継ぎだと見なしているからである。
2004年の夏、当時の駐ケニア英国大使エドワード・クレイは、新しい政府と決着をつけた。「問題になっているのは、『大食い団』であって、彼らは沢山食べすぎて、ついでにわれわれの靴にへどを吐いた。」1億5千万ユーロは、たった、一年半で消えたとロンドンの外務省から来たこの人物は罵った。清潔な閣僚の名前なんか「一枚の切手の裏に」問題なく書けるだろうと。ノーベル平和賞受賞者であり、キバキの内閣の環境相代理であるワンガリ・マータイだけがヨーロッパの外交官の憤激に理解を示した。「クレイ氏は、ヨーロッパでどれほど簡単に税金を手に入れることが出来ても、すぐにアフリカで盗まれてしまうといことをはっきりさせたのだ。」
[訳者の感想]アフリカ諸国のなかではケニアは、まだましかと思っていましたが、政府の無能ぶり、腐敗ぶりはかなりのもののようです。
コメント (1)
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