杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

日本酒党の季節がやってきた!

2011-09-02 19:36:25 | しずおか地酒研究会

 新政権と台風襲来で始まった9月、蒸し暑さにはウンザリですが、ここ数日、美味しいお酒を飲みまくっていて、体調もすこぶる快調です。

 

 

 1週間前の8月25日には、県内のカーディーラーの社長さんたちの夏合宿で地酒の話をしてくれと頼まれ、伊豆・修善寺温泉まで遠征して『吟醸王国しずおかパイロット版』試写と地酒テイスティングを楽しんでいただきました。職業柄、ふだんはお酒を自重されている方も多いと思うので、お泊り合宿の機会を活かし、静岡の酒の美味しさの秘密を“体感”していただけたと思います。

 

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 このとき用意したのは、臥龍梅純米吟醸袋吊るし雫酒生、小夜衣純米吟醸斗瓶生、國香純米吟醸中汲み生の3種。いずれも原料は山田錦50%精米の純米吟醸生酒という同じスペックながら、目隠しで飲むと3種類まったくタイプが違います。カンのいい酒通ならピンときたかと思いますが、臥龍梅はM310(高カプロン酸系酵母)、小夜衣はオーソドックスな吟醸酵母(協会14号)、國香は静岡酵母HD-1を使っています。酵母の違いによる飲み比べが、一番わかりやすくて、好みもハッキリ分かれるんですね。

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 ちなみに、静岡酵母の酒がどういう酒か、だけを説明した後、3種類を赤・黄・青のシールを貼ったカップで試飲してもらって、どれが静岡酵母の酒かを訊いてみたら、黄(國香)と答えた人が12人、青(臥龍梅)が5人、赤(小夜衣)が4人でした。

 また自分の好みの酒を訊いたところ、青(臥龍梅)が11人、黄(國香)7人、赤(小夜衣)5人という結果でした。・・・熟年男性ばかりでしたが、臥龍梅の香りの高さや飲み口のマイルドさは高評価だったようです。

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 その後の宴会で食事と一緒に飲んだとき、一番早く空瓶になったのが國香でした。小夜衣も、個人的には静岡型に近いバランスのよさとビターな感じが食中酒として申し分なかった! ふだん國香ばかり飲んでいるという某社長さんが、目隠しで好みの酒を訊かれたとき、小夜衣を上げてしまい、「一生の不覚」と苦笑いしていました。

 

 

 

 昨夜(1日)は、昨年末の『酒と匠の文化祭(岡部)』にご夫婦で来てくださった井越の長谷川総一会長の奥さまのお通夜に参加した後、急な呼び出しがあって某社会長さんの宴席へ。自腹ではとても行けそうもない接待向けのお鮨屋さんで、お酒リストも「亀(初亀純米大吟醸3年熟成)」「磯自慢純米大吟醸」「おんな泣かせ」等など、自腹では呑めそうもないものばかりで、少々ビビってしまったのですが、長谷川会長と亡き奥さまが、初亀を美味しそうに呑んでおられた姿を思い出し、「勘定は心配しなくていいよ」という同席者の方々の“天の声”に背を押され(苦笑)、思いきって「亀」をオーダー。久しぶりに味わった「亀」は、思ったよりも軽くてピュアな味わいでした。

 

 

 明日(3日)は日比野ノゾミさんの陶芸展クロージングパーティーがあり(こちらを参照)、またまた地酒選びを楽しませてもらっています。きき酒の会ではなく、あくまでもアーティスト仲間のパーティーですから、あんまりマニアックな酒じゃなく、かといってやっぱりフツウではなかなか呑めない面白い酒を揃えたいと思い、県内産のにごり酒、吟醸酒、熟成酒、焼酎、梅酒に、これから夜なべして作る私製冷やし甘酒を加える予定。県内で醸されるお酒の多様性や、焼酎や梅酒でも静岡酵母の酒を使うとこんな味になるということを愉しんでもらえたら・・・。ハイスペックな大吟醸だけを「窓口」にせず、今の人がふだん呑みしている焼酎や梅酒から「静岡らしさ」に入ってもらうというのも一つの手ですよね。結果は後日ご報告します

 

 

 ちゃ~んとお代をいただいて、お酒の話やコーディネートを頼まれつつも、実は自分が呑みたい酒を試せるなんて申し訳やら有難いやら(苦笑)・・・。でも、こういう機会が増えてきたというのは、いろんな宴席でお酒にそれなりに気を配る人が増えてきたという証拠でもあり、長く活動してきてよかったなあとしみじみ思います。

 さあ、今年もお酒が美味しい季節到来です!


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