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救急医療 血液ガス分析:代謝性アシドーシスでの留意事項

2016年09月13日 06時26分14秒 | 救急医療

留意事項 血液ガス分析

血液ガス分析における代謝性アシドーシスの評価

〜急性アルコール中毒にも要注意〜

 

名古屋大学大学院医学系研究科

救急・集中治療医学分野

教授 松田直之

 

【はじめに】救急外来( ER:emergency room)でルーティンに血液ガス分析が行われる傾向がありますが,血液ガス分析は,考えて行うようにしましょう。酸素を投与している場合は,必ず,投与量やFIO2を併記するようにします。血液ガス分析の測定の理由は,① 呼吸数の異常(22回/分を超える,10回/分未満である,乱れがある),② 呼吸のリズムの乱れ(例:Kussmaul呼吸),③ 酸素投与の適正化(SpO2低下),④ 電解質評価,⑤ Hb確認を基本にします。ここに加えて,最近は,ARDSの評価(ICU入室前のSOFAスコア確認),クレアチニン(糸球体濾過)の確認などとしても使用される傾向があります。しかし,特に,①呼吸数の異常(22回/分を超える,10回/分未満である,乱れがある),ここは,つまり呼吸数の早い場合や乱れのある場合は代謝性アシドーシスが隠れている可能性を考えます。呼吸数の遅い場合は,代謝性アルカローシスが隠れている可能性を考えます。代謝性アシドーシスでは,電解質評価としてアニオン・ギャップ(AG)も加えるようにしましょう。

【留意事項】アニオンギャップ AG = Na+  ー(Cl- + HCO3-)(正常:8~16 mM)

代謝性アシドーシス(Base Excess低下)では,アニオン・ギャップ(AG)を評価してください。

 

代謝性アシドーシス パターン1:AG 正常 & Cl- 正常

 □ 敗血症初期

 □ ショック初期

 

代謝性アシドーシス パターン2:AG正常 & Cl- ↑

AG正常 & クロール上昇で考える鑑別疾患

 □ 下痢の存在:問診で確認,BUN/Crea>20(?)

 □ 尿細管アシドーシス

 □ ICU管理での注意:① 膵液瘻,② 生理食塩水過剰投与(ショック蘇生等)

 

代謝性アシドーシス パターン3:AG↑ & Cl- 正常

 AG上昇 & クロール正常で考える鑑別疾患

 □ 糖尿病性ケトアシドーシス

 □ 乳酸アシドーシス(ER搬入前の痙攣やてんかん,メトホルミン内服,ビタミン欠乏(ビタミンB1),ショックや虚血の持続など)

 □ 尿毒症

 □ サリチル酸中毒

 □ シアン中毒

 □ 鉄剤中毒

 □ アルコール中毒:血漿浸透圧ギャップを測定します。測定血漿浸透圧 ‐ 予測血漿浸透圧(2Na + BUN/2.8 + Glu/18)>10 mOsm/kg

【補足事項】アルコール中毒における血中アルコール濃度の予測

 急性アルコール中毒における血中アルコール濃度の予測式

 血中アルコール濃度と症状(参考:個人差あり)

 □   20~  40 mg/dL:気分爽やか,活発傾向

 □   50~150 mg/dL:ほろ酔い

 □ 160~300 mg/dL:酩酊状態(千鳥足や運動障害の出現)

 □ 310~400 mg/dL:泥酔状態(歩行困難および意識混濁の出現)

 □ 400 mg/dL 以上:昏睡状態(舌根沈下,心肺停止の可能性の考慮)

血中エタノール濃度(予測)血漿浸透圧ギャップ測定血漿浸透圧値 ‐ 予測血漿浸透圧(計算:2Na + BUN/2.8 + Glu/18))mOsm/L x 46(エタノールの分子量 46.07)g/Osm ÷ 10 (dLへの換算)= 〇〇 mg/dL 


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