東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

日本の歴史〈第04巻〉平城京と木簡の世紀

2009-01-09 07:26:36 | 
本は「日本の歴史〈第04巻〉平城京と木簡の世紀」渡辺 晃宏 (講談社)



この前、このシリーズの「大王から天皇へ」を読んでものすごく発見があったし面白かったので読んでみました。2001年に刊行された比較的、新しい全26巻のシリーズです。編集委員は網野善彦など。
それぞれの巻は別の人が書いているのですが、天平時代を描いたこの巻は木簡の専門家が書いています。最近、大量の木簡が発掘され、これまでの日本史の常識がいろいろ変わってきているとの事なのですが、残念ながら「大王から天皇へ」ほどのダイナミックさが感じられませんでした。平城京の中で長屋王の屋敷の場所が分かった、とかそういう記述に終始します。まあ、場所を特定できれば、その人が朝廷内でどれほどの権力を持っていたかが分かるので大切な情報とは思うのですが。

でもせっかく長屋王はじめ、道鏡、聖武天皇など役者が揃っているのですから、なぜ遷都がこれほど繰り返されたのか? 呪術と怨霊、などについての記述もあれば、この時代の空気がもう少し感じられたのではないかなと思いました。

でも、やはり面白い時代です。皇位継承の波乱が貴族や皇族たちの命に関わってくるので、登場人物たちは必死で権謀術策の限りをつくします。読んでいてはらはらしました。
また神であるはずの聖武天皇の仏教への傾倒、新羅や唐との関係など勉強になる記述も多くそれなりに面白く読めました。