東京ナイト

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「大丈夫であるように~Cocco 終らない旅~」

2009-01-01 07:40:16 | 映画
あけましておめでとうございます!
いつも当ブログをお読みいただきありがとうございます。
今年が皆様にとって良い一年でありますように。

と言うわけで、大晦日の昨日は渋谷で映画。
「大丈夫であるように~Cocco 終らない旅~」是枝裕和監督。



Coccoの全国ツアーに同行して、ライブとインタビューで構成されたドキュメンタリー。
Coccoは、「クムイウタ」が出たとき買ったけど、それ以来、聴いていなかったから本当に久しぶり。10年ぶりくらいに聴いたかな。当時、ずいぶん自分をさらけ出して歌う人だな、と思っていた。なんだか生々しすぎてちょっと苦手だった。
で、この映画。
Coccoはあまり食べないみたいで、本当に細い。大丈夫かと心配になる位。でも、その細い体で彼女はいろんなものを受けとめている。ファンからの「助けて!」という膨大な手紙、島の半分を基地に占拠された沖縄の現実・・・。

で、青森のファンから「六ヶ所村のことを知ってください」との手紙が届いた。彼女は青森でのコンサートの前に再処理施設を訪れる。吹雪の中、厳重に警備された施設。タクシーの運転手が「施設が無ければ生活できないもん。この辺りの人で反対している人はいないよ。しかたがないんだよ」とつぶやく。
その現実を見て、オキナワと同じだと知る。
コンサートでCoccoが言った言葉が印象的。「これまで六ヶ所のことを知らなくてごめんなさい」。
ふつう「ごめんなさい」って言わないと思う。でもそう思ってしまう感受性。それが彼女をアーティストにしたんだと思う。でも同時にそれが彼女を苦しめているんだろう。
感情の起伏が激しく、パワーがあるので、そのゆらぎがスクリーンのこちらに伝わってくるほど。別に彼女のファンでもない僕がこんな風に感じるんだから、本当にすごいパワーだ。

別に彼女が望んでいるのはそんなに途方も無いことではなくて、ただみんなが幸せに暮らすこと。でも、そんな当たり前のことがなかなか実現できない。基地が再処理施設が社会の無関心がそれを拒む。でもそれを何とか変えようと彼女は挑む。自分の歌で。

映画の終わりの方で、ファンから来た手紙を夜の海岸で全て燃やすシーンがあった。手紙と一緒に届いた「つらさ」を浄化する儀式に見えた。枯れ木のような細い腕で一枚一枚の手紙を燃やす。美しいシーンだったけれど、見ていて心配になった。「生きろ!」というフレーズをコンサートで何度か客席に向かって言っていたが、それは自分にも言い聞かせているようだった。

という、こちらの気持ちを動かす映画でした。カメラもすごく良かった。

そのあとは銭湯。常楽湯@大船。
細い路地に面したこじんまりした銭湯。



まさに僕好み。番台式に愛想の良い女将さんが座り、常連の人たちがにぎやかにおしゃべりしている。大晦日の夜、お客さんも多く良い銭湯だ。テレビからは演歌の歌声。女将さんも一緒にハミングしている。
新世美術の富士山のペンキ絵、設備は最近、中普請したらしくピカピカ。でもトイレはなんとボットン式! 一年の締めにふさわしい銭湯だった。

で、その後は彼女の実家に挨拶。お父さん、やたら嬉しそうだったよ。

という訳で、2008年も忙しかったけど、楽しく良い一年だった。2009年も頑張ろう!