インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

『破裂』① ~患者必読~

2009-09-08 21:07:50 | 映画や小説、テレビなど
 昨日は閲覧数 : 294 PV 訪問者数 : 168 IPで、やはり深夜に多く見られているようだ。さて、このブログは読書好きが閲覧しているようなので(?)、読んだ本は詳しくUPしたい。

 今回は『破裂』。長すぎてまだ読み終わらないが、タイトルからして意味深長である。この間、『アミターバ』で、「がん患者→ 病院で苦しむ→ 光に包まれる」ようなテーマであったが、今回は病院の医療システム自体がテーマになっている。「医療ミス」だけでなく、「高齢化社会の医療のあり方」である。

破裂 ~医者は三人殺して初めて一人前になる。
久坂部 羊
幻冬舎

アタマに自信のある方はどうぞ(勉強本です)


  久坂部羊という作家は、医者であり、特殊な医療現場について細かく書いている。本書に出てくる「阪都大学医学部附属病院」(大阪大学のこと)の実態をそのまま書いているような感じもした。医者でも心臓外科>内科>麻酔と序列があり、さらに看護師の間でも色々あるようで、派閥闘争に「医療ミスの裁判」が絡んで、現場の問題が浮き彫りになっている。

 病院内だからモデルはゴロゴロいるわけで、そのまま当てはめている部分も多いかもしれないが(?)、官僚や弁護士はモデルは想像か?(やけに詳しい。リアル過ぎる)。とにかく多視点の小説で、医者をベースに、看護師になり、ジャーナリストになり、官僚になり、弁護士になり…、なかなか難しい小説である。

 この間の『ダーク』よりやや薄いが、密度は3倍あり、専門的な概念を学びながら読み進むことになる。VIA、ペプタイド療法、インテグリン、サブトラクション画像など、深読みすると、なかなか読み進まない(アタマが破裂)。レベルの高い読者だけを対象にしているのか。

 ただ、これは関西の医療関係者にはバカ受けすることは間違いない。たぶん、作者は御堂筋ラインに住んでいて(阿倍野が有力、安治川界隈かも)、できるだけ事実に忠実に書こうとしたのだろう。やはり医者は、科学者であり、研究者だ。客観的な内容を重んじて、ロジックやらストーリーを計算している。かといって文才もあり、自然な流れで、余計な文章がない。

 この本、病院対策にはもってこいです(患者は無力ですから)

 入院先のベッドの枕元に『破裂』を置いておきます(大阪大学医学部附属病院なら完璧です)

 医師や看護師は大いに警戒し(先生、悪魔の本がありますよ…)

 ミスがないか検査や手術に細心の注意を払うだろう(因縁をつけられないため)

 お見舞いに一冊持って行きましょう(お守りです。『アミターバ』も)

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