インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

12月1日… 生贄王国を見る一冊

2007-12-01 01:40:13 | 古代アメリカの資料
 『アステカ王国』~文明の死と再生~
 セルジュ・グリンスキ 著  落合一泰 監修
  創元社 (知の再発見双書19)
  ¥1400+税

  奇妙な絵が多い本で、アステカ王国での生活や、王国崩壊後スペイン風化したメキシコまで、わかり易く描写してある。

 資料編で、人身御供についてジャック・スーステルがいうには、

「古代メキシコ人の精神世界を支配し、彼らの人やものの見方を特徴づけていたのは、太陽の運行や季節の交替などの全宇宙の仕組みが、ある種の生命エネルギーを補給することなしには維持されえない、という考え方であった。そして、宇宙の存続に不可欠なこの生命エネルギーは、チャルチウアトル(貴重な水)、すなわち人間の血に含まれている、と考えられていた…」


 生き物である太陽は、すでに4回死んでいる(伝説)。

 「滅亡間近の世界にとって、曙の光は、再び太陽が天に昇るという奇跡を意味していたのである。ただし、そのためには、戦士と神官が太陽にトラスカルティリストリ(食物)、すなわち生贄の血と心臓を捧げなければならなかった…」


 そのため、太陽の民であるアステカ族は戦争を仕掛け、大量の捕虜を獲得しなければならなかった。

 アステカの軍人は死の意味を彼らなりに納得していたようだし、民間人も生まれてきたときから「あなたは生贄になるために生まれてきたのよ」と母親から子守唄のように言い聞かされていたようだ。 

 だから生贄台に転がされても、納得して死んだのだろう(…暴れたか?)

 普通の死に方でなく生贄で死ねば、死後の世界は素晴らしいと信じられていた。

 磔で喜死したキリシタンに似ているか。
 むしろ、神のために死ぬイスラム戦士かな。

 死に方は生き方。

 癌とかになって、病院のベッドの上で医者に処理されても、果たして納得して死ねるだろうか。

 









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