1、土壌分析による化学性の改善=有機肥料の投入
2、残渣を土に還す事による自然堆肥作り=微生物・物理性の改善
3、肥料保持としての炭利用=腐食の代わりに利用
使用資材は下記の通り。
オイスター(牡蠣化石粉末)・50袋 オーガニック8:5:3 ・30 マグキーゼ・20 米糠・10 有機石灰・10 草木灰・8 ケルプペレット(海藻肥料)・8 クズ大豆・10 カルスNCR(分解用微生物資材)・4 サンネッカE(炭)・30
有機肥料の投入合計量は3,400kg、収穫量の目標は1500-2000Kg。なんとか半分位は取れて欲しいものだ。去年は120袋・2,400Kgの投入量であったが、収穫量は1000Kgに届かなかった。収穫量の倍の資材を投入しなければ収穫できないと言うのはなんとも不経済な話だが、雑穀はそもそも生産量が少ない作物である事と、畑が地力のない火山灰土壌である事が原因だ。資材代は50万を越えるので大きな出費であるが、質の良いシードの生産の為には必要な経費であると思っている。
勿論こんな不経済なやり方を何時までも続けていくわけには行かない。土壌を肥沃化させる為には腐食を増やし保肥力を高めるしか方法は無いが、残渣の自然堆肥のみでは時間がかかる。それで今年からサンネッカを使ってみることにした。木酢液をバーク炭に沁み込ませた特殊肥料であるが、炭の吸着力が土の保肥力を補完してくれるのでないかと期待している。数年すれば、炭+化石粉末+多少のミネラル資材+残渣の循環で収穫できるようになるだろうと予想している。
こうして無農薬有機栽培のひとつの形が完成するわけなのだが、今ひとつ府に落ちないと言う意識が残る。有機・無機に関わらず、現象の形の世界に囚われすぎているという点だ。不可視のエネルギー循環を見落としては自然の理解として不十分だろうと感じてしまう。
エネルギー農法として有名なのは、神智学を基礎としたバイオダイナミック農法と虚子が物質化する時に働く同化力に注目した生態系生体システムプログラム農法がある。今年は育苗ハウスを使って、プログラム農法を学びながら「薬膳小松菜」作りを目指したい。勿論小松菜などの葉物野菜はそのまま種を蒔いただけで生育するし収穫できる。特に栽培が難しいわけでもないが、大事なのはその質・内容・内在するエネルギーレベルの高さだ。食べて健康になる・食べて生命力をUPさせる・あらゆるマイナス因子を打ち消してしまうエネルギーに満ちた農産物を生産するのが、生産者としての務めであろうと思う。その為にどんな技術を用いるのかが論点となってくる。私は畑や作物の為には農薬や化成は使わない方が良いだろうと思って使っていないが、生産方法に拘ってしまって結果、高品質の作物が作れないとしたら、これは本末を転倒した話になってしまう。問われるべきはやはり生産物の質の高さなのである。
テラ・プレタ これは南米アマゾン川流域に存在する謎の黒土。500年前にスペイン侵攻と同時に放棄されてしまったが、500年後の今でも肥沃さを維持し続けていると言う謎の農土だ。
世界には、温帯地帯に形成されている「チェルノジョーム」という土がある。草原地帯で長い間、腐食が堆積した肥沃な大地でソ連のウクライナ地方・ハンガリー・北アメリカの中央部に広く分布している。肥沃な大地であるから、もちろん無肥料で、今後何十年も栽培できると言う肥沃な土壌だ。世界には無肥料栽培できる肥沃な大地が現実に存在する。残念ながら火山国・日本にはこんな土壌は存在しない。日本では自然農法・自然栽培の事例が沖積土である田んぼの稲作に集中するのはこの為だ。痩せた火山灰土で自然栽培を志しても自ずと限界がある。
注目すべきはこのテラ・プレタがアマゾンの熱帯地帯に存在するという点だ。熱帯では植物生産量も豊富だが、分解速度も速いので、肥沃な大地は形成されない。そんな条件下のなかで人工的に作られた農土であると言う事だ。少なくても2500年前から、長ければ7000年前程前から存在していたと言う。発見された人骨はモンゴロイドで日本の縄文人と同じDNAであるらしい。つまり日本の縄文人が南米に移り住んで栽培の為に肥沃な人工農土を作ったと言って良いかも知れないのだ。
次に注目すべきは、この農土には炭化残余物が異様に多く含まれているという事だ。炭化処理された土地が500年経った今も肥沃な土壌を形成していると言える。ここで想起されるのが上古代日本に存在していたと言われているカタカムナ。楢崎皐月氏が説く「静電三法」の中の植物波農法、その中の核心的な技術が土地の電位を調節する為の炭素埋設だ。炭は東洋に特有な物であると思うが、民間技術として炭を農業に利用しているのは日本ぐらいなのではないかと思う。炭を使った農地の炭化処理というのは確立された技術では無いが、実験的に追求してみたいテーマである。