BR 栽培日記 2024

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言挙げ (ことあげ)

2023-02-17 16:25:11 | 日記・エッセイ・コラム

言挙げとは、ことさら言葉に出して言い立てること。言葉の力を使って大声で言葉を発したり、多言したりすること。要は自己主張の世界だ。

万葉集の柿本人麻呂の長歌に、「葦原の瑞穂の国は 神ながら 言挙げせぬ国 然れども・・」

と有るように、日本は神ながらの国だから言挙げなどしないのだが、と万葉の時代には既に言挙げする事は恥ずかしいこと、と言う観念が既に有った事が伺える。

日本人はイエス・ノウをはっきり言わないとか、白黒をはっきりさせないとか良く言われるが、これは自己主張よりも全体の和を優先させようとする知恵であり、そんなファジーな世界でお互いに察し合う、以心伝心で伝え合う文化の中で生きてきた。

しかし、こんな高度なコミニュケーション能力を持つのは日本人位で、外国はそうではない。

自己主張をして白黒つけて戦う、和ではなく征服を旨とする。最後は武力に訴えても勝つ、と言うのが外国の考え方だ。生き残る為には言挙げするしかないと言う日本とは全く真逆な在り方だ。

よって、国際関係に於いては、この違いを良く認識して対処することが肝要となるが、国内に於いても、敗戦植民地となってから既に78年が経過しているので、既に日本人としての共通の軸は失われ半分以上外国人化している。

言挙げせずともそれですむ、と言う環境ではなくなってきた様に思う。

言挙げしないので、日本神道においては、宗教的教義や解釈を言葉によって明確にすると言う事はしない。ただ、身にこびりついてしまった罪穢れを払うだけだ。これで済んでいたのが敗戦までの日本。戦後の日本はこの歴史の連続性が断ち切られてしまった難破船と言えるかもしれない。無事に母港にたどり着けるか座礁するか、今は将にその分かれ目の時という感じがする。