ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

博士課程の学生に、近未来のプロジェクトリーダーを務めることを説く講演を拝聴しました

2011年01月14日 | イノベーション
 NEC(日本電気)特別顧問の広崎膨太郎さんがお話しされた、若手博士人財に期待する人物像論を拝聴しました。広崎さんは、NECの知的資産事業本部をつくられた方で、昨年6月まで代表取締役副社長などを歴任された方です。

 1月13日午後に、東北大学は川内キャンパスにある萩ホールで「高度イノベーション博士人財育成シンポジウム」を開催しました(ここでは「人材」はすべて「人財」と表記します)。このシンポジウムは、これからは日本でも研究開発や新事業起こしのプロジェクトリーダーなどを博士号を持つ人材が務め、イノベーション創出を図るという仕組みをつくりたいということを訴えるものです。自分が目指す目標を自ら設定し、その成果を厳しく自己評価するなどの能力を学んだ博士課程の学生を、“近未来のプロジェクトリーダー”に据えることで、イノベーション創出を図るという構図です。


 同シンポジウムの基調講演では、広崎さんが「C&C技術がこれから進むべき道と若手博士人財の役割」をお話になりました。


 NECは日本の中では、研究開発に力点を置いている企業の一つだと思います。そのNECでは、2010年4月に東京工業大学大学院で博士課程を修了した遠藤信博さんが代表取締役・執行役員社長に就任しました。日本では、いわゆる論文ドクターではなく、学生として博士課程で研究のやり方などを学んだ方が社長になるケースはまだ少ないのが現状です。NECは、問題を解決するやり方を博士課程で身につけた方をトップに据えました。その理由は「イノベーション推進のリーダー役に博士課程修了者を据えるという態勢改革に着手した結果」と、広崎さんは説明します。

 NECは2017年に実現する「グループビジョン2017」を策定し、長期の研究で実現するビジョン・基本方針を3点、社員全員に示しました。NECは今後こんな社会を築きたいと宣言した訳です。

 一つ目は「シンバイオシス(symbiosis)」というキーワードが示すもので、「人間とさまざまな生物が共に生きる共生を実現する」という意味のようです。地球上では、人を含むさまざまな生物やIT(情報技術)、社会などが、さまざまな関係を持ちながら、互いに絶滅せずに調和を保って共存することを示しているようです。

 二つ目は、ディペンダブル(dependable)というキーワードです。複雑化した社会インフラを停止させないことが必要条件になります。「自立的自己修復的な動作を示し」、安心・安全に暮らせる技術です。三つ目は、エコロジー(ecology)です。地球規模でのエコシステムを築き、高度に制御していくことになります。この三つは、NECが2017年までに実用化したいと考えているものです。「NECにとってこれから何をするかという“what”を示したもの」といいます。

 広崎さんは、複雑化し深まっていく情報社会をこれから築くには、その研究開発や事業化を牽引するリーダー役には「第一には、世の中の現象を可視化する能力と、第二には大量の情報をきめ細かく処理できる能力が必要だ」と説明されました。これからのリーダー役を務める博士人材は、世の中を良くするための課題に対して、社会課題を観察し、クライアント(顧客)が求めているものを分析するなど、「世の中の動きや経営、事業、技術、知的財産などを読んで理解できる複眼思考を持つようにしてほしい」と、説明されます。グローバルな視点を持ち、経営視点の論理思考や構想力を身につけた人材がリーダー役に適しているからといいます。博士課程ではこうしたことを身につけやすいと考えています。

 持続可能な社会の実現に向けては「博士課程を修了した人財が、イノベーションの推進役を果たすには、知の想像力、価値の想像力、実践・知行合一(ちこうごういつ)の三つを兼ね備えてほしい」と、広崎さんは力説します。これからのグローバル競争では、優れた若手人財がイノベーション創成の担い手を果たすことが重要になると説きます。

 最近の企業は「即戦略になる新人がほしい」といっているようです。日本がイノベーション創成能力を高めるにも、現在、大学院の博士課程で学んでいる学生の方々に、日々研鑽(けんさん)に励んでいただきたいと思います。かなり厳しいことをお願いしていることは、重々承知していますが。 

仙台駅構内で食べられる、ずんだ餅は素朴なお菓子です

2011年01月13日 | グルメ
 仙台駅構内に“ずんだ茶寮”と称する喫茶があり、ずんだ餅を食べました。ずんだ餅は、ゆでた枝豆の薄皮をはがしてから、これをつぶしたものに砂糖を混ぜたものを、お餅にまぶした、おはぎのようなものです。

 ずんだ茶寮は、名菓「萩の月」を販売している菓匠三全(宮城県大河原町)が経営しています。同店のずんだ餅は、「餡(あん)になる枝豆は、味も香りも強く 風味豊かなものを選んで、独自の配合でブレンドしております。(中略)ずんだ茶寮では、毎年収穫時期に6名の社員が生産地に泊まりこみ、早朝から収穫作業を体験します。土から抜いたばかりの枝豆の根にしっかり付いた根粒菌に、豆のおいしさを直感します」とのことです。また、餅のお米は餅米のミヤコガネだそうです。

 この喫茶で、ずんだ餅を頼みました。ずんだ餅3個、お茶、塩昆布のセットで630円でした。


 お餅は柔らかく、枝豆の餡は素朴な甘さで美味しかったです。

 数10年前に最初に見た時は、ゆでた枝豆の若緑色が美しく、何のお菓子かと思いました。食べてみると、つぶした枝豆の餡が甘く、おはぎの新しいバージョンかと思いました。

 三全は、ずんだ餅6個の冷凍品のお土産を840円で販売しています。「解凍の目安は18度(摂氏)で約4時間、25度(摂氏)で約3時間です。解凍したずんだ餅は、冷蔵して24時間以内にお召し上がりください」とのことです。考えてみると、冷凍技術でお土産品に仕立てられるまでは、ずんだ餅は生菓子でした。和菓子屋でしか食べられないものでした。こんな所にも、冷凍技術というハイテクノロジーが支えています。

 Webサイトによると、ずんだ餅は「南東北の宮城県、山形県、福島県を中心に、それらの北に接する北東北の岩手県南部、秋田県南部、および南に接する関東地方の栃木県北西部などの家庭料理です。最近、各都道府県の都市部の団子屋などでも小豆餡や胡麻などのバリエーションの一つとして売られるようになり一般化した」とのことです。

 ずんだ餅は仙台駅ではかなり目立つお土産品になっています。東北新幹線の主要駅の名菓として、名古屋駅で売られているういろう(青柳総本家や大須ういろが販売)や「赤福」(赤福が販売)のようにメジャーなお土産になるかどうか正念場を迎えているような気がします。

仙台市にある伊達正宗公が眠る瑞鳳殿は江戸時代初期の雰囲気が漂っていました

2011年01月12日 | 旅行
 江戸時代に仙台藩祖になった伊達正宗公のお墓である瑞鳳殿(ずいほうでん)に行ってきました。仙台市青葉区の霊屋下(おたまやした)は、その名の通り、仙台藩を興した伊達正宗の墓所があることを示す地名です。広瀬川を望む八木山の麓にある高台に、伊達正宗の墓所である瑞鳳殿は立っています。

 広瀬川にかかる霊屋橋近くにある入り口から杉木立に囲まれた石畳の参道の階段をいくらか登ります。杉木立は結構育っていて、少し薄暗い中を登ります。長いもので、樹齢370年の杉の巨木があるそうです。

 入り口から左手に曲がってさらに参道を登ると、瑞鳳殿の管理事務所があり、入門します。

 すぐ側に、伊達62万石の藩祖である伊達正宗公が眠る瑞鳳殿があります。その入り口は涅槃門(ねはんもん)です。青森の檜葉(ひば)から削りだした柱に、豪華な飾り彫刻が施されています。桃山形式の建物だそうです。その門の奥に、伊達正宗公の墓である瑞鳳殿があります。




 華やかで鮮やかな極彩色の桃山形式です。サイケデリックです。

 元々国宝だった、この建物は昭和20年(1945年)の空襲で焼失し、昭和54年(1979)年に再建されたそうです。さらに、平成13年(2001年)に柱に獅子頭の彫刻と、屋根に竜頭瓦を復元し、創建(そうけん)当時の姿に復元されました。

 その近くに二代目藩主の伊達忠宗(ただむね)公が眠る感仙殿(かんせんでん)が立っています。




 忠宗公は、仙台藩の基礎を築いた藩主だそうです。さらにその隣に、三代藩主の伊達綱宗(つなむね)公が眠る善応殿(ぜんのうでん)が立っています。感仙殿と善応殿も昭和20年の空襲で焼失し、昭和60年(1985年)に再建されました。

 これらは仙台藩の栄華を示す建物たちです。参道の両側の杉木立は江戸時代の雰囲気を醸し出しています。仙台城が立つ青葉山に対して、尾根が一つ異なる経ケ峯の中腹に瑞鳳殿などがひっそりと立っています。戦国時代から戦い抜いた伊達政宗公は70歳まで生きたそうです。当時としては大変な長生きです。戦国時代から少し平和になった寛永13年(1636年)まで長生きした正宗公は平和を楽しんだ時期がどの程度あったのかなどと考えながら、杉木立の中の石畳を下りました。栄枯盛衰を感じる場所でした。

真冬に入った荒船高原は一面白銀の世界です

2011年01月10日 | 佐久荒船高原便り
 長野県佐久市の東側にある佐久荒船高原は雪が数センチ積もり、一面白銀の世界になりました。標高1100メートルの高原は、夜中はマイナス10度(摂氏)ぐらいに冷え込みました。

 1月8日からの3連休では、9日夜中に数センチ、雪が降りました。荒船高原は、夜明けとともに、雪が降り止み、青空が広がって、強烈な日が差し、白銀の世界はまぶしいものになりました。凍てつくような寒さの中で、夜中にキツネやウサギ、シカなどが歩いた足跡が雪の上に残っています。荒船高原の中にある荒船湖も湖面が凍って、その表面に雪が積もり、白銀になっていました。

 日本は9日に天気が西高東低となり、日本海側にかなりの雪が降ったようです。佐久市は、南北に長い長野県の中では真ん中部分の東側にあり、群馬県下仁田町と接しています。前橋市や下仁田町方向はよく晴れています。日本晴れに近い感じです。佐久荒船高原から見える妙義山はほとんど冠雪していません。



 妙義山は、関東がいい天気に覆われ続けていることを示しています。

 一方、長野県の軽井沢町、御代田町と群馬県の嬬恋村にまたがる浅間山はかなり冠雪しています。



 今日の浅間山は山頂付近に雲がかかり、山頂から水蒸気を吹き出していました。長野県側の佐久市、軽井沢町、御代田町が日本海側の天気の影響を受け、雪がいくらか降ったことを、浅間山の山頂は示しています。荒船高原近くの内山峠は長野県と群馬県の県境です。この峠を境に、群馬県側は快晴、長野県側は時々雪です。

 佐久荒船高原から見える八ヶ岳は山頂付近やその手前に雪雲のような暗い雲がかかり、流れていきます。冠雪した山頂は、時々しか見えません。すぐに手前に黒い雲がかかります。長野県の中央部の冬の様子を示しています。日本は狭いようで広いです。山国部分はかなり多様性を持っています。

単行本「基礎からわかる無機化学」を読んだ感想は再履修している感じでした

2011年01月09日 | イノベーション
 単行本「基礎からわかる無機化学」(丸善)が発行されました。著者と少し縁があって献本を受けました。


 中学生や高校生の理科離れが増えている時代に、化学を分かりやすく学べる教科書・参考書は重要です。最近は、レアメタル・レアアースについて調べることが増え、無機化学をしっかり学ぶことが重要だと再認識しました。

 この単行本は、おそらく大学生向けに書かれたものだと思います。無機化学というよりは化学そのものを自分で自習するための教科書・参考書のようです。このため、「原子の構造」「周期律表」「化学結合」などの初歩的な入門内容から解説から始まります。基礎的な内容が簡潔な説明によって淡々とテンポ良く進みます。基本的なことが学べますが、きちんと理解することは、予想以上に難しかったです。

 各章の最後に、問題が数個あります。この問題を解くのはかなりの難問です。初歩的なことをしっかり理解していないと、解けそうで解けないのです。例えば、「金属が展性・延性に富むのはなぜか、説明せよ」の問題は、金属結合をしっかり理解していないと、きちんと説明するのは難しいと感じました。説明文をきちんと書くのはなかなか難しいです。

 第7章の「機能性材料」では、半導体材料、固体電解質材料、強誘電体、超伝導体、磁性体の本質を簡潔に解説してくれます。基礎をしっかりと再履修している感じになります。化学の基盤は予想以上に深いものでした。