iPad対抗のタブレット端末が最近、続々発表され、理解できないことが増えています。1月6日から米国ラスベガス市で開催された、世界最大の家電見本市のCES(the Consumer Electronics Association)では、日本のNECやパナソニック、中国のレノボグループ(Lenovo Group、聯想集団)などがタブレット端末の試作品をそれぞれ発表しました。
日本国内では既に日本のシャープと韓国のサムソン電子がタブレット端末を日本国内で発売中です。逆に、ソニーは今回は試作品を発表していませんが、いずれこうしたタブレット端末を発売すると説明しています。これは国内でのタブレット端末の競演の話です。
日本や韓国、中国の各電機メーカーがタブレット端末の製品化に力を入れる理由は、米国のアップルが発売したタブレット端末のiPadが世界中で745万台(2010年9月までの合計)も売れて、同社は高収益を上げているからです。ノート型パソコンとスマートフォンと呼ばれる高機能型携帯電話機の中間に“タブレット端末”という新市場を開拓し、ヒットさせたからです。
分からないのは、iPadのユーザーはノート型パソコンを持って歩くのは重くて不便と考えて、タブレット端末を支持しているのかどうかの点です。おそらく、ノート型パソコンとスマートフォン(あるいは携帯電話機)の二つを持ち歩くことができれば、タブレット端末を持ち歩くことは不要な気がします。こうした疑問が浮かび上がってきます。
iPadなどのタブレット端末は、基本となるOS(基本ソフト)がiPadはiOS、その他のタブレット端末は米国グーグル社のAndroid(アンドロイド)です(大部分がです)。端末画面の表示や切り替えなどの動きが速くて簡単という特徴を持っています。このため、販売店などではiPadを説明用資料などを表示するディスプレーとして利用しています。iPad以外のタブレッド端末が、グーグル社のOSのAndroidを採用する理由はOS開発コストが不要になり、ソフトウエアの開発費が1/10にもなると推定されているからです。ほぼ無料で高性能OSを使えるため、研究開発コストも開発開発時間も少なくて済みます。しかも、日本国内以外の海外市場でも販売しやすくなるという大きな利点が手に入ります。この結果、各タブレット端末製品を事業化する電機メーカー(あるいはその他のメーカーも)は、国内市場だけではなく国際市場でも販売することができます。
各社が発表したタブレット端末を具体的にみてみましょう。NECの試作品は2画面両開きのタブレット端末「Cloud Communicator LT-W」です。
本のように開いて使えるので「単行本や雑誌、マンガなどの電子書籍に、簡単なメモ書き用途、教育向けのアプリケーションなどに適している」そうです。例えば、英語教育アプリケーションでは、片側の画面で教える講師が話す映像を再生する一方、別の画面では、そのテキスト原稿を表示するなどの応用を、NECは考えているとのことです。
実は、OSのAndroidはマルチ画面表示には対応していません。NECはマルチ画面への対応や左右の画面の連携機能などを独自に付け加えているそうです。部分的に、日本独自の仕様になっている点が日本国内向け製品開発での日本の大手電機メーカーらしい発想です。この功罪はその内に評価されることです。今回の展示は技術デモであり、製品化は現在未定とのことです。
パナソニックが発表したタブレット端末の試作品「VIERA Tablet」は画面のサイズが4型、7型、10型と3種類もあります。タブレット端末で可能となる今後の用途によって、画面サイズを最適化するようです。まだ構想段階の試作品だからだそうです。
もちろん、採用しているOSはAndroidです。
パナソニックは今回発表したタブレット端末とテレビとの連携を模索しています。
例えば、タブレット端末をリモコンとして使って、テレビのチャンネルを切り替えたり、テレビ画面の映像とは違う視点の映像をタブレット端末に表示して見せたりするなどの新サービスを検討しているもようです。日本が得意とするテレビの差異化のツールとして、タブレット端末を製品化するようです。
このテレビとの連携は、ソニーも当然、狙っているようです。ソニーは米国グーグル社と世界初の「Google TV」を製品化しました。Webサイトの動画サイトなどを見ることできるものです。こうなると、近未来のテレビとの関係も重要かつ複雑になり、国際的な製品開発競争が激しくなることが予想されます。
一方、中国のレノボグループが開発したのは、OSにWindows 7(米マイクロソフト製)を搭載したパソコンとAndroid OSベースのタブレット端末を合体した「IdeaPad U1 hybrid with LePad Slate」です。 ディスプレー部分はタブレット端末として取り外して使えます。
実は、米国ではデルなどいくつかの有力電機メーカー(広義で)がそれぞれAndroid OSベースのタブレット端末を発売しています。米国では、iPadとAndroid OSベースのタブレット端末が情報端末としての市場を築いています。つまり、タブレット端末は多様な用途向けに製品化され、ノート型パソコン、簡易型ノートパソコンの“ネットパソコン”、スマートフォン、携帯電話機との使い分けが始まっています。しかし、それぞれの製品用途が今後も同じように続くとは限りません。今後、どの製品がどんな市場で優勢になっていくのか予想もできません。そして、日本の電機メーカーが勝ち残れるのか、特に近未来のテレビを韓国や台湾、中国の電機メーカーとどう競合していくのか、読めません。かなり、不安定な状況になっていると思います。一歩先は闇のままのような気がします。当面、タブレット端末から目が離せません。
米国企業がつくった製品モデルを、日本企業が追いかけて製品化し、品質面で凌駕し事業では勝者になる1980年代パターンに似ています。しかし、今回は当時はライバルではなかった韓国、台湾、中国などの企業が製品開発競争に参加しています。また、米国企業の製品モデルの発案もまだ途上です。こうした厳しい情況で、日本企業の真の開発力が問われています。当面、タブレット端末から目が離せません。電子書籍の実用化にも大きな影響を与えます。
日本国内では既に日本のシャープと韓国のサムソン電子がタブレット端末を日本国内で発売中です。逆に、ソニーは今回は試作品を発表していませんが、いずれこうしたタブレット端末を発売すると説明しています。これは国内でのタブレット端末の競演の話です。
日本や韓国、中国の各電機メーカーがタブレット端末の製品化に力を入れる理由は、米国のアップルが発売したタブレット端末のiPadが世界中で745万台(2010年9月までの合計)も売れて、同社は高収益を上げているからです。ノート型パソコンとスマートフォンと呼ばれる高機能型携帯電話機の中間に“タブレット端末”という新市場を開拓し、ヒットさせたからです。
分からないのは、iPadのユーザーはノート型パソコンを持って歩くのは重くて不便と考えて、タブレット端末を支持しているのかどうかの点です。おそらく、ノート型パソコンとスマートフォン(あるいは携帯電話機)の二つを持ち歩くことができれば、タブレット端末を持ち歩くことは不要な気がします。こうした疑問が浮かび上がってきます。
iPadなどのタブレット端末は、基本となるOS(基本ソフト)がiPadはiOS、その他のタブレット端末は米国グーグル社のAndroid(アンドロイド)です(大部分がです)。端末画面の表示や切り替えなどの動きが速くて簡単という特徴を持っています。このため、販売店などではiPadを説明用資料などを表示するディスプレーとして利用しています。iPad以外のタブレッド端末が、グーグル社のOSのAndroidを採用する理由はOS開発コストが不要になり、ソフトウエアの開発費が1/10にもなると推定されているからです。ほぼ無料で高性能OSを使えるため、研究開発コストも開発開発時間も少なくて済みます。しかも、日本国内以外の海外市場でも販売しやすくなるという大きな利点が手に入ります。この結果、各タブレット端末製品を事業化する電機メーカー(あるいはその他のメーカーも)は、国内市場だけではなく国際市場でも販売することができます。
各社が発表したタブレット端末を具体的にみてみましょう。NECの試作品は2画面両開きのタブレット端末「Cloud Communicator LT-W」です。
本のように開いて使えるので「単行本や雑誌、マンガなどの電子書籍に、簡単なメモ書き用途、教育向けのアプリケーションなどに適している」そうです。例えば、英語教育アプリケーションでは、片側の画面で教える講師が話す映像を再生する一方、別の画面では、そのテキスト原稿を表示するなどの応用を、NECは考えているとのことです。
実は、OSのAndroidはマルチ画面表示には対応していません。NECはマルチ画面への対応や左右の画面の連携機能などを独自に付け加えているそうです。部分的に、日本独自の仕様になっている点が日本国内向け製品開発での日本の大手電機メーカーらしい発想です。この功罪はその内に評価されることです。今回の展示は技術デモであり、製品化は現在未定とのことです。
パナソニックが発表したタブレット端末の試作品「VIERA Tablet」は画面のサイズが4型、7型、10型と3種類もあります。タブレット端末で可能となる今後の用途によって、画面サイズを最適化するようです。まだ構想段階の試作品だからだそうです。
もちろん、採用しているOSはAndroidです。
パナソニックは今回発表したタブレット端末とテレビとの連携を模索しています。
例えば、タブレット端末をリモコンとして使って、テレビのチャンネルを切り替えたり、テレビ画面の映像とは違う視点の映像をタブレット端末に表示して見せたりするなどの新サービスを検討しているもようです。日本が得意とするテレビの差異化のツールとして、タブレット端末を製品化するようです。
このテレビとの連携は、ソニーも当然、狙っているようです。ソニーは米国グーグル社と世界初の「Google TV」を製品化しました。Webサイトの動画サイトなどを見ることできるものです。こうなると、近未来のテレビとの関係も重要かつ複雑になり、国際的な製品開発競争が激しくなることが予想されます。
一方、中国のレノボグループが開発したのは、OSにWindows 7(米マイクロソフト製)を搭載したパソコンとAndroid OSベースのタブレット端末を合体した「IdeaPad U1 hybrid with LePad Slate」です。 ディスプレー部分はタブレット端末として取り外して使えます。
実は、米国ではデルなどいくつかの有力電機メーカー(広義で)がそれぞれAndroid OSベースのタブレット端末を発売しています。米国では、iPadとAndroid OSベースのタブレット端末が情報端末としての市場を築いています。つまり、タブレット端末は多様な用途向けに製品化され、ノート型パソコン、簡易型ノートパソコンの“ネットパソコン”、スマートフォン、携帯電話機との使い分けが始まっています。しかし、それぞれの製品用途が今後も同じように続くとは限りません。今後、どの製品がどんな市場で優勢になっていくのか予想もできません。そして、日本の電機メーカーが勝ち残れるのか、特に近未来のテレビを韓国や台湾、中国の電機メーカーとどう競合していくのか、読めません。かなり、不安定な状況になっていると思います。一歩先は闇のままのような気がします。当面、タブレット端末から目が離せません。
米国企業がつくった製品モデルを、日本企業が追いかけて製品化し、品質面で凌駕し事業では勝者になる1980年代パターンに似ています。しかし、今回は当時はライバルではなかった韓国、台湾、中国などの企業が製品開発競争に参加しています。また、米国企業の製品モデルの発案もまだ途上です。こうした厳しい情況で、日本企業の真の開発力が問われています。当面、タブレット端末から目が離せません。電子書籍の実用化にも大きな影響を与えます。