ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

人気作家の奥泉光さんの最新単行本「ビビビ・ビパップ」を読み始めました

2016年09月30日 | 
 人気作家の奥泉光さんの最新の単行本「ビビビ・ビパップ」を読んでいる途中です。この単行本のタイトルの「ビパップ」とは、モダンジャスを産み出す契機となった前衛的なジャズの走りのことです。

 この単行本は2016年6月22日に講談社が上梓しました、この単行本はページ数が661+数ページあり、分厚い本です。価格は本体が2600円で、プラス消費税です。

 この単行本の表紙は、ジャズの名プレーヤーだったエリック・ドルフィー(Eric Dolphy)さんを描いています。



 このイラストの表紙によって、この単行本は、ジャズファンに受けているそうです。

 この未来社会を書いた小説の舞台は、21世紀の世紀末のようです。主人公の女性フォギーのクライアント(依頼主)である山萩さんは、1980年代を学生で過ごし、それから約130年間生きていることから計算すると、21世紀末という計算になります。

 この21世紀末は、ものすごい“電脳社会”です。小説の主人公は、仕事の依頼主の山萩さんと、“会って”話をします。その時に会ったのは、山萩さんのアバターでした。つまり、本物の生身の山萩さんとは、その場につくり出された映像(リアルな映像)の3D画像に話をしただけです。バーチャルスペース(仮想空間)と現実とは、区別が付かない世界です。

 依頼主の山萩さんは、軍用ロボットメーカーとして世界第3位の「モリキテック」の創業者であり、社長です。世界の多くの国は、「モリキテック」のような多国籍超巨大企業傘下の一部門になっています。

 この単行本「ビビビ・ビパップ」の最初の山場は、第二章の「The First Session with Dolphy」です。

 天才ロボット研究者の山萩さんは、大好きで尊敬するジャズプレーヤーのエリック・ドルフィーのアンドロイドを開発します。

 主人公の女性フォギーは、本業はジャズピアニストです。人間のベーシストとドラマーとで、ジャズ・ピアノトリオとして準備します。

 そこに、エリック・ドルフィーのアンドロイドがフルートとバス・クラリネットを持って登場し、セッションを始めます。ジャズの名曲「Take the A Train」を演奏し始めます。

 エリック・ドルフィーのアンドロイドは、実物のエリック・ドルフィーが演奏した名セッションのデータは持っています。しかし、ジャズ・ピアノトリオの3人はまさにアドリブで名演奏を繰り広げます。

 その名演奏に対して、エリック・ドルフィーのアンドロイドは素晴らしいアドリブの演奏を繰り広げます。まるで本物のように・・。AI(人工知能)の性能がまさに人間並みになっていたのです。こんなことは現在のAI(人工知能)レベルでは不可能なことです。

 この演奏では、ビパップ時代の名演奏の下りが次々と登場し、モダンジャスファンは楽しい表現に酔いしれます。

 奥泉光さんは、実際にエリック・ドルフィーが大好きなようで、以前に書いた小説「虫樹音楽集」でも、エリック・ドルフィーの名演奏に触れた部分があります。

 さて、この単行本「ビビビ・ビパップ」では、主人公のフォギーのクライアント(依頼主)である山萩さんは、小説の展開の途中で亡くなったようで、山萩さんの頭脳のデータは、すべてがTBU(Total Brain Uploading 全能送信、奥泉光さんによる造語)され、コンピューター上で生きているような示唆する場面もあります(真偽のほどは不明です)。

 21世紀末の超未来社会を構成する各技術については、あっさりとある意味、わざと分かりにくく表現しています。現在とは、まったく質が異なる価値観を表現するために・・。この辺が、この小説の好き・嫌いを分けそうです。

 この単行本「ビビビ・ビパップ」はとんでもない内容であることは間違いありません。最後まで、読むのが怖いような、惜しいような・・

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
奥泉光さん (ブルーマン)
2016-09-30 07:07:53
人気作家の奥泉光さんは、ここ数年は自分が描く奥泉光さんワールドに酔っています。
妄想した好きなことを小説にして、それでファンには受けているのですから、幸せな小説家です。
今回は長い点が難点です。
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奥泉光さん (紙魚)
2016-09-30 09:24:19
奥泉光さんの最新作は、自分の妄想を描くSF小説ですね。
21世紀末は想像もできないほどの電脳社会になっており、最新技術に守られた富裕層と、その最新技術を使うお金がない貧民層では、まったく異なる世界になっています。
多くのSF作家は、未来は貧富の差が大きくなると予想する方が多いですね・・
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エリック・ドルフィー (マリーゴールド)
2016-09-30 11:35:16
エリック・ドルフィーのアンドロイドでもいいですから、彼のジャズセッションの名演奏を聴いてみたい気になります。
エリック・ドルフィーが吹いたバス・クラリネットの音色は大好きです。
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奥泉光さんの作品 (天佑神助)
2016-09-30 12:53:55
奥泉光さんの作品は読んだことがなかったのですが、今回の未来SF小説のとんでもない話は魅力的だと感じました。
本屋で探して、見てみます・・
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奥泉光さんのSF小説 (もみじまんじゅう)
2016-09-30 18:13:22
奥泉光さんの最新作である「ビビビ・ビパップ」の結末が知りたいです。
ページ数が600ページを超えるとはすごいですね・・
中身は難解な感じもしますね。
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紙魚さま (ヒトリシズカ)
2016-10-01 02:54:55
紙魚さま

コメントをお寄せいただき、ありがとうございます。

今回の単行本「ビビビ・ビパップ」は奥泉光さんのイマジネーションの豊かさに圧倒されます。

そして、ジャズ好きである点にも、好感を感じます。

長いので、まだ読み終えておりません。
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