最近、大阪大学大学院生命機能研究科の教授の近藤滋さんの講演を拝聴しました。
講演の内容は、例えばシマウマの縞模様はどのような仕組みでつくられるのか、白と黒の位置はどのような仕組みで決まるのかという興味深い話でした。

近藤さんが講演された話は、ここ数年間に拝聴したさまざまな講演の中で、分かりやすさの点で第一位か第二位と感じるほど優れたものでした。難しい内容を分かりやすくしっかりと説明された点に感心しました。
大学や公的研究機関などの研究者による自分の研究内容を話す講演では、専門外の方にも分かりやすく説明する方は予想以上に少ないのです。近藤さんは、難しい内容を分かりやすく、変にこびることなく解説しました。
近藤さんの研究室は“パターン形成研究室”を名乗っています。シマウマの縞模様や魚の縞模様(イシダイの縞模様やイワナの水玉模様)などが、ある比較的簡単な“ルール”でできることを数学を用いて示し、その細胞レベルで起こっている仕組みを明らかにし始めています。
近藤さんの研究目標は、生物の不思議さの一つである「どうやって単純な構造から自発的に複雑な秩序構造が生まれてくるのか」という原理を解明することです。生物の卵は精緻(せいち)な位置情報を持っていないのに、身体の器官などは同じような位置にそれぞれつくられるという形態形成できることの解明は難問だとのことです。これ自身は奥深い大研究テーマですが、その入り口として、近藤さんは魚の身体の模様はどうやってできるのかという研究テーマから研究を始めました。

ここからは一見、話は難しくなりますが「中身は高校・大学の初歩的な数学レベルで理解できる」と、近藤さんは説明します。
近藤さんは研究者として、分子生物学分野などを研究している最中に、英国の有名な天才数学者のアラン・チューリング(Alan Mathison Turing)が、ある条件を満たす化学反応システムは自発的に周期パターンを生み出すことを見いだし、1952年に「形態形成の化学的基礎」という論文を発表したことを知ります。 この化学反応の周期パターン(波)は、「反応拡散波」「チューリング波」「チューリング・パターン」などと呼ばれているものです。
チューリングは、コンピューターの原理の発明や暗号解読などで有名な数学者です。チューリングが発表した「チューリング波」の仕組みは、生物学ではその後は長い間、無視されていたそうです(理解できず、そのままになっていたようです)。近藤さんは、その「チューリング波」の仕組みを用いて、簡単な微分方程式によるシミュレーションをパソコンのソフトウエアとして示し、いろいろな魚の身体表面の模様ができることを示しました。数学によるシミュレーションが生物が持つ仕組みをよく説明できることを示しました。
さらに、近藤さんたちは細胞の反応の仕組みとして、実際に「チューリング波」が起こる現象を示しています。ここは分子生物学の細胞内での仕組みの知識がいくらか必要です。最近の実験生物学の話はやはり難しいので省略します。
大阪大学大学院生命機能研究科が持つ実力・魅力を今回、知りました。同研究科を支えているお一人である近藤さんのすごさを知りました。本当に頭のいい方がいることを改めて確認しました。日本の研究者の中に、すごい人もいることを再確認しました。
講演の内容は、例えばシマウマの縞模様はどのような仕組みでつくられるのか、白と黒の位置はどのような仕組みで決まるのかという興味深い話でした。

近藤さんが講演された話は、ここ数年間に拝聴したさまざまな講演の中で、分かりやすさの点で第一位か第二位と感じるほど優れたものでした。難しい内容を分かりやすくしっかりと説明された点に感心しました。
大学や公的研究機関などの研究者による自分の研究内容を話す講演では、専門外の方にも分かりやすく説明する方は予想以上に少ないのです。近藤さんは、難しい内容を分かりやすく、変にこびることなく解説しました。
近藤さんの研究室は“パターン形成研究室”を名乗っています。シマウマの縞模様や魚の縞模様(イシダイの縞模様やイワナの水玉模様)などが、ある比較的簡単な“ルール”でできることを数学を用いて示し、その細胞レベルで起こっている仕組みを明らかにし始めています。
近藤さんの研究目標は、生物の不思議さの一つである「どうやって単純な構造から自発的に複雑な秩序構造が生まれてくるのか」という原理を解明することです。生物の卵は精緻(せいち)な位置情報を持っていないのに、身体の器官などは同じような位置にそれぞれつくられるという形態形成できることの解明は難問だとのことです。これ自身は奥深い大研究テーマですが、その入り口として、近藤さんは魚の身体の模様はどうやってできるのかという研究テーマから研究を始めました。

ここからは一見、話は難しくなりますが「中身は高校・大学の初歩的な数学レベルで理解できる」と、近藤さんは説明します。
近藤さんは研究者として、分子生物学分野などを研究している最中に、英国の有名な天才数学者のアラン・チューリング(Alan Mathison Turing)が、ある条件を満たす化学反応システムは自発的に周期パターンを生み出すことを見いだし、1952年に「形態形成の化学的基礎」という論文を発表したことを知ります。 この化学反応の周期パターン(波)は、「反応拡散波」「チューリング波」「チューリング・パターン」などと呼ばれているものです。
チューリングは、コンピューターの原理の発明や暗号解読などで有名な数学者です。チューリングが発表した「チューリング波」の仕組みは、生物学ではその後は長い間、無視されていたそうです(理解できず、そのままになっていたようです)。近藤さんは、その「チューリング波」の仕組みを用いて、簡単な微分方程式によるシミュレーションをパソコンのソフトウエアとして示し、いろいろな魚の身体表面の模様ができることを示しました。数学によるシミュレーションが生物が持つ仕組みをよく説明できることを示しました。
さらに、近藤さんたちは細胞の反応の仕組みとして、実際に「チューリング波」が起こる現象を示しています。ここは分子生物学の細胞内での仕組みの知識がいくらか必要です。最近の実験生物学の話はやはり難しいので省略します。
大阪大学大学院生命機能研究科が持つ実力・魅力を今回、知りました。同研究科を支えているお一人である近藤さんのすごさを知りました。本当に頭のいい方がいることを改めて確認しました。日本の研究者の中に、すごい人もいることを再確認しました。
例えば、人工知能分野はどんどん進んでいますが、それを支える(?)周辺の科学・技術分野の方のサポートが必要ですが、分かりやすく説明する工夫をしないと、伝えられません。
他分野の方々にどう説明するかがは日ごろから考えておくべきスキルです。
自分の研究成果をうまく説明することで、気がつかなかった視点・分野とのつながりが始まり、新しい道が開けることがあります。