原田マハさんの小説「楽園のカンヴァス」をやっと読み終えました。久しぶりに、小説らしい、想像をかき立てる面白い物語を読んだと感じました。
先日、東京都内の大型書店に行った時に、この本の文庫本(2014年7月1日発行、新潮社)が並んでいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/e6/a233dfbdfb5e56af4de7483fd7c62608.jpg)
小説「楽園のカンヴァス」は、その後に山本周五郎賞を受賞するなどと評判がよかったので、この単行本を購入した記憶があるのですがすが、まだ読んでいないことを思い出しました。整理整頓できていないので、購入した単行本を探し出す自信がないために、文庫本を購入しました。
単行本「楽園のカンヴァス」は2012年1月1日に新潮社から発行され、書評の評判がいいので、大型書店では目立つように平積みされていた記憶があります。各新聞紙などの書評にも取り上げられていました。
たぶん小説の主人公は、米国のニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員(キュレーター)のティム・ブラウンです。ハーバード大学大学院で美術史を学んで修了し、ニューヨーク近代美術館に就職したブラウンは、1983年のある夏の日に、スイスのバーゼル市に住む謎の大富豪・美術品収集家のコンラート・バイラーからの“招待状”を受け取ります。バイラーが所有するアンリ・ルソーの未公開の絵を鑑定してほしいとの内容の手紙です。この依頼を受けて、ブラウンはバーゼル市に降り立ちます(実は、ブラウンという姓の人物がもう一人登場します)。
アンリ・ルソーの未公開の絵の真贋鑑定を頼まれた、もう一人の主人公は現在、岡山県倉敷市の大原美術館に勤務する美術館監視員(絵画研究家)の早川織絵です。1983年当時は、フランスのパリ市にいた彼女も、バーゼル市に向かいます。
ブラウンと早川の二人は、バーゼル市にあるバイラーの大邸宅の一室で、画家アンリ・ルソーが絵を描くエピソードなどを集めた謎の小冊子を読まされます。この謎の小冊子を、一日当たり一章ずつ読むように指定され、7日間かけて読破します。この小冊子を読んで、バイラーが所有するアンリ・ルソーの未公開の絵の真贋を判定してほしいとの依頼です。
この謎の小冊子の各章には、1906年ごろに作品を発表していた“素朴派”画家のアンリ・ルソーの貧しい日々が描かれています。遠近法も明暗法も習得できなかった日曜画家と揶揄(やゆ)されたアンリ・ルソーが過ごす苦悩の日々が綴られています。ところが、同時代を生きたあのパブロ・ピカスがアンリ・ルソーの作品を、新しい前衛的な作品だと高く評価し、ある支援をします。この小冊子の各章が物語るアンリ・ルソーの日々の物語そのものが、とても面白いのです。
多くの方が小説「楽園のカンヴァス」は“絵画ミステリー”の部分が面白いと高く評価していますが、ミステリーではないと思います。いくつか出てくる謎は、謎のままで合理的な解釈などを拒否しています。たとえば、早川が新進気鋭の絵画研究家を断念する理由や、アンリ・ルソーの未公開の絵の真贋判定の勝負の時に、早川が事実上自ら権利を放棄する謎はそのままです。小説の物語としては面白いですが、謎は謎のまま残る展開です。
長くなったので、続きは次回編になります。
先日、東京都内の大型書店に行った時に、この本の文庫本(2014年7月1日発行、新潮社)が並んでいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/e6/a233dfbdfb5e56af4de7483fd7c62608.jpg)
小説「楽園のカンヴァス」は、その後に山本周五郎賞を受賞するなどと評判がよかったので、この単行本を購入した記憶があるのですがすが、まだ読んでいないことを思い出しました。整理整頓できていないので、購入した単行本を探し出す自信がないために、文庫本を購入しました。
単行本「楽園のカンヴァス」は2012年1月1日に新潮社から発行され、書評の評判がいいので、大型書店では目立つように平積みされていた記憶があります。各新聞紙などの書評にも取り上げられていました。
たぶん小説の主人公は、米国のニューヨーク近代美術館(MoMA)の学芸員(キュレーター)のティム・ブラウンです。ハーバード大学大学院で美術史を学んで修了し、ニューヨーク近代美術館に就職したブラウンは、1983年のある夏の日に、スイスのバーゼル市に住む謎の大富豪・美術品収集家のコンラート・バイラーからの“招待状”を受け取ります。バイラーが所有するアンリ・ルソーの未公開の絵を鑑定してほしいとの内容の手紙です。この依頼を受けて、ブラウンはバーゼル市に降り立ちます(実は、ブラウンという姓の人物がもう一人登場します)。
アンリ・ルソーの未公開の絵の真贋鑑定を頼まれた、もう一人の主人公は現在、岡山県倉敷市の大原美術館に勤務する美術館監視員(絵画研究家)の早川織絵です。1983年当時は、フランスのパリ市にいた彼女も、バーゼル市に向かいます。
ブラウンと早川の二人は、バーゼル市にあるバイラーの大邸宅の一室で、画家アンリ・ルソーが絵を描くエピソードなどを集めた謎の小冊子を読まされます。この謎の小冊子を、一日当たり一章ずつ読むように指定され、7日間かけて読破します。この小冊子を読んで、バイラーが所有するアンリ・ルソーの未公開の絵の真贋を判定してほしいとの依頼です。
この謎の小冊子の各章には、1906年ごろに作品を発表していた“素朴派”画家のアンリ・ルソーの貧しい日々が描かれています。遠近法も明暗法も習得できなかった日曜画家と揶揄(やゆ)されたアンリ・ルソーが過ごす苦悩の日々が綴られています。ところが、同時代を生きたあのパブロ・ピカスがアンリ・ルソーの作品を、新しい前衛的な作品だと高く評価し、ある支援をします。この小冊子の各章が物語るアンリ・ルソーの日々の物語そのものが、とても面白いのです。
多くの方が小説「楽園のカンヴァス」は“絵画ミステリー”の部分が面白いと高く評価していますが、ミステリーではないと思います。いくつか出てくる謎は、謎のままで合理的な解釈などを拒否しています。たとえば、早川が新進気鋭の絵画研究家を断念する理由や、アンリ・ルソーの未公開の絵の真贋判定の勝負の時に、早川が事実上自ら権利を放棄する謎はそのままです。小説の物語としては面白いですが、謎は謎のまま残る展開です。
長くなったので、続きは次回編になります。
いろいろと想像力をかき立てる名作です。
大原美術館など、日本の美術館はアンリ・ルソーの絵を所蔵していて、鑑賞できます。