人気作家の東野圭吾さんの新刊「マスカレード・イブ」を読み終えました

　人気ミステリー作家の東野圭吾さんの新刊「マスカレード・イブ」を読み終えました。2014年8月25日に集英社から、“書き下ろし”文庫本として発行されるとの新聞広告が数日前から出ていた新刊です。

　発行日の8月25日の数日前ですが、都心の大型書店には平積みされて売られていたので購入し、読んでみました。



　新刊「マスカレード・イブ」は、以前に雑誌に発表した短編3編と、「マスカレード・イブ」という書き下ろしの中編で構成されています。

　2011年9月9日に集英社から発行された単行本「マスカレード・ホテル」に登場した主人公の刑事の新田浩介と大手ホテルの従業員の山岸尚美が出合う前の物語との触れ込みです。

　ミステリーらしい面白さは、やはり今回書き下ろした中編の「マスカレード・イブ」で感じました。某大学教授の殺人事件を捜査している刑事の新田浩介が話の進行役です。その話の中に、ホテル・コルテシア大阪に勤務するフロントクラークの山岸尚美が登場します。ただし、この主人公の二人は直接出会って話をすることはありません。

　中編「マスカレード・イブ」は、ミステリーの基本的な要素が盛り込まれていて、ストーリー展開は面白いです。読者の予想を超える話の展開です。中編ミステリーとしての標準的な出来映えです。でも、大物人気ミステリー作家の東野圭吾さんが書いたものとしては、話の展開の意外性が物足りないと感じました。

　発表済みの短編の中では「化面と覆面」が面白かったです。トリックそのものは手垢にまみれていますが、状況説明の仕方によって面白く読ませる筆力を感じます。

　この短編の話の中身は、人気作家になりつつある“覆面作家”がホテル・コルテシア東京に宿泊する話です。大手出版社が、この新人作家をホテルに宿泊させ、“カンズメ”にして原稿を書かせる話は、東野圭吾さんの体験談に基ずくようです。

　ホテル・コルテシア東京のフロントクラークの山岸尚美が主人公を務める2編の短編では、ホテル従業員の観察力によって真実を見破る話です。「ホテルに泊まる宿泊客がかぶっている化面は剥がしてはいけない」が一流ホテルの従業員の心得だそうです。