ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

今後のブログ展開のイントロとして

2010年04月18日 | イノベーション
 最近買ってみたいと思ったモノは、米国アップル社のタブレット型端末「iPad」です。電子書籍アプリケーション「iBooks」を使ってみたいからです。


 1年間に単行本を100数10冊も購入し置き場所に悩んでいる者として、紙の本ではない電子書籍を体験してみたいと考えたからです。本当にほしいと思える商品は久しぶりの登場でした(米国では4月初めに発売されましたが、米国以外での発売は5月末と約1カ月延期されました)。

 電子書籍がどんな可能性を持っているのか、興味津々(しんしん)です。たとえば、デジタル・スチル・カメラが登場し、“写真”の使い方が大きく変化しました。画像データである現在の“写真”は、10数年前は印画紙に焼きつける紙の“写真”でした(一時、デジタルカメラと区別するために、従来のカメラが“銀塩カメラ”と呼ばれたのは、撮影して光が当たったフイルムに像をつくり出す際に銀の酸化・還元反応を利用するからでした)。これに対して最近は、写真をパソコンの画面上で画像データとして見ることが普通になりました。

 画像データを印画紙に焼き付けたい場合は、その画像データを電子メールに添付して写真現像店(?)に送ると、写真現像店が印画紙にプリントする仕組みに変わりました。写真の渡し方も変わりました。渡したい相手に電子メールに添付して転送したり、Web上の特定サイトに保存し、このサイトのある場所を相手に教えると、その相手が自分がほしい画像データをダウンロードする仕組みに変わりました。画像データの写真という存在が、写真の使い方や相手への提供の仕方を変えたのです。この仕組みの変化がイノベーションです。

 端末「iPad」も電子書籍機能によって、紙製の本の存在を一変させるるかもしれません。2010年3月から日本経済新聞社は電子新聞を発行し始めました(有料化は4月から)。もし「iPad」を使って、電子新聞が読めるようになると、自宅などへの宅配制度がなくなるかもしれません。記事が朝刊と夕刊に2回に分けて送られるシステムも変わります。

 端末「iPad」にスペルが似ているアップル社の携帯デジタル音楽プレーヤー「iPod」(第一号は2001年10月に登場)は音楽コンテンツの販売の仕方を根底から変えた点で、イノベーションでした。音楽再生・管理ソフトウエアの「iTunes」を用いて「iTunes Store」サービスから音楽データを購入する仕組みが実現したからです。この結果、街のCD(コンパクトディスク)販売店は事業規模が急速に縮小しています。

 有名なイノベーションのたとえ話に、汽車と鉄道の例があります。蒸気機関車の開発はインベンション(発明)でしたが、その汽車を運行させる鉄道という仕組みはイノベーションでした(駅馬車の仕組みを置き換えたものですが)。鉄道の仕組みによって、定時に出発したり到着できる定期運行の基盤を築き、旅行や移動を計画的にできるようになりました。

 さてここで、日本の企業がイノベーションを起こしつつある事例を考えてみました。まだ開発途上ですが、ホンダ(本田技研工業)の二足歩行ロボット「アシモ」はイノベーションを起こす可能性を秘めています。その派生製品として、2008年4月にホンダは軽量型ロボットスーツ「歩行アシスト」開発版を開発しました。高齢者の歩行を助ける機器です。
 
 よく似たものに、筑波大学発ベンチャー企業のCYBERDYNE(サイバーダイン、茨城県つくば市)が実用化した「ロボットスーツHAL 福祉用」の下肢用があります。歩行が不自由な方が着用し、下肢を動かすことでリハビリをする機器です。


 高齢者社会を迎えつつある日本にとって重要な機器になり、高齢者の生き方を変える可能性があるものです。

 ここで重要なことはCYBERDYNEが大学発ベンチャー企業という点です。新規事業の芽を大学発ベンチャー企業という仕組みによって事業化を図っている点に、ここ10年間の日本の産学官連携の進化があります。


 「ロボットスーツ」は大学発ベンチャー企業と既存大手企業のホンダなどが事業化を競い合いそうです。今後、日本がイノベーションをどう起こしていくのかという“問い”を、今後は大学発ベンチャーの実務者にインタビューして考えてみたいと思います。

 日本の企業の既存事業は国際市場での激しい競争にさらされ、収益確保が次第に厳しくなり始めています。既存事業から、時代の変化に適した新規事業に乗り換えることが、企業の成長に不可欠になっています。イノベーションを起こす新規事業起こしの先駆けとなるベンチャー企業の動きがとても気になります。既存企業の社外であっても社内であっても、ベンチャー企業という形で新規事業を起こすことが、日本の近未来を切り開きます。日本では大学発ベンチャー企業の育て方を模索し続けていると感じています。こう感じることの原因を本気で探ってみたいと思います。日本の近未来がどうなるかを考えてみたいからです。