ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

三千院はシャクナゲが見事でした

2010年04月16日 | 旅行
 京都の春は中心部から周囲の山を次第に登っています。鞍馬や高尾などの周囲の山では桜はまだ咲いていないと、桜の開花情報は伝えます。これに対して、京都の北にある比叡山麓の盆地の大原には桜前線は到達していました。

 4月13日に三千院を訪ねました。参道の山道を登っていくと、農家の石垣や段々畑に早春のヒメオドリコソウなどの野草が群生しています。この山道を登るというアプローチは、厳粛な雰囲気の中に入っていくという気持ちになるような自然の演出になっています。

 三千院の境内では、桜はいくらか散り始めていました。しだれ桜が色鮮やかでした。西洋シャクナゲが見ごろで、コケの緑の絨毯をバックに色鮮やかです。

 池を縁取るコケの中にショウジョウバカマの群生が点在しています。既に花が終わったものと、これから花を咲かせるものがありました。花期のスイッチがどう入る仕組みなのかよく分かりませんでした。これから花をつけるショウジョウバカマの葉は、緑色が薄く若々しい感じでした。

 境内の往生極楽院の中は、中央に阿弥陀如来、右手に勢至菩薩、左手に観音菩薩の阿弥陀三尊像が鎮座しています。お姿をこんな間近で拝観できるところはあまりないと思います。かなりの迫力です。

 開放的なつくりの建屋は、真冬はかなりの寒さになると思いました。これだけでも、ものすごい荒行になると感じました。

 境内の出口付近の円融蔵展示室内には、阿弥陀三尊像の天井画の再現図が描かれていました。サイケデリックな極彩色によって極楽浄土を描いたもので、薪(たきぎ)を燃やした光で見ると、そこが極楽浄土となったものと思います。当時の中国のハイテクノロジーを導入した劇的な演出です。当時の庶民は拝むことができなかったパワースポットです。

 本物は長年、護摩(ごま)を燃やした結果、煤(すす)で黒ぴかりしていて、色彩が分からなくなっています。極彩色の顔料・色素は赤外線分光分析で成分を決めたようです。説明員は「赤外線を当てて分かった」と解説していました。

 境内の奥に植えられた、しだれ桜は満開で見事でした。

 この木のすぐ側で、キセキレイが朗々と歌っていました。春の野鳥の鳴き声の中では、美しいものの一つです。参拝客はほとんど聞き入らず、通過していきます。出口の桜の木の上には、ウソが数羽いて桜の蕾(つぼみ)を食べていました。この時期だけは害鳥になるそうです。

 午後、私は仕事に、妻は二条城に向かいました。二条城は「二条城桜マップ」が用意され、どこにどんな桜が植えられているか、花の写真付きで親切に説明されていたそうです。こうした説明ソフトウエアは観光にとって重要なツールです。ここまでの気遣いが大切です。