「ハイリーセンシティブチャイルドと「恥ずかしい」という感情について。
『The Highly Sensitive Child』by エレイン・アーロンを参考に。
前の記事に書いたんですが、心理学では、
「恥」という感情は、全存在の否定、なすすべなし望みもなし、
といった姿勢に繋がり、
「罪」という意識は、絞られた行動などが間違っているという意識から、
改善しようというモーティベーションに繋がる、
とされているようです。
そして、
「恥」の感情を持つ傾向にあるか (shame-proness)、
「罪」の意識を持つ傾向にあるか(guilt-proneness)、
と比べるのなら、多くの研究が、「罪」より「恥」の感情を持つ傾向にある方が、
はるかに嫌悪感、敵意、暴力、非共感性などを抱きやすいと示しているそうです。
「強烈な『恥』を感じる時、
『恥』は狂ったほどの『嫌悪感』を生み出すことがあります。
そしてHSCの『恥を基にした攻撃性』は、
ほとんどの場合、自分自身に向かうんです」
とアーロン氏。
ああ、とても分かります。
自分はだめだと、
自分を責め、
自分を攻撃するようになるんです。
他者には絶対向けないような、
冷たく残酷な言葉や姿勢を、
自分にだけは向け。
ということで、
HSCが「恥」の感情に傾かないように、
周りは何ができるか?
アーロン氏は以下のような提案をしています:
1.「この子は何してもどうせダメ」と諦めた接し方をしない
心理学者が、どんな時に子供は、「恥」の感情に傾くのかを調べたところ、
厳しい躾や規律よりも、全く規律がない場合の方が、
より「恥」の感情を持ちやすかったとのこと。
この「規律がない」というのは、
「どうせ何してもこの子は無駄」と、
諦めてしまった状態を指しているようです。
「子供がHSCであることを、とても残念に思う親というのはいるもの。
親が、これは生まれつきで望みはなしと決めこみ、
どうにかしようという気もなくなっている」場合と。
確かにこうした親のそばにいたら、
自分というものを全否定し、
「怒り」が自分に向かうというのも分かりますね。
「HSCである我が子を残念に思う」については、
我が家でも思い当たるエピソードがあるので、
また後ほど書きたいです。
2.染み付いた習慣に気づきましょう
親や周りから言われ、恥ずかしく思った言葉を子供に対して用いないこと。
「あなた馬鹿ねえ、自分が何したのかみてごらん!」
「ホント何にも正しくできないのね」
「いっつもこぼすんだから」
「嫌な気分にさせるわねえ」
「みんなどう思うと思う?そんなことしてえ」
などなど、親から言われた言葉を、
ついついそのまま繰り返している自分に気づくかもしれません、
とアーロン氏。
それでも、「習慣は変えらるんです」と。
3.期待し過ぎない
適度な期待は、
「僕/ 私にできると思ってくれるんだな」
と、子供にとって親が自分を信頼してくれているという励みになるもの。
それでも期待し過ぎる傾向を持つなら、
特定の何かに全く期待しないようにするのがいい、
とアーロン氏は言います。
「この子はこれができるあれができる、
将来こういうことをもたらしてくれるといった思いなしに、
ただ、子供を日々楽しむようにしてみましょう」と。
「自分のしたいことより、親が望むようにした繊細な大人というのは、
結局うまくいかず、遅い時期にまた一から始めるということになりがち。
そして、親の希望にかなわなかったという深い恥の意識を持つようになります」
というアーロン氏。心理学者として、
こうしたクライエントに多く接してきたんですね。
「将来何になりたいかという話し合いでは、
自らの意向は横に置き、
利点と不利点を中立的な立場から並べてみるのがいいでしょう」とのことです。
HSC は親が何を期待しているのかにも敏感ですからね。
大好きなままパパのために、一生懸命こたえようとしてしまうもの。
気づいていきたいなと思います。
4.周りの子と比較しない
兄弟姉妹でも違うもの。
それぞれ子の強みにフォーカスし、比較しないこと。
例えば、
「どうして、あなたはお兄ちゃんみたいに人前で堂々と話せないんだろうねえ」ではなく、
「お兄ちゃんは今はあなたより人前で話すことが簡単にできるようだけれど、
でもあなたは書くことがとても上手だものね」と話してみる。
「あなたもあの子もどちらも同じくらい良いと示せないようならば、
違いについて話す必要もないでしょう」と。
我が家でも、「昨日の自分自身と比べなさい」が鉄則です。
5.からかうときは年齢や性質やその子の様子をよくみること
からかいや風刺は、愛情を示す方法でもあるわけですが、
それでも「子供が穏やかに愛情をもって機知をきかせた楽しみとして捉えられると確信しない限り、
気をつけてください」とアーロン氏はいいます。
これもよく分かります。
からかいや風刺に溢れた環境ってあるんですよね。
「中年以降のおじちゃん」に多いなあと。
例えば、「クッキーよくできたね!犬が好きそうだよ!」とからかってみたり、
モノを投げてうまく受け取れないと、
「赤ちゃんの妹のほうがうまいんじゃない?」とか。
順番にその場にいる子にモノを渡して、
「君にはな~し」と笑ってみたり。
本当楽しくて大好きな方ばかりなんですが、
こうした言葉のひとつひとつに、
子供達強張っていたのを思い出します。
「恥」とはちょっと違うものの、
「家の子になる?連れてっちゃおうかな~」という言葉に、
本気で恐れていた幼児がいたのも思い出します。
こうしたからかいも、
ある程度の年齢になれば、自ずと、はははと笑ってすませられるもの。
年齢と、その子の性質をみていきたいですね。
6.家族の問題の原因が自分であると思わせない
「小さな子とは自分を中心に考えがちなので、
ママとパパが喧嘩してるのは自分のせいなどと思いがち」とのこと。
「妹が病気になったのは、僕が怒って『死んだらいい』なんて思っちゃたからだ」など。
原因について年齢に合った言葉で具体的に話してやるのがいいでしょうとのこと。
これをしたらだめあれをしたらだめと神経質になり過ぎず、
できる範囲で気をつけていきたいですね。
恥の感情を持つ場面を通っても、
その後大らかに包み込んでやるなら
それほど深く刻み込まれることもない、そう思います。
HSCが、のびのびと羽ばたいていく過程をサポートしていきたいですね!