子供達は最長で2年から数か月まで、
皆プレスクール時代ウォルドルフ学校(シュタイナー教育)にお世話になった。
私自身も高額な月謝を部分免除してもらうという条件をいただき、
教室でお手伝いをさせていただいた。
シュタイナー教育では、「7歳までは夢の中」といって、
学齢期までは一切アカデミックを取り入れない。
シュタイナー教育に関わる人々の間では、
7歳までにアカデミックな知的面に力を注ぐことで、
その後の土台となる身体面や意志の力や情緒面が損なわれるといった
様々な「弊害」が取り上げられている。
「創造力や想像力が潰されてしまう」というものもあった。
ちなみにこれらの「弊害」は、
周りの大人が無理やり詰め込むという場合だけでなく、
子供本人が文字や数や科学的な知識に興味を持つ場合にも当てはめられ、
なるべく、そうした方面へは興味を深めないようにといった働きかけがされていた。
こうした教室の雰囲気に当時共感し感銘を受けつつも、
家に戻れば子供達、
絵本(シュタイナー教育では想像力を育むためストーリーテリングのみ)や
数式や百科事典や様々なパズルに夢中。
シュタイナー教育の信念を実践できない肩身の狭さや、
どうしてもフィットできないといった気持ちがあった。
10年以上ウォルドルフ学校でキンダーの先生をしている友人にも、
長男が学齢前の当時、「せっかく子供が持っている色々な能力が潰れちゃうよ」
そんな指摘をされたことを覚えている。
その後、我が家もその友人も様々な変化を通り、
我が家は五人とも小学校から公立のプログラムに通うことになり、
友人はシュタイナー教育を生かした独自のプレスクール経営を軌道に乗せている。
今は成人した友人の息子さん、高校生になった我が家の子供達に囲まれ、
その友人が、子供たちに長年関わる中で変化した気持ちとして、
こんなことを言っていたのを思い出すことがある。
「創造力などの子供の持つ力って、潰されなんてしないんだよね。
環境によって、隠れてしまうことはあるかもしれないけれど、
その子の中に、脈々とあり続けている。
そしていくつになっても、発揮することができる」
私自身も、幼児時代アカデミックに興味津々で突き進む子を、
特にアラスカ時代たくさん見てきたけれど、
創造力溢れ健やかに育っている子もいっぱいいるということを実感している。
現代は、子供に関わるのが初めてという親も多い。
また世界も刻々と変化している。
この子にとって一体何が大切なのだろうと、試行錯誤で進んでいる方がほとんどだろう。
そんな中、
ああー、あれはまずかったー、なんてこと、何度も繰り返すもの。
そんな時、
多くの子供達との関わりを通し、友人のたどり着いた、
「能力は潰されなんてしない、隠れることはあっても、脈々とあり続けている」という言葉が、
力を与えてくれる。
子供も大人も、
ガラス細工のように、パリンと割れて取り返しのつかないものじゃない。
粘土細工のように、凹んでも戻り、むきむきと形を変えていけるもの。
そんなイメージを持って子供達に向き合う時、
子供自身も、ガラスから、弾力のある粘土へと変身していく。
追記:
・シュタイナー教育について、以前まとめた記事:http://kosodatekyua.com/2014/04/steiner/
プレスクール時代の先生に、多くを学びました。
短い間だったけれど、あの世界観に触れ子育てできたこと感謝しています。
・学齢期前のアカデミックについて私自身は、
アカデミック自体の導入を否定するよりも、
周りの大人がどう導くかが大切だと思っています。
子供の興味や好奇心に火をつけ、そこから広げていくようにする。
小さな子ほど、机上よりも、遊びや日常の文脈の中で学んでいく、など。