ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその433-よこがお

2020年01月27日 | 邦画

「マスコミ」
マスコミュニケーションの略で、不特定多数に対して情報が提供されること、及びそれを行う企業・団体のことである。
ペンは剣よりも強しと言った言葉があるように、反社会勢力に対して、正義の鉄槌を振り下ろすのならよいのだが、時には誤った情報を世間に流し、人を傷つける事もある。
現在はネット社会。マスコミやネットで、誤った情報を流布されて、傷ついた人も多くいるのではないか。
今回紹介する映画は「よこがお」
一人の女性が、負のスパイラルに堕ちて行く様を描いた映画である。
ストーリーを紹介しておこう。

訪問看護師白川市子は、訪問先の姉妹たちの勉強を見てやるほどの仲の良い関係を続けていた。
更に近々医者との結婚話も進んでおり、順風満帆の人生を歩いていた。
しかし、ある日その姉妹の妹が行方不明になる。
翌日彼女は無事警察に保護されたが、彼女を誘拐したのは、市子の甥であった。
訪問先の家族には、そのことを秘密にしていた市子だったが、ある日訪問先の母親にこの事件の載った週刊誌を突きつけられ、事実を知られてしまうのだが.......

マスコミの誤った報道で、市子は誘拐の手引きをしたことになってしまう。
連日マスコミに終われ、職場も辞めざるを得なくなってしまう。
結婚の約束をしていた男からも別離を言い渡され、彼女はその幸せの全てを無くし、負のスパイラルに堕ちて行く。
改めてマスコミとは怖い存在だと思わざるを得ない。

この映画、前半はスマートで丁寧な作りになっていて、現在と過去とのフラッシュバックで物語は進む。
しかし、残念ながら、後半は一気に失速し、作りが雑になってゆく。
主演の筒井真理子の体当たりの演技は、多少褒められはしても、この映画の決定打とはなっていない。
そして、この映画の主題もあやふやになって、観るものに伝わってこない。
そしてこの映画も、おきまりの「日本映画のステレオタイプ」のエンディングになってしまっている。
映画全体を通すと、どうもちぐはぐな面が見えてくる。更に不要と思われるシーンもいくつかある。
彼女は名前を変え、自分に不利な証言をした訪問介護先の姉に復讐を誓い、それを実行するが、その結末はおそまつなもので終わる。
そしてラスト、決定的な復讐の場面がやってくるが、彼女はそれを実行に移せなく終わってしまう。
映画前半の作りが良かっただけに、後半からのシークエンスの狂いは、この映画の最大のダメージだろう。
前回取り上げた「左様なら」と言い、本作と言い、日本映画の未来に、依然光を見つけることはできない。

2019年、日本製作、カラー、111分、監督:深田晃司

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