ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその480-サムライ

2020年08月13日 | ヨーロッパ映画
クールな画面に、シャープな作り。

武士道。
古来の日本の心と言っても良いそれは、私自身も探求したことがない、未知のものだ。
昔から、ヨーロッパを中心に、日本と言う国を知るのに、もてはやされたものではないだろうか。
今回紹介する映画は「サムライ」。
一人の殺し屋に、日本の武士道精神を投影した映画だ。
ストーリーを紹介しておこう。

コステロは組織に属さぬ、一匹狼の殺し屋。
彼はある組織から、クラブのオーナーの殺しを依頼される。
首尾よく仕事を終えた彼だったが、偶然にもそのクラブで演奏している女性に、現場から出てきた所を目撃されてしまう。
しかし彼女は、何故か警察の尋問で、コステロを見ても、犯人は彼ではないと偽証をする。
仕事の報酬を貰うため、コステロは、依頼主の代理人と会うが、いきなり発砲され、殺されかける。
意を決したコステロは、依頼主への復讐を始めることにしたのだが......

まずは、コステロを演じたアランドロンがクールで素晴らしい。
感情を表に出さぬ、抑えた演技が光る。
そして監督メルヴィルの、観客がひやりとするようなクールでシャープな画面作り。
一流の監督と、一流の俳優がコラボレーションすると、出来上がる作品もしっかりしたものとなる。

コステロは見事依頼主への復讐を果たす。しかしそれと同時に新しい殺しの依頼を受ける。
受けたのは、自分を偽証して助けてくれたクラブで演奏していた女性。
彼は再度クラブを訪れ、ピストルを忍ばせて彼女のステージに近づく。
しかし、クラブに潜んでいた刑事数名の銃弾を浴び、コステロは絶命する。
或る刑事がコステロのピストルを見て驚く。
なんと弾倉には1発の銃弾も入っておらず、空だったのだ。

彼は、彼女を殺すことを良しとせず、自ら死地へ向かったのだろう。
ここに武士道の精神を、ヨーロッパの人々は感じたのではないだろうか。
さすがの傑作と言える作品なので、観ていない方は是非観ることをお勧めする。

1967年、フランス製作、カラー、105分、監督:ジャン=ピエール・メルヴィル

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