ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその325-シェプ・オブ・ウォータ

2018年05月22日 | アメリカ映画
純粋一路の作品。

人を愛すること、いや、何かを愛すること。
これに、自らを顧みず成就できる人間はいるのだろうか。
「愛」を言う根拠をしても、長年連れ添った夫婦などは、その道程に苦言を呈することが多い。
果たして「無償の愛」とは存在するのであろうか。
現代の人々は「自由」を根拠に、愛することの根拠を忘れているのではないだろうか。
今回紹介する映画は「シェイプ・オブ・ウォーター」今年のアカデミー賞「監督賞」「作品賞」の作品である。
ストーリーを紹介しておこう。

口のきけない女性イライザは、航空宇宙センターで、清掃員として働いている。
ある日、職場に、得たいの知れない生物が持ち込まれる。
最初は、何か分からず、その場所を清掃するイライザであったが、それが未知の海洋生物だと知る。
その生物は、極めて人間に似た姿をしており、興味を持ったイライザはその生物と接触を試みる。
するとその生物は、イライザに心を開き始め、二人の交流は始まることとなる。
しかし、その生物を実験材料としていた、政府の要人が、解剖をすることになる。
その生物をなんとか救いだすべく、イライザは計画を練るのだが.........

この映画の描くところは「愛」である。
観ようによっては、陳腐に見えるかもしれない。
しかし、私は、この映画の「真紅の矢」に、心を貫かれた。
素晴らしい出来栄えである。
特にラストの二人の美しさ、可憐さには涙が止まらなかった。
「何かを愛する心」
たとえそれが、異形のものであっても、その心の中心は温かく、美しい。
それを、久しぶりに教えてくれる一品に出会った。
近年の傑作に数えても、異論がない作品であると思う。
まだ観ていらっしゃらない方は、是非観るこをお勧めする。

2017年、アメリカ製作、2018年日本公開、カラー、123分、監督:ギレルモ・デル・トロ

明日のためにその325-スリービルボード

2018年05月19日 | アメリカ映画
人間の業を感じる一本。

母の愛。
人類で最高、最強のものであろう。
人は女に生まれた後、母となる。
母となった女は、自分のポテンシャルを超える行動を起こす。いや起こせるのだ。
母の偉大さは、ここにある。
それは、だいたい多くの子供が実感できるはずである。
本日紹介する映画は「スリー・ビルボード」
母の愛、人間の業に訴える傑作である。
ストーリーを紹介しておこう。

ミルドレットは、自分の娘を殺された過去をもつ女性。
彼女はある日、未知沿いの朽ち果てたビルボード(広告看板)を見かける。
彼女の娘が殺された事件は、未だ未解決のまま。
そこで、彼女は、その事件に対しての、自分の意見をそのビルボードに掲載することにする。
このことは、すぐに地元で話題となり、警察に対しての挑発的な表現について、地元警察と関係をこじらせることになる。
ここから、彼女と、地元警察との攻防がはじまるのだが..........

この作品が凄いのは、人間の「業」に対する肯定だろう。
人間が、素直に、自分に正しく行動すればこのようになる、と言うことを飾り気なしで表現している。
特に「母」と言うものの辛辣な「愛」をストレートに表現している。
その濃密な作り、物語の展開と言い、私は文句の付け所がない作品だと思う。
この映画は、本年アカデミー賞で、主演の「フランシス・マクドーマンド」が主演女優賞を獲得している。
彼女の演技で、印象深いのはコーエン兄弟の代表作である「ファーゴ」の刑事役であろう。
彼女の演技は、もちろん素晴らしいスケールで完結している本作である。
近年、是非観るべき作品として、推奨したいものである。
まだ観ていらっしゃらない方は、是非観ることをお勧めする。

2017年、アメリカ製作、カラー、115分、監督:マーティン・マクドナー

明日のためにその324-マン・ハント

2018年05月14日 | 邦画
曇ったかジョン・ウー

過去に、日本を舞台にした映画を沢山観てきた。
その殆どが、誤った日本の捉え方をしている。
日本的美意識が過剰すぎる演出も多々見られた。
果たして、日本人以外が見た、日本とは、どのように捉えられているのだろうか。
甚だ疑問を持つ。
今回紹介する映画は「マン・ハント」日本を舞台にした映画である。
ストーリーを紹介しておこう。

中国人ドゥ・チウは、日本の大手製薬会社「天神製薬」の顧問弁護士として、多くの裁判を勝ち抜いてきた。
ある日、彼は天神製薬のパーティに招待される。
そのパーティで、田中と言う女性に誘惑され、彼は彼女と一晩過ごすべく、日本の自宅へ向かう。
しかし、ドゥ・チウは、何者かに襲われ、気を失ってしまう。
朝目覚めるとベットの横に田中の死体が横たわっている。
焦るドゥ・チウ。
そこに、まるで図ったかのように警察が踏み込んでくる。
なんとかその場をやり過ごし、逃走するドゥ・チウであったが..........

冒頭のシーンでは、迫力ある銃撃戦を描き出し、さすが監督ジョン・ウーと思わせる。
しかし、その後がいけない。
日本の色の、いや、景色というか、描き方がおかしい。
映画の殆どは、日本の大阪が舞台となるのだが、この映画の内容が、果たして日本で撮る必用性を理解できない。
やはり日本を舞台にしてしまうと、納得できる作りになっていないのだ。
やはりこの手の映画は、アメリカで撮った方が良いと思う。
ジョン・ウー曇ったか?私はそう思った。
また、ドゥ・チウを追う刑事役の福山雅治が良くない。
彼のすかした演技が鼻につく。
しかし、後半からエンディングへの昇華は見るべきものがある。
前・中盤の間違った作りさえなければ、観るべき映画になっとではと思う。
この映画の基となったのは、1976年の佐藤純弥監督の「君よ憤怒の河をわたれ」だと言う。
残念ながら私はこの映画を観ていない。
よって比較が出来ない。
「佐藤純弥」監督は名作「新幹線大爆破」を撮った監督である。上記の作品は観るに値するのではないかと思う。
機会があったら是非観てみたいと思う。
名匠「ジョン・ウー」にしては、珍しく駄作に近い映画を作ってしまった。
しかし、彼の今までの作品は、私は評価しているので、これかも観続けて行きたいと思う。