ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその10-グライド・イン・ブルー

2012年01月28日 | アメリカ映画
アメリカンニューシネマの隠れた傑作

夢と希望と愛とそしてハッピーエンド。
今のアメリカの映画の特徴の一つである。
しかし1970年代にその風潮を一変する現象がおきる。
アーサーペン監督の「俺たちに明日はない」に代表される「アメリカンニューシネマ」台頭である。
そこには病める国アメリカの現状を舞台こそ変えながらもスクリーンに叩きつける作品が多く作られた。
「グライド・イン・ブルー」この映画もその一つである。
物語はアメリカの田舎で刑事になることを夢見ながら白バイ警官を続ける主人公ジョンが地元で起きた殺人事件に積極的に関与することから始まる。
彼の姿勢に好意をしめした刑事課が彼をこの事件の担当刑事として抜擢する。
夢かない刑事となった彼だったが....。
この映画の全編に流れるものは「絶望」である、夢も希望もない。
そして最後に彼は友人や全てを失い白バイ警官に戻る。
その彼を待っていたものはあまりにも残酷な現実だった。
アメリカ映画は1980年代からまた夢と希望とハッピーエンドの作品を量産し始める。
1970年代に作られたアメリカンニューシネマの他の傑作ともあわせて是非観ていただきたい一本である。
1973年公開

明日のためにその9-おじさまとデート

2012年01月27日 | 歌謡曲
続幻の一品入手

あれは私がまだ学生の頃だったろうか、中古レコードショップでエサ箱をあさっていたときのことだった。
店内にはFM放送が流れていた。
何気なく聴いていた私はある曲を聴いたとたんレコードを探す手が止まった。
何とも不思議な歌詞、何とも不思議な曲。
女性の声のあとに男性コーラスが歌詞を追う展開の曲調。
全てが衝撃的であった。
その曲名が何であるかをしったのはその後暫くしてからだった。
「おじさまとデイト」
歌手は中尾ミエ、と言っても古い歌手なのでご存知の方も少ないかもしれない。
彼女は1960年代前半、16才のときに「可愛いベイビー」でデビューし、一躍人気歌手となった。
今でもコンサートやテレビ出演をしている息の長い歌手である。
私自身中尾ミエの存在も「可愛いベイビー」のことも知っていた。
しかしこの「おじさまとデイト」については全く知らなかった。
この曲の存在を知ってから20年程経過した時この曲の入った中尾ミエのCDが発売された。
私は迷わずそのCDを購入しくりかえしこの曲を聴いた。
男性コーラスを従えて可愛らしく歌う中尾の歌唱がとても可笑しく思えた。
と同時に音楽の可能性の広がりを教えてくれた曲でもあった。
どんな方法論でも音楽は作ることができるのだとこの曲を初めて聴いたときから感じていた。
もしこの曲と出会わなかったら私の作詞・作曲の世界は全く違ったものになっていたろう。
つい最近オークションでこのシングルレコードが出品されていた。
迷わず入札し、落札できた。
またひとつ幻の一品を入手できた、至高の喜びである。

明日のためにその8-野良犬

2012年01月26日 | 邦画
初期の傑作の一本。

皆様は黒澤明の作品と言うと何を思い浮かべるだろう。
七人の侍。
大半の方はそう思われるのではないだろうか。
確かに七人の侍は傑作である。
各登場人物のキャラクターの設定の妙、ダイナミックな合戦のシークエンス、どれをとっても文句のないできである。
事実日本映画のオールタイムベストを選ぶとき必ずと言って良いほどこの作品は第一位に挙げられる。
しかし黒澤映画で忘れてはいけないものがある。
それが「野良犬」である。
黒澤の初期の作品としては「酔いどれ天使」がベストに挙げられることが多い。
だがあえて私は「野良犬」をベストに挙げたい。
物語は戦争直後の東京を舞台にして展開される。
内容は若手の刑事村上(三船敏郎)が射撃練習の帰りのバスの中でピストルを盗まれる。
彼はねばりと努力でピストルを貸し借りする組織を突き止めることに成功する。
しかしその組織の所有するピストルの中に村上のピストルは無かった。
その後村上は佐藤(志村喬)と言う刑事と共同でピストルの行方を探す。
その矢先ついに村上のピストルを使った強盗事件が発生してしまう。
この映画の創りも隙のないものである、文句のつけようがない。
特に物語前半約20分程におよぶ台詞がほとんどなく、音楽と映像で村上の捜査過程を表現するシークエンスはとても感心させられる。
物語後半の犯人の居場所を突き止めるがほんの些細なことから犯人を逃してしまうシークエンスも見事な創り方である。
作品全体を通じて無駄の無い実にソリッドな創りは傑作として挙げられるには十分であろう。
一説には「ジュールシュダッシン」の「裸の街」をモチーフにされたと言われているが「裸の街」とは明らかにテイストが異なる。
七人の侍などで黒澤映画に興味を持っている方は是非観ることをお勧めする。
1949年公開

明日のためにその7-ダーリン三浦と横浜シューシャンボーイズ

2012年01月25日 | 音楽
ダーリン三浦と横浜シューシャンボーイズ

私はバンドを組んでいる。
現在は活動休止中である。
メンバーそれぞれが他地方へ転勤してしまったりして現在活動できない状態である。
しかし解散はしていない、あくまで「休止中」なのである。
バンドの構成は、リーダー、ヴォーカル、サイドギター、作詞・作曲・編曲「ダーリン三浦」ドラムス「プリン佐治」ベース「チェリー高木」リードギター「ユンケル服部」キーボード「アウシュビッツ杉本」の計5名、キーボードは女性、他は男性である。
主に80年代に活動していた。
当時メンバーの事情がありライブハウスへの出演はできなかった。
しかしバンド活動をしているものにとっては「ステージ」は憧れである。
そこで私はその「ステージ」を「コンテスト」に求めた。
当時はヤマハの「ポピュラーソングコンテスト(通称ポプコン)」を代表に様々なバンドコンテストが開催されていた。
私たちは当時年1回開催されるヤマハの主催するバンドコンテスト「ミッドランド」中心に出場してきた。
自慢話で恐縮だが私たちのバンドは結構うけが良かった。
おかげで幾つかのコンテストで地区の決勝大会までこまを進めることができた。
そんな私たちの映像がユーチューブに3曲アップロードしてある。
つたない演奏であるが見ていただけると幸せの至りである。

The sari who disappeared in fog.(霧に消えたサリー)


I'm sorry.(ごめんあそべ。)



明日のためにその6-ストリート・オブ・ファイヤー

2012年01月23日 | アメリカ映画
素晴らしいスピード感、永遠の青春アクション映画

「ロックンロールの寓話」という字幕から始まる映画「ストリートオブファイヤー」
観始めたらエンディングまで一気に魅せられてしまう素晴らしい映画である。
物語は人気女性シンガーエレンエイム(ダイアンレイン)が地元でチャリティーコンサートを開くところから始まる。
コンサートの途中、レイヴェン(ウイリアムデフォー)率いる暴走族の「ボンバーズ」が会場になだれ込み、エレンをさらっていってしまう。
その会場にいた女性リーバは昔エレンと恋仲で、かってこの街の不良少年だった弟トム(マイケルバレ)を呼び戻しエレンを助けるように求める。
最初は姉リーバーの頼みを断ったトムだったが「彼女のマネージャーから報奨金をもらえるなら彼女を助ける」と言う。(実はこれは口実で今でも彼女を愛しているトムは報奨金をもらわなかった)
やがてトムは酒場で拾った女性マッコイとエイムのマネジャーと3人で彼女を救出することになる。
以上のように物語はいたって単純、勿論エイムは無事救出され、映画はハッピーエンドで終る。
この映画の凄いところは創りに全く隙がないというところだ。
映像、音楽のどれをとっても文句のつけどころがない。
特に映画ラストでレイヴェンとの決闘から再び行なわれるチャリティコンサートへのシークエンスにいたっては全く持って感動・感心させられる。
私はこの映画を劇場でみた帰りに迷わずサントラのCDを買った。
そのCDは当時かなりの自身のヘビーローテーションのCDとなった。
監督はウオルターヒル「48時間」や「ウオリアーズ」を撮った監督である。
彼の映画もいくつか観ているがこの「ストリートオブファイヤー」を上回る出来栄えの作品は無い。
まだ観ていない方は是非観ることをお勧めする。
1984年公開、キネ旬読者が選ぶベストテン第一位。

明日のためにその5-SACD

2012年01月21日 | オーディオ
SACDと言う怪物

開発・発売当初はかなり話題なった「SACD」であったが、CDの領域を凌駕することができずに暫く沈静状態が続いた。
しかし昨年から「ユニバーサルミュージック」がSHM仕様(CDにも使用されている新素材)のSACDを発売を開始して毎月数枚程度コンスタントにリイシュー盤を発売している。
私は数年前に発売されたシャープの1ビットアンプ「SM-SX10(吉田苑改)」を使用していて、SACD再生用のユニヴァーサルプレイヤーとiLINKで接続してSACDを聴いている。
これが凄いのだ、「プレイヤー→iLINK→1ビットアンプ」で聴くと音の世界が変わる。
長年聴きなれているスピーカーから想像を超えた音が発せられるのだ。
その中でも今回紹介する「フリー」の「ファイヤーアンドウオーター」の音は衝撃的であった。
とにかくドラムのタムの音が違う、このようなタムの音を私は聴いたことがない。
生々しく、そして艶っぽいのだ。
まるでタムが語りかけてくるようだ。
毎月「ユニバーサルミュージッく」HPを見ては欲しいものがあれば迷わず買っている。
現在ではiLINK付きのプレイヤーは販売されていないと思う。
また前述のシャープの1ビットアンプも生産中止になっている。
オーディオの価値さえ変えようかと言う組み合わせが現在実現できないことは残念である。


明日のためにその4-シネ・ブラボー

2012年01月20日 | 映画
幻の一品の入手

1973年頃だったろうか、チャップリンの作品がリバイバル上映されて話題を呼んでいた。
私もこのリバイバル上映でチャップリン映画を観てその素晴らしさを知り、自信映画ファンへの第一歩を踏み出したときだった。
おりしもこのすぐ後に「バスター・キートン」の作品もリバイバル上映された。
チャップリンの映画でサイレントのスラップスティック(どたばた喜劇)に興味を持っていた私は続けてキートンの映画を期待感を持って観た。
期待は裏切られなかった。
キートンの映画は凄まじいスタントの連続で観るものを飽きさせない。
私はキートンの作品をいくつか観たことによってさらにスラップステックの面白さに惹かれた。
そして1974年に私にとって最良の一本が公開された。
題名を「シネ・ブラボー!」と言い、映画の歴史の紹介から様々なスラップステックやサイレント映画の名場面を収めた日本独自編集による映画だった。
私は公開初日に一人でこの映画を観にいった。
とてもショックだった。
この映画を通じて文書でしか知らなかった俳優の演技にも触れられたし、この映画を通じて知ることとなった様々な映画俳優にも出会えた。
特に圧巻だったのは映画のラストを飾った「モンテンバンクス」の「無理やりロッキー破り」だった。
恋人の乗った暴走機関車へ車から飛び乗りなんとか彼女を助けようと様々なアクションを繰り広げ最後はハッピーエンドで終る。
この映画のアクションシーンの凄さは今観ても驚くであろう。
今の時代おおよそどんな映画でもDVD等で観られるようになったが、この映画だけは未だDVD化されていない。
しかし先日オークションでこの映画のヴィデオが出品されていた。
私は即刻入札し落札を待った。
幸い他の入札者も無くそのヴィデオは今私の手元にある。
長い間捜し求めていた一品を入手できた、至上の喜びである。




明日のためにその3-ハメハメ

2012年01月16日 | 歌謡曲
昭和ラテン歌謡の名曲

私の子供のころ、南州太郎と言うコメディアンがいた。
「おじゃましまっす」とハイトーンの声で発する一言が人々に受け、人気もあった。
私にとって彼は既に過去の人でモノクロームな存在でしかなかった。
何年か前にラジオで南州太郎歌「ハメハメ」と言う歌を聴く機会があった。
唖然とした。
曲調はラテンでまさに名曲である。
詩もなかなかしゃれていてイメージで男女の関係を人に訴えかける内容になっていた。
しかしこの曲、途中で女性のあえぎ声等が入りそのわいせつさからどうも放送禁止曲となってしまったらしい。
つい最近この曲が入ったオムニバスCDがあることを知り早速入手した。
コミックソングを集めたオムニバスCDである。
早速「ハメハメ」を聴いた。
炸裂するパーカション、激しいリズム。
南州太郎もリズムを乗りこなしうまく歌っている。
名曲の多い昭和歌謡、その昭和歌謡を語る上で忘れてはいけない一曲だと思い今回紹介した。
今「ハメハメ」は自身のヘビーローテーションの一曲となっており、南州太郎にも今色が付き私の中で光っている。




明日のためにその2-ゆきゆきて神軍

2012年01月12日 | 邦画
スパークするパーソナリティ

1987年日本映画界稀有な現象が起きていた。
シネマテーク系の映画館で、或るドキュメンタリー映画が異例のロングランを続けていたのだ。
その映画は「ゆきゆきて神軍」主演は奥崎謙三。
あらすじは第二次世界大戦末期、奥崎の属していた部隊で部下の銃殺事件が起きたことを知った彼はその真相を追究すべく当時の関係者を訪ね歩きその事件の真相を究明するというものだ。
そして物語が進行するにつれてその行く先は驚くべき結果をもたらす。
奥崎は失礼な相手には暴力をふるっても対峙する、カメラはその姿を淡々と収めていく。
この映画の凄いところはドキュメンタリーにもかかわらず「映画」としてもしっかり創られているところだ。
そしてこの映画の一番の見所はやはり奥崎の強烈なパーソナリティであろう。
私はこの映画を観たとき、映画の創りの素晴らしさと奥崎のパーソナリティの凄さに驚嘆した。
時間が経過して忘れ去られそうな一作ではあるが、是非機会があれば観ることをお勧めする。
そして彼のパーソナリティの凄さをご自身で確認していただきたい。
1934年にアメリカの「ロバート・フラハティ」の制作した「アラン」でドキュメンタリー映画はその歴史に一歩踏み出した。
それから様々なドキュメンタリー映画が創られたが、この「ゆきゆきて神軍」はその歴史に刻まれる傑作であろう。
1987年公開、原一男監督、疾走プロダクション制作。


明日のためにその1-ビーチボーイズ スマイル

2012年01月09日 | ロック
今日からブログを書くことになった。
主に音楽や映画など自分の好きなことを思うまま書いてゆきたいと思う。
ちょっと緊張するが一回目の今日は音楽を題材にする。

昨年のCD発売話題ナンバーワン「ビーチボーイズ」の「スマイル」

この書き出しをみてピンと来た人はかなりの音楽通である。
ビーチボーイズのスマイル。
天才ブライアン・ウイルソンの率いたビーチボーイズの未発表アルバムである。
なんと40年以上も前に作られていたもののお蔵入りになったロック史上有名なアルバムである。
私はこのスマイルのアウトテイクCDとブライアンウイルソン版のCDそして今回発売されたCDと3種類所有している。
聞く必要のないボーナストラックは聞かずにあるべき姿のアルバムを聞いてみた。
やはり凄いアルバムである。
ブライアンウイルソン版より音楽的にはソリッドであるがそこが良い。
ここで長年の疑問について考えてみたい。
制作当時スマイルが発売されていたら「ビートルズの「サージェントペパー」を超えた作品になっていた」であろうとか「ロックの歴史は塗り替えられいたであろう」とか様々な憶測が流れた。
しかし私が考えるにはスマイルはサージェントペパーとは趣向が違う内容であるので比較の対象にはならないと思っている。
ロックの歴史を塗り替えられたという点については疑問が残る。
混沌とした70年代のロックを統一させられたであろうか?
70年代のロックを牽引した数々のミュージシャンはやはり現れるべくして現れたと思う。
長文になってしまったがこのスマイルは間違いなく傑作アルバムなので興味をもたれた方は是非聞くことをお勧めする。
やはりスマイルの「グッドヴァイブレーション」の収録位置は絶妙である、今回聞いて更にそう思った。