ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその464-電柱小僧の冒険

2020年07月12日 | 邦画
しっかりした作りに裏打ちされた傑作。

塚本 晋也。
最近は俳優としての活躍が目立つ。
しかし、彼こそ、1980年代、日本を代表するインディーズの監督である。
今回紹介する映画は、彼のデビュー作になる「電柱小僧の冒険」。
彼が映画の監督を含め、殆どを担当した作品である、

通常ストーリーを紹介するのだが、本作は短編であり、内容も実にシンプルなので、今回は割愛させていただく。
この映画を観ると、話題作となった「鉄男」の原型はほぼ出来上がっている思しい。
コマ撮りを連続させた「高速移動」独特の世界観を持つ演者の「メイク」。
どれもが完成されていて、とても初監督作品とは思えない。
ゆっくりと始まった映画は、中盤から後半にかけて、スピード感をどんどん増してゆく。
ここが素晴らしい。普通なら疾走してゆきそうなものだが、この映画はどんどん良くなっていくのだ。
そして、物語の全般におかれた布石が、ちゃんと生きてきて、後半を迎える。
人と人との絆、男女の愛。それぞれがちゃんと繋がってくる。
私はこの公判で、あろうことか、慟哭して泣いてしまった。
その作りの素晴らしさに感動したのである。
脈々と物語を構築してゆくあたり、監督の並々ならぬ凄さが伝わってくる。

この映画は、第一回ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞している。
鉄男と並び、塚本作品では絶対に観るべき作品と私は思っている。
百聞は一見に如かず、是非皆様にも診てもらいたい作品である。

1987年、日本製作、カラー、45分、監督:塚本 晋也

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