ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその497-奥様は魔女

2020年11月17日 | アメリカ映画
クレーヌの作る爽やかなコメディ。

このところ、ルネ・クレーヌの作品を追っている。
今回はその中から、毛色の変わった作品を紹介しよう。
タイトルは「奥様は魔女」。昔アメリカドラマでヒットした作品の、原点ともいえる映画だ。
ストーリーを紹介しておこう。

17世紀に、体を燃やされ、樫の樹に封印されてしまった魔女とその父。ジェニファーとダニエル。
二人は20世紀のある日、嵐の中、雷に打たれた樫の樹から復活する。
自分たちを苦しめた、一家の末裔、ウォーリに復讐すべく、新しい体を手に入れた二人。
魔法で作った惚れ薬をウォーリに飲ませ、ジェニファーの虜にして、復讐を企てるが、ひょんなことからジェニファーがそれを飲んでしまい.......

作品内容はいたってシンプル。
愛の力は、魔力より強いという設定だが、ひねた表現は全く無く、ひたすらシンプルに物語は進む。
もう少しひねったところがあってもいいと思うが、この表現方法こそ、クレーヌであると感心させられる。
ある意味とても爽やかな作品とも言えるだろう。
ヴェロニカ・レイク扮する、まさに小悪魔的な魅力が観るものの心をそそる。
ルネ・クレーヌの作品としては、傑作と言えぬとも、佳作と言える良い作品である。

1942年、アメリカ製作、モノクロ、76分、監督:ルネ・クレーヌ

明日のためにその476-リチャード・ジュエル

2020年08月05日 | アメリカ映画
完璧な作りの傑作。

映画監督の巨匠と呼ばれる人物は、映画の歴史が100年を超えた今、あまた居ると言っても過言ではない。
最近確信したのだが、その中に更に1人、或る人物を加えなくてはいけない。
それは誰あろう「クリントイーストウッド」だ。
このブログでも、何回か彼の映画を取り上げた。そのたびに、彼の映画作りの素晴らしさに舌を巻いた。
今回紹介する映画は、彼の最新作「リチャード・ジュエル」。
純真無垢な男性を描いたものである。
ストーリーを紹介しておこう。

1996年、アメリカ、アトランティックオリンピックが開かれているとき、リチャード・ジュエルは、そのアトラクションを警備する仕事に就いていた。
人一倍正義感が強く、法の執行人としてのプライドを持っている彼は、たとえ警備員でも、責任をもって職を全うする覚悟でいた。
ある日、彼が警備を担当しているアトラクション会場で、ひょんなことから彼は時限爆弾を見つける。
早速警察に連絡し、危険を察知した彼は、独断で、会場に集まっている人たちを避難させる。
やがて警察が到着し、彼が発見した時限爆弾が本物だと分かった直後、爆弾は爆発する。
しかし彼の機転で、多くの人は現場から避難しており、負傷者等は最小限に抑えられる。
翌日、彼の功績を称え、メディア等は彼を絶賛し、周りの人々も彼の功績を称える。
しかし、あることから、彼は一気に転落し人生の危機を迎えるのだが........

ファーストシーンから、既に画面から堂々とした雰囲気が伝わってきて、一流映画の臭いを醸し出している。
このような作りができる監督は、そうは居ない。
なんというか、画面が安定して、安心して観ていられる感じが沸々と伝わってくる。
それと出演者の演技の見事さ。特にリチャード・ジュエルの母親役を演じたキャシー・ベイツは、その抑えた演技で見事に役を演じのけた。これだけでもこの映画を観る価値はある。
リチャード・ジュエルは、過去の行動履歴をリークされたことにより、英雄転じて爆破犯の容疑者として捜査の対象になってしまう。
なんと人の世の不条理なことか、ここからイーストウッド逆襲がはじまる。
正義あるもの、必ず救われる。この映画はそれをよく物語っている。
そして、ジュエルの弁護を頼まれた弁護士のワトソン。彼とともにジュエル達の戦いが始まる。
この弁護士ワトソンを演じたサム・ロックウエルの演技も見事。個性ある演技で観客を魅了する。

クリントイーストウッドはいつも弱者の味方であり、正義感の象徴である。
この映画もそんな彼の主張、主題がはっきりした素晴らしい傑作である、
もしまだ観られていない方が居たら、是非観ることをお勧めする。

2019年、アメリカ製作、カラー、131分、監督:クリントイーストウッド

明日のためにその454-ジュディ 虹の彼方に

2020年05月17日 | アメリカ映画
ジュディ・ガーランドの悲しき生涯。

洋・邦問わず、名子役は数多存在した。
しかし、その殆どは、成長するに従い、その存在価値がなくなり、表舞台から姿を消した。
今存在している、子役から成長した役者は、ほんの一握りしかいないと言っても過言ではない。
今回紹介する映画は「ジュディ 虹の彼方に」。
オズの魔法使いで、一世を風靡した、ジュディ・ガーランドの人生を描いた映画である。
ストーリーを紹介しておこう。

ジュディ・ガーランドは、既に中年の域にかかり、幼い子供二人と、住むところもなく、安舞台をまわっていた。
そんな折、彼女にロンドン公演の話がまいこむ。
彼女は二人の子供を全夫に預け、単身イギリスに渡ることになる。
幼い頃からの心身不安定に悩まされていて、アルコール依存症の癖もある彼女だが、ロンドン公演に賭ける意気込みは凄いものがあった。
その彼女のロンドンでの公演が始まろとするが.......

まずこの映画、驚いたのが、主演のレネー・ゼルウィガーの歌唱だった。
自分で歌うことに拘った彼女の歌は、素晴らしい出来で、聴く者の耳を奪うだろう。
演技もとても悲哀があり、ジュディ・ガーランドの内面の悲しさを良く表現している。
彼女はこの映画で、今年のアカデミー賞の主演女優賞を獲得している。

映画は、ジュディ・ガーランドの一生を決め付けたともいえる「オズの魔法使い」の頃の彼女の生活を、若干フラッシュバックさせながら進行していく。
その結果彼女は常にむき身で、些細な事でも傷つきやすい精神状態になってしまう。
寝られない夜、深くなる酒への依存。彼女は日を追うにつれ、人間的に壊れていってしまう。
ロンドン公演も、最初は上手く乗り切るのだが、徐々に精神的に不安定になり、ステージ開園に遅れたり、ステージ上で客を罵倒したりして、彼女の評価は悪くなっていく。
全夫に預けた子供たちは、全夫と暮らす事を選び、いよいよジュディは窮地に追い込まれる。
その結果、ステージで失敗をしてしまい、ステージ契約を解除されてしまう。

ロンドン最後の日、ジュディはステージの外にいた、そして代役で歌うロニー・ドネガンに「一曲でいいから歌わせて」と懇願する。
ドネガンは快くステージを彼女に譲り、ジュディは最後のステージに臨む。
一曲見事に歌いこなした彼女は、最後の曲に「虹の彼方に」を選び歌いだす。
このころには、観ている私の涙腺が崩壊し、恥ずかしながら、涙で頬を濡らしてしまった。
ジュディはこの公演の半年後に47歳と言う若さで逝去してしまう。

この映画の作りとしては、フラッシュバックのところで、もう少し内容を掘り下げてもらいたいところもあったが、総じて丁寧で良い作りとなっている。
是非皆様にも観ていただきたい一本である。

2019年、アメリカ・イギリス製作、カラー、118分、監督:ルパート・グールド。

明日のためにその448-ミッションインポッシブル

2020年05月06日 | アメリカ映画
007に代わるもの

007シリーズ。
毎回観客の度肝を抜くギミックで、その公開を楽しみにしていた映画である。
特に、特殊装備された「アストンマーチン」が活躍する「ゴールドフィガー」やモータボートが陸まで駆け上がり、派手なチェイスを見せた「死ぬのは奴らだ」には思い入れが深い。
しかし、残念な事に、この「007シリーズ」にとって代わる映画が完成してしまったのだ。
それは「ミッションインポッシブル」シリーズ。
トム・クルーズの豪快なアクションと、派手なアクション演出で知られるこのシリーズは、1作目から見ているが、どれも期待を裏切らない見事な出来となっている。
特に、ブライアン・デパルマがメガホンを取った1作目は、映画としても完璧なものであり、私は正直驚いた。
そして、遅ればせながら、最近最新作の「フォールアウト」を観た。それは私の予想以上にしっかり出来ており、ある種の感動を覚えた。
ここについに、前述の「007」越えがコンプリートされたのだ。

007シリーズが面白く無くなった(個人的にだが)のは「消されたライセンス」あたりからではないだろうか。
原作のジェームスボンドに一番雰囲気の近いと言われた「テモシー・ダルトン」が「リビングディライツ」からボンド役を担うわけだが、どうも雰囲気が暗い。
そして、消されたライセンス自体も、雰囲気の暗い作品として作られていて、観ていて気分爽快とはならない出来だった。
ここから007シリーズは一気に失速してゆく。
周りのアクション映画の演出が派手になってきたのに、007はそれ以上に派手で痛快な映画が少なくなってきた。
今ではもう、新作の公開を心待ちにしている人々も少なのではないだろうか。

ミッションインポッシブルシリーズには、全盛期の007シリーズの勢いがある。スリルがある。爽快感がある。
アクションさえ派手にすればいいと言うものではない。
映画としてしっかり作られていなければならない。
観客の度肝を抜く、ギミックもよく考えられたものでなければならない。
007シリーズの25作に対して、ミッションインポッシブルシリーズはまだ6作。
今後何作製作するのかは分からないが、私としては新作への期待が、常に心に膨らんでいる。

明日のためにその437-ジョーカー

2020年02月05日 | アメリカ映画
圧巻の演技が見どころ。

世間には、富裕層と貧困層が存在する。
高見から、社会を見下ろす富裕層と、底辺のプライドで何事にも挑む貧困層。
この両者の違いは、言葉では言い尽くせないものがあるだろう。
今回紹介する映画は「ジョーカー」
バットマンの宿敵として知られる、彼のことを、彼の視線から描いた作品だ。
ストーリーを紹介しておこう。

ゴッサムシティの貧困層に生まれ育ったアーサー。
彼はコメディアンを目指し、ピエロとして働いていた。
しかし、世間の目は冷たく、彼には災いばかり降りかかってくる。
ある日彼は、富裕層のエリートサラリーマンと、電車の中でトラブルを起こす。
そして彼は、彼らに袋叩きにあう。
アーサーは、職場の仲間から、自分の身を守るようにと借りていたピストルで、彼らを殺してしまう。
必死に逃げるアーサーだったが.........

まずこの映画で、観客の目を釘付けにするのは、アーサーを演じた「ホアキン・フェニックス」だろう。
彼の演技の迫真さは、観る者を圧倒的な力でねじ伏せる。
最近観た映画の中では、ピカイチの出来である。
アーサーは、母親と二人暮らし、しかし実は、昔母親から虐待を受けたため、精神に欠陥が残り、極度の緊張をすると、笑ってしまうと言う病癖がある。
そのため、コメディの舞台に立っても、話しがなかなか進まない。
一方世間では、アーサーが起こした「富裕層サラリーマン殺人事件」が貧困層の大衆の支持を受け、街ではピエロの化粧やお面をした群衆が、激しいデモを行っていた。
そして、やがてアーサーに自我が芽生え始める。
そう、バットマンの宿敵「ジョーカー」としての自覚だ。
自分を受け入れてくれなかった世間への実力行使として、映画後半にジョーカーは颯爽と誕生する。
バットマンとの絡みも、しっかり描かれていて、幼い頃のブルース・ウエイン(のちのバットマンと出会うシーンも、しっかり作ってあり、映画の作りの丁寧さにも満足できた。
ただ唯一、重箱の隅を言うならば、ラストシーン近くで、クリームの演奏する「ホワイトルーム)と言う曲がかかるが、そこだけはシーンと音楽の間に剥離間が有ったように思う。
しかし、主演俳優の演技の素晴らしさと言い、映画作りの丁寧さと言い、近年では傑作の部類に入る作品である。
まだ観ていない方がいらっしゃったら、是非観ることをお勧めする。

2019年、アメリカ製作、カラー、121分、監督:トッド・フィリップス

明日のためにその350-サバービコン 仮面を被った街

2019年06月30日 | アメリカ映画
世間的には評価が低いが、良質の作品。

私は「コーエン兄弟」のフアンで、その作品は殆ど観ている。
しかしその中で、ジョージ・クルーニーを主演に作られた映画は、不満の残るものばかりだった。。
彼を主演においた最初の作品「オーブラザー」などは、上手の手から水が漏る、コーエン兄弟レベルの監督作品としては駄作の部類に入ると私は思っている。
しかし、ジョージ・クルーニは、監督としてはなかなかしっかりした物をつくっている。
私は彼の「グッドナイト&グッドラック」を観ているが、その完成度の高さには驚いた。
今回紹介する映画は「サバービコン 仮面を被った街」コーエン兄弟脚本でジョージ・クルーニ監督の作品だ。
ストーリーを紹介しておこう。

1950年代に開拓されたサバービコンは、閑静でリッチな住宅街として知られていた。
そこに住むカードナー・ロッジは、会社の管理職。裕福な家庭生活を満喫していた。
ある日この街に黒人家族が引っ越してくる。
彼らは、周囲の白人から明らかに色眼鏡で見られ、蔑んだ態度をとられる。
ある日ロッジ家に強盗がはいる。彼らは家族達をクロロホルムを使い眠らせる。
しかし、ロッジの妻だけには大量のクロロホルムを使い、結局妻を殺害してしまう。
悲しみに沈むロッジ家だったが、このあと更なる不幸がロッジ家を襲う.......

この作品は、ネットで調べると評価が低い。
しかし私が観たところでは、それほど評価が低い作品とは思えない。
ジョージ・クルーニはしっかり監督業をしているし、脚本も文句のつけどころはない。
映画の最初のほうで、ある程度展開が読めるのだが、映画は読めたと思った展開を見事に裏切ってくれる。
サバービコンに黒人の家族が引っ越してきたときから、不幸が始まるような設定は、映画中盤から描かれる、黒人排除主義者たちの彼らへの暴動とともに、黒人差別意識に警鐘を鳴らす描き方である。
ただそのシークエンスの描き方が、少し甘いと感じる方もいらっしゃると思う。
映画はラスト、背筋の凍るような展開になっていく。
今までのコーエン兄弟なら、あまりハッピーエンドを描いてTこなかったが、この映画ではラストシーンで「希望」を表現している。
私はこのラストシーンは好きである。
世間の評価は低いが、観るに値する映画だと私は思うので、観ていない方には是非見ることをお勧めする。

2017年、アメリカ製作、カラー、105分、監督:ジョージ・クルーニ、脚本:コーエン兄弟

明日のためにその344-運び屋

2019年06月20日 | アメリカ映画
家族とは、人生とは。

人生を振り返った時、皆様は何か後悔することがあるだろうか?
私は、若い時には「人間まず仕事に生きる」と随分鼻息の荒い時代もあった。
しかし、様々なことを経験したことによって「人生仕事ばかりではない」言う結論に達した。
仕事で得た名声など、自身のエゴイズムの塊であり、何の価値もない。
少し言い過ぎかもしれないが、私はそう思っている。
本日紹介する映画は「運び屋」クリントイーストウッドの最新作である。
ストーリーを紹介しておこう。

90歳を超えるアールは、花園を経営していたが、業務不振で家屋、土地ともに国に差し押さえされる。
アールは花園経営と、友達との関係を大切にしたばかりに、自分の家族を顧みず、家族の記念日にさえ顔を出したことがない。
土地、家屋を差し押さえられたアールは、孫の結婚パーティである男から仕事を依頼される。
その仕事は、指示された時間にある場所へいき、荷物を指示された場所へ運ぶと言う仕事だった。
勿論報酬は支払うという。
アールは1回限りの約束で、その仕事を受けることにした。
その仕事を終えて、報酬金を見たアールはその高額さに驚く。
そして、報酬金欲しさに、その後もその仕事を続けていくが、3度目の仕事の途中、運んでいるものが何か気になったアールは、運ぶ途中で荷物の中を開けてしまう。
アールが目にしたのは、なんと大量のコカインだった。
後ろ髪を引かれる思いで仕事を続けてゆくアールだったが..........

まず「枯れた」イーストウッドの演技が素晴らしい。
よどみなくしっかりした作りの映画である。
イーストウッドは、失敗なく「運び屋」としての使命を果たすが、13回目の仕事の時に、孫から電話が入る。
イーストウッドの妻が、余命僅かなので、すぐ病院に来てほしいと。
生憎運び屋作業中だったイーストウッドは、孫の要請を断る。
しかし翌日、イーストウッドは運び屋の予定を中断し、自分の妻を見舞いに来る。
危ない職業である。こんなことをすれば間違いなく殺されるだろう。
しかし彼はそれを承知で、妻を見舞い、そして妻の最期をみとった。
イーストウッドは、自分の家族たちへの粗末な扱いを後悔していたのだった。
終盤で彼が言う「お金があればなんでも買えるが、時間だけは買えなかった」
涙があふれる思いで、私はその言葉を聞いた。

自分の人生の中で、家族以上に大切なものがあるだろうか。この映画はそれを観客に問いただしている。
仕事の忙しさを理由に、家族を大切にしていない方がいるなら、もう一度家族と言うものを考えて、家族に向き合うべきだろう。
この映画はイーストウッド作品でも、傑作にあたるものなので、是非観ていない方は、観ることをお勧めする。

2018年、アメリカ製作、カラー、116分、監督:クリント・イーストウッド

明日のためにその325-シェプ・オブ・ウォータ

2018年05月22日 | アメリカ映画
純粋一路の作品。

人を愛すること、いや、何かを愛すること。
これに、自らを顧みず成就できる人間はいるのだろうか。
「愛」を言う根拠をしても、長年連れ添った夫婦などは、その道程に苦言を呈することが多い。
果たして「無償の愛」とは存在するのであろうか。
現代の人々は「自由」を根拠に、愛することの根拠を忘れているのではないだろうか。
今回紹介する映画は「シェイプ・オブ・ウォーター」今年のアカデミー賞「監督賞」「作品賞」の作品である。
ストーリーを紹介しておこう。

口のきけない女性イライザは、航空宇宙センターで、清掃員として働いている。
ある日、職場に、得たいの知れない生物が持ち込まれる。
最初は、何か分からず、その場所を清掃するイライザであったが、それが未知の海洋生物だと知る。
その生物は、極めて人間に似た姿をしており、興味を持ったイライザはその生物と接触を試みる。
するとその生物は、イライザに心を開き始め、二人の交流は始まることとなる。
しかし、その生物を実験材料としていた、政府の要人が、解剖をすることになる。
その生物をなんとか救いだすべく、イライザは計画を練るのだが.........

この映画の描くところは「愛」である。
観ようによっては、陳腐に見えるかもしれない。
しかし、私は、この映画の「真紅の矢」に、心を貫かれた。
素晴らしい出来栄えである。
特にラストの二人の美しさ、可憐さには涙が止まらなかった。
「何かを愛する心」
たとえそれが、異形のものであっても、その心の中心は温かく、美しい。
それを、久しぶりに教えてくれる一品に出会った。
近年の傑作に数えても、異論がない作品であると思う。
まだ観ていらっしゃらない方は、是非観るこをお勧めする。

2017年、アメリカ製作、2018年日本公開、カラー、123分、監督:ギレルモ・デル・トロ

明日のためにその325-スリービルボード

2018年05月19日 | アメリカ映画
人間の業を感じる一本。

母の愛。
人類で最高、最強のものであろう。
人は女に生まれた後、母となる。
母となった女は、自分のポテンシャルを超える行動を起こす。いや起こせるのだ。
母の偉大さは、ここにある。
それは、だいたい多くの子供が実感できるはずである。
本日紹介する映画は「スリー・ビルボード」
母の愛、人間の業に訴える傑作である。
ストーリーを紹介しておこう。

ミルドレットは、自分の娘を殺された過去をもつ女性。
彼女はある日、未知沿いの朽ち果てたビルボード(広告看板)を見かける。
彼女の娘が殺された事件は、未だ未解決のまま。
そこで、彼女は、その事件に対しての、自分の意見をそのビルボードに掲載することにする。
このことは、すぐに地元で話題となり、警察に対しての挑発的な表現について、地元警察と関係をこじらせることになる。
ここから、彼女と、地元警察との攻防がはじまるのだが..........

この作品が凄いのは、人間の「業」に対する肯定だろう。
人間が、素直に、自分に正しく行動すればこのようになる、と言うことを飾り気なしで表現している。
特に「母」と言うものの辛辣な「愛」をストレートに表現している。
その濃密な作り、物語の展開と言い、私は文句の付け所がない作品だと思う。
この映画は、本年アカデミー賞で、主演の「フランシス・マクドーマンド」が主演女優賞を獲得している。
彼女の演技で、印象深いのはコーエン兄弟の代表作である「ファーゴ」の刑事役であろう。
彼女の演技は、もちろん素晴らしいスケールで完結している本作である。
近年、是非観るべき作品として、推奨したいものである。
まだ観ていらっしゃらない方は、是非観ることをお勧めする。

2017年、アメリカ製作、カラー、115分、監督:マーティン・マクドナー

明日のためにその319-ジャスティスリーグ

2018年04月02日 | アメリカ映画
アベンジャーズの二番煎じ

DCコミック、マーベルコミック。
どちらもアメリカを代表するコミック雑誌である。
前者は「スーパーマン」後者は「Xメン」を代表作に持つ。
映画デヴューは、マーベルコミックが早かった(近年で言えば)
20年ほど前に「Xメン」を、製作している。
それから暫く、DCコミックはマーベルの後塵をはいすることとなる。
ようやく2005年、DCコミックは「バットマンリターンズ」で、銀幕へ復活の序曲を流すこととなる。
今回紹介する映画は「ジャスティスリーグ」
DCコミックのヒーロー達が終結した映画だ。
ストーリーを紹介しておこう。

破壊の化身、ステッペンウルフは、その強大な力を秘めた、三つの箱を探していた。
その一つは地球に存在し、彼はそれを見つけに用兵とともに地球へやってくる。
それを知ったバットマンは、ワンダーウーマン他を味方につけ、ステッペンウルフを迎え撃つ。
しかし、強大な力を持ったステッペンウルフにはとても太刀打ちできない。
そんな彼らが希望を託してとった行動とは..........

ストーリーは単純明快、しかしひねりがない。
あまりにもストレートすぎる。
DCコミック愛好者には、垂涎の的の豪華さかも知れないが、そうでないものにとっては、消化不良を起こす作品だ。
大雑把に内容をまとめると「アヴェンジャーズ」と「シビルウォー・キャプテンアメリカ」を足して、平均化したような内容だ。
どうしても「アヴェンジャーズ」を先に発表している、マーベルコミックには及ばない。
マーベルに一日の長があるのだ。
特に終盤がいけない。このような展開になるのなら、最初のシークエンスは無駄になる。
DCコミックのお好きな方なら、観る価値はあるだろう。

2017年、アメリカ製作、カラー120分、監督:ザック・スナイダー