ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその132-もらとりあむタマ子

2015年02月26日 | 邦画
モラトリアム。

最近の若者は自身の夢が無いという。
20代にして将来の希望を見出せず絶望に陥る者も多数に及ぶ。
彼ら、彼女らの定義する夢や希望とはいったい何であるのか私には分からない。
今回紹介する映画は「もらとりあむタマ子」
前述のような人生を歩む若者の物語である。
ストーリーを紹介しておこう。

大学を卒業したにも関わらず甲府の実家で暮らすタマ子。
母は父と別居中で親子二人暮らしである。
毎日食べては寝たり、漫画を読んだり、何もしない日々が続く。
そんな折、父親に縁談話が持ち上がるのだが......

主演は前田敦子、そのふてぶてしさ、だらけた人間像を好演している。
モラトリアム人間とは「年齢的に大人でも大人になりきれず、大人社会へ参加できない者」とある。
またモラトリアム自体には「一時停止」の意味があると言う。
これらの意味どおり、タマ子は実に無欲で、現在に止まった人間である。
しかしこれが結構潔く、観ている者に逆に爽快感を与える。
それと映画の尺だが実に良い尺である。
長すぎもせず、短すぎもせず、ちょうど良い長さなのだ。
これはこの映画をまとめる一番の要素ではないだろうか。
監督は「リンダ、リンダ、リンダ」「苦役列車」を撮った山下敦弘。
万人にお勧めできる映画だとは思わないが、興味をお持ちになったらご覧になることをお勧めする。

2013年、日本製作、カラー、78分、2013年日本公開、監督:山下敦弘

明日のためにその131-運命じゃない人

2015年02月17日 | 邦画
舌をまく快作。

世の中様々な出会いがある。
その出会いのたびに人は人生の分岐点を迎えることがある。
ちょっとした出会いが人生に大きな影響を与えることもあるのだ。
今回紹介する映画は「運命じゃない人」
以前このブログでも紹介した内田けんじ監督の作品である。
ストーリーを紹介しておこう。

桑田真紀は信じていた彼氏の浮気の証拠を発見し、一人途方にくれる。
たまたま入ったレストランである男から声をかけられ同席して食事をすることとなる。
その誘った男の友人で同じく同席していた宮田武に誘われ彼女は泊まるあてのないその夜を彼のマンションに泊まることとなる。
浮かれ気分の武はお風呂を沸かして彼女に入るように促すが、そこへ武のもとの彼女が突然現れる。
真紀は気を使いマンションに泊まることを遠慮し、表に飛び出すのだが........

物語はこの後想像もつかないような展開を迎える。
物語りは複数の人物が登場し、僅かな時間の流れをそれぞれの視点から描く。
これが実に上手く作ってある。
見事な作りに唸ってしまうほどだ。
内田けんじ、これからも期待される監督だ。
久々の快作を是非ご覧になることをお勧めする。

2005年、日本製作、2005年日本公開、カラー98分、監督:内田けんじ