ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその31-日本映画の黄金期

2012年03月29日 | 映画
絢爛豪華

つい先日1950年代後半の東映時代劇を観る機会があった。
観た作品は「新吾十番勝負」と「丹下左膳百万両の壺」である。
両作品とも日本映画が一番繁栄していた時期に作られている。
この時代、日本は年間600本近い映画を作り、世界一映画を作る国となっていた。
実質的な日本映画黄金期である。
両作品とも観て驚いたのは屋内、屋外を問わずセットの造りの豪華さである。
その絢爛豪華な仕上がりのセットには思わず見入ってしまうだろう。
映画を作ることに贅沢な予算をかけられた時代だったのだとつくづく思う。
この絢爛豪華さが全て良いとはいいがたいが、現在の小作品化している日本映画のことを考えると複雑な気持ちになる。
時にはこの時代の日本映画を観るのもよいものである。
この時期の日本映画、特に時代劇を観ていない方には是非観ることをお勧めする。


明日のためにその30-テレビジョンパーソナリティーズ

2012年03月28日 | パンク&ニューウエイヴ
ソリッドでパワフル

以前ブログで書いたとおり1980年代初頭はパンクロックの登場、イギリスを中心としたニューウエイブの台頭が目立った時期だった。
私はこれらの音楽に非常に影響を受けた。
暫くはこのあたりの音楽を中心に記事を書いてゆきたい。
テレビジョンパーソナリティズ。
イギリスの名門インデーズレーベル「ラフ・トレード」に在籍した初期のニューウエイブバンドである。
いたってシンプル、とてもストレートなロックバンドである。
演奏はとてもうまいとは言えない。
しかしそれで良いのだ。
パンク・ニューウエイブが革命を起こしたものの一つに「演奏はうまくなくてはいけない」と言う要素の排除があった。
誰でもギターを手にとって曲をつくり、バンドを組めば「演奏能力」より「バンドの個性」で評価された時代である。
1970年代、ロックはより複雑化し、演奏能力も高いものをもとめられていた時代が続いた。
しかし音楽そのものの良さを追求したバンドがどれほどあったろうか?
そこに現れたパンク・ニューウエイブはその強烈な個性で音楽の新機軸を展開した。
このテレビジョンパーソナリティズもしかり。
今聴いてもとても気持ちの良いバンドである。
最近楽曲がおとなしくなり、画一化されている音楽界にとってこのようなバンドが再び出現することを期待してやまない。
是非一度聴いていただきたいバンドである。

明日のためにその29-普通じゃない

2012年03月23日 | ヨーロッパ映画
テンポよしユーモアよし。

もし自分と彼女の出会いが「天使」に導かれた運命的な出会いであったならどうだろう。
それもとっておきな矛盾的出会いであったなら。
今回紹介する映画「普通じゃない」はそのような題材に見事なテンポとユーモアを備えた作品である。
ストーリーは主人公の清掃員ロバートが突然くびにされ、それに怒った彼は社長室に直訴にゆく。
しかし全く相手にされなかった彼はその場に居合わせた社長令嬢を人質にとり、誘拐してしまう。
彼の車で連れまわされることになった彼女だが実はとんでもないおてんば娘であった。
更に彼と彼女を巡り会わせた二人の「天使」たちが物語りに関わってきて.....。
全編センスの良い創りとユーモアで観る者をあきさせないところはさすがである。
観た人が幸せな気分になれることも付け加えておこう。
監督はダニー・ボイル。
「シャロウグレブ」を引き下げて1990年代に突然現れたイギリスの監督である。
近作では「スラムドックインミリネオア」が有名であろう。
1997年公開、イギリス・アメリカ合作。

明日のためにその28-荒井由実

2012年03月21日 | 歌謡曲
荒井由実と松任谷由実

率直に聞こう。
あなたは「荒井由実」と「松任谷由実」どちらが好きですか?
私はこの質問に対して即座に「荒井由実」と答えるだろう。
私も含めてミュージシャンとくにコンポーザーという代物は曲を書き続けると余分なものを付けたがる。
如実なそのひとつは「アレンジ」である。
私個人の見解だが音楽はソリッドなほど良いと思う。
なぜなら曲の本当の姿が浮き彫りにされてくるからだ。
荒井由実に関してもしたり。
初期のアルバム「ひこうき雲」から「コバルトアワー」あたりはアレンジがシンプルで、ソリッド、曲そのものの良さが伝わってくる。
その後のアルバムも音楽的にはクオリティが良いことは認める。
しかしアレンジの大仰さが出てしまって曲そのものの良さが現れてこない。
繰り返すが私は「荒井由実」が好きである。
「返事はいらない」のような傑作がまた彼女から生まれることを期待する。

明日のためにその27-ソーシャル・ネットワーク

2012年03月16日 | アメリカ映画
世界最年少の億万長者

フェイスブック、今や全世界で数億人の会員をもつといわれるSNSである。
私自身はあまり興味がないので参加はしていない。
今回紹介する映画はこのフェイスブックを立ち上げた「マークザッカーバーグ」について作られた「ソーシャル・ネットワーク」である。
物語はボストン大学に通う主人公が酒場でガールフレンドとつまらぬ喧嘩をした後彼女の悪口をブログに書き、更に酔った勢いで各大学の女生徒名簿のあるサーバーをハッキングし勝手にウエブ上に彼女らの写真を掲載し、美人コンテストをウエブで開催してしまったところから始まる。
これが大きな話題となりボストン大学のサーバーはダウンしてしまう。
しかしこのことを知った同じボストン大学に通うエリートの双子の兄弟から彼にハーバード大学に限ったSNSを開設することを勧められるが......。
物語は現在と過去をカットバックした構成で進められる。
この創りが実にうまくできていて物語の混乱も起きないし、映画に奥行きを出し観客を引き込むに十分なものになっている。
監督は「ベンジャミンバトンの数奇な人生」を撮った「デヴィット・フィンチャー」
映画のラストに流れるビートルズの「ベイビー・ユアリッチマン」がなんとも皮肉で可笑しい。
2011年日本公開、アメリカ映画。



明日のためにその26-パプリック・イメージ・リミテット

2012年03月15日 | パンク&ニューウエイヴ
音楽の破壊と再構築

1976年それは起こった。
既成のロック概念を打ち破る音楽が登場したのだ。
パンクロック。
その先陣をきったのはジョニーロットン率いる「セックスピストルズ」だった。
当時学生だった私はリアルタイムでこのパンクロックの洗礼を受けた。
絞り上げるような声でシャウトするジョニーロットンに憧れ、私は「セックスピストルズ」のコピーバンドを組み、ヴォーカルを担当した。
その後英国を中心にロックの新機軸が次々現れ、ポピュラー音楽を含めた音楽界はめまぐるしく変化してゆく。
今回紹介するのはこのジョンーロットンが「セックスピストルズ」脱退後結成したバンド「パブリック・イメージ・リミテッド(通称PIL以下PILと言う)」だ。
彼らのファーストアルバムも衝撃的だった。
アルバムの前半で彼らは既成の音楽概念を徹底的に破壊した。
そしてアルバムの後半では新しい音楽の形を再構築したのだ。
デビュー作にして名盤である。
彼らはその後「メタルボックス」「フラワーオブロマンス」と次々に傑作アルバムを発表する。
しかしそれ以降中心となるメンバーが次々脱退し事実上PILは終焉してしまう。
「フラワーオブロマンス」以降のアルバムはあまり出来が良いといえない。
ファーストアルバム、メタルボックス、フラワーオブロマンスこの3作が彼らの最高傑作である。
特にメタルボックスはあの時代のロックにとどまらずポピュラー音楽全体のあるべき姿への回答であると思う。
このような時代をリアルタイムで経験できたことの私はとても幸運だった。
この経験が後に私の音楽作りに大いに影響したことは言うまでもない。

明日のためにその25-英国王のスピーチ

2012年03月14日 | ヨーロッパ映画
ゆったりとそしてしっかり創られた作品

吃音性、発声時に第1音が円滑に出なかったり、ある音を繰り返したり伸ばしたり、無音が続いたりする言語障害だという。
実際にこれに悩まされている人はかなり精神的にも重圧をかかえているのだろう。
「英国王のスピーチ」はこの吃音性に悩まされた英国のアルバート王子について描かれた作品である。
ストーリーは吃音性に悩まされていたアルバート王子はある日民間の医師であるローグを紹介される。
ローグは「王も平民も同じ」と王子に伝え、治療のときはお互い友人同士の呼び名で話すことを約束させられる。
最初は戸惑った王子だったがローグとの治療を進め行くうちに次第に効果が表れ.....。
この映画はじつに丁寧ににつくられていて安心して観られる。
久しぶりにゆったりとした良い映画を観られたと思う。
2011年日本公開。イギリス・オーストリア合作。アカデミー賞、作品、主演男優、監督、脚本賞受賞。

明日のためにその24-ベンチャーズ

2012年03月09日 | ロック
エレキの革命者

私がバンドを組んで自分たちのオリジナル曲を演奏しようと思ったのは「ビートルズ」の影響である。
しかし私がエレキギターを始めたきっかけは「ビートルズ」でも「ジミ・ヘンドリクス」や「ジミー・ペイジ」の影響ではない。
今回紹介する「ベンチャーズ」が私にエレキギターの素晴らしさを教えてくれたからだ。
結成して50年以上にもなるベンチャーズ。
リアルタイムで私はベンチャーズを知らない。
後にレコードで彼らの存在を知ることになる。
とにかく衝撃的であった、エレキギターとは素晴らしいものだと思った。
彼ら独特の音のギミックはとても新鮮で、有名なリバーブを効かせた「テケテケテケ」と聞こえる6弦を使ったグリッサンドや絃を軽く爪で掻きリバーブを効かせた「キュキュ」と聞こえる音にとても興味を惹かれた。
念願のエレキギターを購入した時には「耳コピ」で彼らの代表曲「ダイヤモンドヘッド」などを演奏したものだった。
今のエレキギターをひく少年達は何を手本にしているのか私は知らない。
しかし彼らにも是非聞いてもらいたいバンドである。

明日のためにその23-ニッポン無責任時代

2012年03月08日 | 邦画
これぞ昭和のモーレツ社員

私は長年サラリーマンをしているが正直あまり面白い職業とは思っていない。
かと言って脱サラして何かを始めるかと言う意気もなく毎日会社へ通っている。
そんな私が落ち込んだとき度々観るのがこの「ニッポン無責任時代」である。
主人公は「平均」と書いて「たいらひとし」と読む。
その彼がちょっとしたきっかけで大手酒造メーカーに就職し、あの手この手を使って出世をしてゆく物語である。
しかし活躍が度を越してしまい彼は会社をくびになる。
ところが最後にはある企業の社長となってかっての会社仲間を驚かせるというものだ。
とにかくサラリーマンにとっては一度はやってみたいこと言ってみたいことが満載された喜劇映画である。
いつもこの映画をみると私はとても励まされる。
最後にこの映画の挿入歌「無責任一代男」の歌詞の一部を紹介しよう。

♪人生で大事な事は、タイミングにC調に無責任。
♪とかくこの世は無責任。
♪コツコツやる奴はゴクロウさん。

明日のためにその22-朱里エイコ

2012年03月07日 | 歌謡曲
ソウルフルあふれる女性歌手

今の日本音楽界の中で本当に歌のうまいと言える歌手はいるのだろうか?
J-POPをほとんど聴くことない私にはそれを判断できる資格はないのかもしれない。
1960~1970年代昭和歌謡華やかなりしころには歌のうまい歌手が大勢いた。
当時は新人歌手といえどもキャンプやキャバレーでステージをふみ、大変な努力をして歌っていたものである。
そのような過程で彼女、彼らは実力をつけていった。
今回紹介する「朱里エイコ」もまた1970年代を飾った実力歌手の一人である。
彼女は16歳の時単身渡米をして本場のショービズの世界で実力をつけていった。
その後帰国し暫く不遇時代が続いたが「北国行きで」がヒットし人々にその名を知られるようになった。
彼女独特の弾けるようなしかし抑揚の効いた歌唱法は聴くものに驚きを与えるのには十分だった。
その後彼女は日本とアメリカを行き来し両国で評判を上げていった。
1970年代後半、彼女は日・アメリカで絶大なる人気を誇った。
しかし1980年代に入り彼女は様々な悩みから精神状態が不安定になっていった。
コンサートの当日キャンセル等トラブルが幾度かあったそうだ。
やがて彼女は病に伏せ2004年に他界してしまう、享年56歳。
まだまだ活躍できる年齢であったのでとても悔やまれることである。