ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその74-夜と霧

2013年04月30日 | ヨーロッパ映画
二度とおこしてはいけない戦争の過ち。

第二次世界大戦。
もう70年近く終戦から時間は経過した。
人間には物事を「忘れられる」と言うある意味の特権がある。
しかしあの戦争の過ちだけは忘れてはいけないのである。
今回紹介する映画は「夜と霧」
第二次世界大戦下のナチスの強制収容所の物語である。
ストーリーはない。
当時現存した強制収容所の写真と動画(フィルム)で構成されている。
カメラはまず映画製作当時の強制収容所に入る。
そこから映画製作当時の強制収容所の様子と当時現存した写真やフィルムを交互に写し淡々と映画を進行させている。
特に後半のドキュメント映像はその衝撃に耐えかねるほどのショッキングなものばかりだ。
しかし目をそむけてはいけない。
なぜならそれらは本当に過去に起こったことなのである。
映画を観る我々はそれらを忘れてはいけないのである。
最後に映画は語る「過去の出来事とかたずけ本当の悲鳴から耳をそむけてはいけない」と。
監督はアラン・レネ。
現在も活躍中の映画界の重鎮である。
30分程度の短編映画であるがその衝撃に私は驚愕した。
是非多くの人に観ていただきたい重要な作品である。
1955年フランス製作、1961年日本公開、カラー/モノクロ、32分、監督アラン・レネ。

明日のためにその73-オレンジと太陽

2013年04月29日 | ヨーロッパ映画
児童移民の問題作

今の日本人の中で「自分何故此処にいて自分は誰なのであろう」と自問する人はまずいないだろう。
しかし40年程前にイギリスとオーストラリアで行なわれていた「児童移民」で扱われた人達は皆そう思っている。
今回紹介する映画は「オレンジと太陽」
昨年日本公開された問題作である。
ストーリーを紹介しておこう。
或る日社会福祉士の主人公マーガレットはオーストラリアから来たという女性に「自分が何者であるかルーツを調べてほしい」と依頼される。
そして数枚の資料を彼女から渡される。
興味本位で調査を始めたマーガレットだったが彼女の依頼には偽りは無くさらに背景にはとてつもなく大きな組織が関連していることを知ることとなる。
それでもマーガレットは調査を進めるのだが......
監督はケンローチの息子であるジムローチ。
父親ゆずりの社会的目線でしっかりつくられた作品である。
原作はマーガレット・ハンフリーズのノンフィクション「からのゆりかご 大英帝国の迷い子たち」
何事にも負けずに時に気弱になるがマーガレットは大勢の児童移民者からの依頼を引き受け本当の親と会わせてゆく。
その行動は現在もまだ継続中であるという。
最近この事実をイギリス・オーストラリアとも認め公式に謝罪したという。
しかしこの児童移民の犠牲となった人達にはその謝罪がいかほどの価値になるものか。
厳しい労働、虐待あらゆる苦労を幼い彼等彼女等は経験したのだから。
私は自分自身がいかに幸せな環境であるかこの映画を観て思い知らされた。
マイナーな作品ではあるが是非観ていただきたい映画である。
2011年製作、2012年日本公開、イギリス映画、カラー106分、監督ジム・ローチ。

明日のためにその72-マヌフォード・アンド・サンズ

2013年04月24日 | 洋楽ポップス
力強いソウルフルな音楽。

私は最近の音楽をあまり聴いていない方である。
何を聴いても似たような楽曲ばかりで聴く気にならないのである。
テクノ調、ラップ調どれも同じ音楽に聴こえてくる。
今回紹介するのは「マムフォード・アンド・サンズ」
イギリス出身のバンドである。
編成は4人のバンドであるがマンドリン、アコーディオン、バンジョーなどと一風変わった楽器を使用している。
楽曲もいたってシンプル、ストレートでソウルフルなものばかりである。
セカンドアルバムの「バベル」は今年のグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞している。
どの曲も前述したとおりストレートでソウルフルな楽曲ばかりである。
昔同じイギリス出身のバンドで「ザ・ポーグス」というバンドがいた。
彼らも民族楽器を取り入れたストレートな楽曲を多く残している。
ある意味今の世界のポピュラー音楽は彼らの様なところへ帰るべきではないかと私は思う。
テクノロジーやただの流行から生まれた楽曲は人間の感性から生まれた楽曲にかなうわけはないと思うからである。

明日のためにその71-ショーシャンクの空に

2013年04月13日 | 映画
名画も人によって様々。

古今東西名作といわれる映画は沢山存在する。
私もこのプログで数々の名画を紹介してきたつもりである。
しかし私にとって名画でも他人にとっては名画と思われないものもあるだろう。
つい最近名画の評判高い映画を観る機会があった。
その映画は「ショーシャンクの空に」である。
蛇足かもしれないがストーリーを紹介しておこう。
無実の罪で投獄された主人公はショーシャンク刑務所内でひどい仕打ちにあう。
しかし元エリート銀行員だった彼はその知識を活かし看守や所長に取り入り刑務所の環境を徐々に変えていく。
一見彼の周りには平和がおとずれたように見えたのだが......
私はこの映画を以前にも観ている。
映画のつくりはしっかりしていて丁寧につくってあるのは十分に伝わってくる。
しかしただそれだけなのだ。
私自身の感性に訴えかけてくるものがない。
「ただ出来の良い平凡な映画」としか思えないのである。
この映画の評判は非常に良い。
誰もが名画と呼ぶにふさわしいと思っているのである。
でも私自身には響いてこないのである。
同様に、かの巨匠ヴィットリオデシーカの監督作である「ひまわり」も非常に評判が良い。
この映画も何度か観ているが私にとってはただの「メロドラマ」にしか見えないのである。
名画も人によって様々であると私は思う。