ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその403-おしん

2019年11月10日 | テレビドラマ
ストーリー展開の巧みさ。

NHKの朝の連続テレビ小説。
昭和36年に始まり、前作の「なつぞら」で、100作目を迎えた、長寿シリーズである。
私は、このシリーズのフアンで、20年程前の「あぐり」から、ほぼ全作見ている。
私はBSで、朝見ているので、7時30分から見ている。
7時15分からは、以前放送された、作品の再放送だ。
それは「なつぞら」を見ていた期間のある日、7時15分からの再放送をたまたま見た。
現在も再放送されているそれは、伝説の作品「おしん」である。
平均視聴率50%以上、最高視聴率60%と言う今後更新出来ないような作品だ。
おしんは、世界中でその国の言葉に吹き替えられ、大変好評を得た作品でもある。
たまたま見た再放送で、私は「おしん」の罠にまんまとはまってしまった。
毎回番組終了直前に、次の回も見たくなるような「余韻」を残しながら、番組は終わる。
このあたりが、脚本家「橋田壽賀子」の巧みな罠なのである。
果たして私は、毎日おしんを見ることになった。逆に「なつぞら」より「おしん」を楽しみに見るようになった。

さすが百戦錬磨の橋田壽賀子。ストーリーテラーとしては抜群である。
私は彼女の作品を見たことが無かった。おしんが初めて見る橋田作品である。
ご存じの方も多いと思うが、この作品は連続テレビ小説としては珍しい1年間を通して放送されたものだ。
もともとこのシリーズが始まったころは、1年で作品完結だったのだが、視聴率の低迷を受けて、昭和50年の「水色の時」から、1作が半年で完結するように短縮された過去がある。
しかし、おしんは放送開始から視聴率好調、視聴者からの要望を受け、半年で完結する予定が1年で完結することに変更された経緯がある。
主人公は3人の女優で演ぜられた。
幼少期を小林綾子、青春期を田中裕子、熟年期を乙羽信子。
私は、青春期の田中裕子のあたりから見始めた。
そして、いよいよ「おしん」見たさが深まり、ついにはNHKオンデマンドと契約し、一週間で田中裕子演ずるおしんから、乙羽信子演じるおしんの最終回まで見てしまった。
見終わって分かったが、おしんは、田中裕子が演じていた時期が一番物語としては面白いと感じた。
様々な幸福と不幸の繰り返し、それでも孤軍奮闘するおしんは、次回も見たいと思わせる脚本が絶品だった。
橋田壽賀子もこのあたりが、一番筆のすべりがよかったのだろう、どの回も面白い。
そして彼女が世間に問いかける、家族とはなにか、幸福とはなにか。鋭く指摘する部分が非常に興味深い。

1年を通じて放送された「おしん」は、なるほどと思わせる内容の作品だと思う。
ただ乙羽信子が演じた回からは、若干筆のすべりが鈍ったか、ドラマの内容は今一つ精彩を欠いたものとなったのではないだろうか。
それを差し引きしても、おしんは間違えなく脚本家「橋田壽賀子」傑作のひとつとして、今後も語り継がれるだろう。
しかし、何故か他の彼女執筆の作品を見たいとは思っていない。
それは、自身答えを出せない、最近の自分の不思議である。

明日のためにその293-トットちゃん

2017年12月27日 | テレビドラマ
波乱に満ちた人生の要約。

私は、黒柳徹子が好きだ。
永六輔、大橋巨泉が亡くなった今、昭和芸能史の語り部は彼女しかいない。
そういう点でも、貴重な人物である。
先日、テレビで「トットちゃん」と言う、一話二十分のドラマを放送していた。
トットちゃんとは、お判りの方も多いと思うが、黒柳徹子の幼少期のあだ名である。
このドラマは、黒柳徹子の半生を描いたドラマである。
このドラマは、フィクションと謳っていたが、かなりノンフィクションに近いものであった。
脚本は、大石静。朝の連ドラの「ふたりっこ」等有名な作品を残した脚本家である。
ドラマの中の登場人物は、全て実名で登場する。
よってリアリティーが増して、とても興味深かった。
ストーリーの中でも、最も興味を引いたのは、黒柳徹子の恋愛についてのところであろう。
今まで、彼女の恋愛話と言うのは、聞いた事が無い。
相手の男性の氏名、職業はフィクションの部類かもしれないが、恋愛に関するシークエンスはノンフィクションであろう。
ドラマは前述のとおり、一話二十分、合計六十話であった。
私自身の、このドラマの見所は、黒柳徹子が、NHKに入社して、テレビ等で活躍するところである。
以前にもこのブログに投稿したが「トットチャンネル」と言う映画があった。黒柳徹子がNHKに入社したときのエピソードを映画化したものだ。
私はこの映画がたいそう好きで、何度も観たものだ。テレビ僧籍の現場の努力が垣間見えてとても良い映画だった。
よって、テレビドラマ「トットちゃん」でもそのくだりを、とても興味深く見ていた。
ドラマ全体の印象は、黒柳徹子の半生を、その人生の上澄みを上手いことすくい上げて、ドラマを構成していた。
決して浅くならず、深くならず、納得できる出来栄えと言えるだろう。
このドラマを見て、益々、黒柳徹子のファンになった。
彼女も高齢である。しかし、頑張って昭和芸能史の語り部を続けて欲しい。
できれば筆をとり、テレビ創世記から現代に至るまでの経緯を著作して欲しいと思う。
平成も時期終焉を迎える。
昭和は更に遠くの時代となって、歴史の奥に収まることになる。
激動の昭和芸能史は、著作物としてのこすことは必須である。
私は、黒柳徹子に期待している。