ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその20-欲望の翼

2012年02月26日 | アジア映画
時の流れに魅了される作品

1960年代、日本ではオリンピック景気等高度成長時代を向かえ生活が豊かになりつつあった時代である。
この映画「欲望の翼」はその1960年代の香港の青春群像劇である。
ストーリーに触れておこう。
主人公はサッカー競技場の売店の売り子に好意を持ちやがて彼女と付き合うようになる。
しかし彼女から結婚をほのめかされた主人公は彼女と別れてしまう。
その後、あるきっかけからクラブのダンサーから好意をもたれ彼女と付き合うようになるのだが、自分の出生の秘密を知っていた彼はその原点を探るべくフィリピンへと旅立つ......。
この映画の見所は何と言っても映画の中を流れる時間である、その雰囲気である。
スローモーションを多用し、1950年代~1960年代に流行ったラテン音楽をシーンに載せてゆく。
この全編を彩るラテン音楽と映像とのコラボレーションが素晴らしい。
雰囲気の素晴らしさだけでも観るに十分な映画である。
監督はウォン・カーウァイ。
彼はこの作品の後「花様年華」と言う映画を撮っているがこれも舞台は1960年代の香港である。
この作品もラテン音楽と映像見事にマッチした傑作である。
「欲望の翼」の中でも「ロス・インディオス・タバハラス」の演奏が流れるシーンはどれも名シーンである。
1992年公開、香港映画。

明日のためにその19-後藤久美子

2012年02月25日 | 歌謡曲
リトルダイナマイト

後藤久美子。
とは言っても元国民的美少女のことではない。
今から50年近く前にわずか5歳でデビューした少女歌手である。
以前からその存在は知っていたものの実際に彼女の歌を聴いたことが私は無かった。
しかし先日偶然に彼女のベストCDが発売されていて早速購入した。
一生懸命に歌い、背伸びをして大人に近づこうという歌唱はときに可笑しく、可愛らしい。
決して歌がうまいとは言えないが聴くことには十分値すると思う。
とくに楽曲のなかでは「あらほんと」「かわいいコイビト」あたりがとても可笑しく興味深く聴けた。
万人にお勧めできるものではないが、もし興味を持たれたら購入しても良いCDである。
定価2000円

明日のためにその18-天山回廊

2012年02月24日 | アジア映画
壮絶なアクションの連続

DVDが普及してから随分の時が流れた。
当初DVDもなかなかタイトルが揃わず、私自身も「あの映画はまだDVD化されていないのか」と媒体移行の遅さに残念がったものである。
今やDVDでは古典的名作も最新作も観られるし、時代はブルーレイへ移行しようとしている。
しかし残念ながらビデオ→DVD移行されずに観られなくなってしまった映画も多い。
本日はその一つである「天山回廊」を紹介する。
ストーリは馬賊の女頭目に一目ぼれした主人公が彼女をおってシルクロードを旅するというものである。
この映画の凄いのはアクションシーンである。
とにかく危ないアクションシーンの連続で観るものを飽きさせない。
私はジャッキー・チェンのファンなのでこの作品以前に「プロジェクトA」を観ている。
「プロジェクトA」も危険なアクションシーンの連続だったがこの作品は更にそれの上をいく。
この映画を観たときあまりのアクションシーンの激しさに俳優は怪我だらけではないだろうかと心配したものだだった。
アクションシーンを観るだけでもこの作品は十分満足できるものである。
しかし残念ながらビデオでは発売されていたがDVDでは発売されていないものと思われる。
中古ビデオショップ等でもし「天山回廊」を見つけたら買ってみても損は無い作品といえる。
1987年公開。中国・香港映画。

明日のためにその17-ハンガイ

2012年02月18日 | ワールドミュージック
炸裂するホーミー

モンゴル。
大草原にゲルがあちらこちらにぽつねんと建ててある風景。
一般的にモンゴルに抱くイメージであろう。
モンゴルには古くから伝わる「ホーミ」と言う歌唱法がある。
声帯を震わせ、舌の動きで音階を変えるという歌唱法である。
私自身以前から「ホーミー」の存在は知っていたがほとんど聴く機会が無かった。
先月だったかテレビで「ホーミー」の特集番組を放送していた。
それを見て「ホーミー」を聴きたくなった私はこの「ハンガイ」と言うバンドを見つけた。
私の知る限り彼らは2枚CDを発売している。
一枚目のCDはアコステックで叙情がありとても好感がもてる内容だ。
二枚目はエレクトリックになってそれでいてモンゴル独特のリズムをベースにしたこれも良い出来のCDである。
どちらのCDにも曲中に「ホーミー」を聴くことができる。
久々に出会えた良いワールドミュージックである。

明日のためにその16-第三の男

2012年02月14日 | ヨーロッパ映画
映画史上至高の傑作

今から30年以上昔になるだろうか、家庭にヴィデオデッキが普及する前のことである。
映画少年だった私はとにかく映画が観たくて様々な劇場を駆け回っていた。
しかし金銭的にも余裕のない少年にとってそれはとても辛いことであった。
映画と言う養分なしでは考えられなかった少年時代に光明のテレビ番組があった。
毎月末の日曜日にNHKの教育テレビで放送されていた「世界名画劇場」がそれである。
この番組は過去の名作をノーカット字幕スーパーで放送していた。
毎月末私は楽しみにこの番組を観たものである。
今回紹介する「第三の男」もこの「世界名画劇場」で観た一本である。
第三の男。
あまりにも有名なので説明する必要も無いかもしれない。
しかし若干ストーリに触れておこう。
舞台は第二次世界大戦の終ったウイーンで展開される。
売れない小説家の主人公がウイーンに住む友人から仕事を斡旋され、彼がウイーンに到着するところから物語りは始まる。
彼は勇んで友人宅を訪れるのだがそこの門番に彼は先ほど交通事故で死亡してしまったことを知らされる。
しかしその現場に居た第三の男の存在、そして友人の恋人だった女性に興味を惹かれた主人公はウイーンに残りこの事件へと関与してゆくのだが....。
とにかく映画の創りとしては隙のない見事なものである。
独特の斜め撮りのショット、緻密に計算された物語進行、全てが映画の手本であろう。
何年か前に世界の著名人が選択した20世紀の名画ではベスト3に入選している。
カンヌ映画祭グランプリ作品のオールタイムベストでは1位に選出されている。
若い方でまだこの映画を観ていない方がいらしたら是非観ることをお勧めする。
1953年日本公開、1949年カンヌ映画祭グランプリ。


明日のためにその15-エキゾチック・ビートルズ

2012年02月10日 | ワールドミュージック
世界中のモンドなカバー

ビートルズは約8年間の活動で200曲を超える楽曲を残した。
その殆どがスタンダードとなり今でも歌われている。
様々なアーティストがビートルズのカバーをしている。
今回紹介する「エキゾチックビートルズ」シリーズはそのカバー曲のなかでも珍品をあつめたモンドなCDである。
1990年代からつい最近発売されたものまで合計4枚のCDがある。
日本で有名なのはもう随分昔になってしまったが金沢明子が歌った「イエローサブマリン音頭」がある。
この楽曲も「エキゾチックビートルズ」のパート1に収められている。
またこのシリーズの白眉ともいえるのが、ビートルズのプロジューサーだったジョージ・マティーンが制作した犬と羊による「ア・ハード・ディズナイト」だろう。
メロディを犬が歌い、コーラスを羊が歌う。
とても可笑しいが聴き終わった後「う~ん」と思ってしまうのは私だけだろうか?
今回紹介したCDはあまりお勧めできない。
ビートルズが好きでなんでも聴いてみようと思っている方でも全曲聴くのは結構重荷である。
ただこのようなCDが発売されているという紹介だけに今回はしておこう。
しかしこれに懲りずに邦人がカバーした楽曲を集めたビートルズのCDを注文してしまった私は本当に好き者である。


明日のためにその14-生まれてはみたけれど

2012年02月08日 | 邦画
身につまされる風刺喜劇

小津安二郎、言わずと知れた日本の名匠で彼の撮った「東京物語」あまりにも有名である。
独特のテンポで進められる会話・画面構成とも一度好きになったらたまらなく魅力的である。
その彼が撮った傑作喜劇がこの「生まれてはみたけれど」だ。
物語は東京郊外に引越したサラリーマン家庭の兄弟が同じく近所に引越してきた父親の勤める会社の重役の息子とのいきさつから始まる。
兄弟の子分になった会社重役の息子は兄弟の言うことなら何でも聞く様になる。
ある日会社重役の家に招かれた家族はそこで会社での勤務風景を撮った8ミリを見せられる。
自分の父親が一番偉いと思っていた兄弟だったがそこに映し出された光景を見て....。
サラリーマンならこの映画を観ると身につまされる思いがあるだろう。
しかし小津は実にドライに可笑しく物語を綴ってゆく。
私は日本の名匠の中でも小津安二郎は天才肌の監督ではないかと思う。
多分彼ならどんな映画でも撮れたであろう。
しかし小津は後年、常に「親子の関係とはなにか」を問いかける作品ばかりを撮っている。
その最高傑作が前述した「東京物語」である。
「生まれてはみたけれど」は小津の後年の作品を観ている人には是非お勧めする一本である。
1932年公開、サイレント映画。

明日のためにその13-ダレル・メヘンディ

2012年02月03日 | ワールドミュージック
元祖インドのダンス音楽

私は1990年頃から今で言う「ワールドミュージック」を聴くようになった。
理由は西洋圏や日本のポピュラー音楽に興味がわかなくなってきたためだった。
西洋圏は主にラップなどのブラックカルチャーがメインストリームとなり、日本ではJ-POPが盛んになりアマチュアバンドの青田刈り現象で音楽の厚みがなくなってきたからだ。
私が思うにブラックカルチャーはやはりカウンターカルチャーとして存在することによりその力量を発揮できる、メインストリームになってしまうとその力量が発揮できないと思っている。
私が「ワールドミュージック」を聴き始めた頃に「バングラビート」が一時流行ったことがある。
北インド地方のパンジャミの民族音楽に海外のダンスビートを融合させたのがそれである。
私はその時期南米のクラッシックなポピュラー音楽を主に聴いていたので「バングラビート」は聴いていなかった。
しかし数年ほど前にある歌手と出会い「バングラビート」の魅力を知った。
ダレル・メヘンディその人である。
一見すると陽気なインドの陽気なおじさん歌手に見えるが彼の繰り出す「バングラビート」はとてもポップで緻密で興味深い。
文句無く踊れる音楽である。
「バングラビート」も年代を経て様々な様式が現在は多数存在する。
その全てを聴いているわけではないが今こそ「バングラビート」を再評価する時期ではないかと思う。
私はダレル・メヘンディのベスト盤を自身のヘビーローテーションとしてほぼ毎日聴いている。
「バングラビート」に興味を持たれたらその入門編として推薦できるCDである。

明日のためにその12-ピカソその天才の秘密

2012年02月02日 | ヨーロッパ映画
絵画界の天才との対決

パブロ・ピカソ。
誰でも知っているであろう20世紀絵画界の天才である。
もう昔のことだが私自身も地元で開かれた彼の展覧会を観て彼の作品に接した。
正直彼の作品を理解できないまま何年か経過したあと或るドキュメンタリー映画がリバイバル上映された。
「ピカソ天才の秘密」
私は彼の創作の謎を知るべくこの映画を見に行った。
キャメラは動くことなくピカソのキャンパスに流れる時間を淡々と捉えてゆく。
緻密なデッサンから始まる彼の作品は時を経るに従って彼のイメージの変化とともにその姿を変えてゆく。
キャンパスに幾度と無く上塗りされる彼のイメージの変化の象徴とも言える油絵の具、作品は徐々に具体性を排除され、彼のイメージそのものの抽象性を帯びてくる。
完成した絵は最初のデッサンを拒否するが如く抽象性に淘汰されていく。
台詞は一切ない、あるのは監督とピカソの会話と彼のキャンパスとキャメラだけである。
此処にこの映画を観るものは微妙な緊張感を感じピカソからの挑戦を受けるがごとき立場に立たされる。
彼の作品は一見無秩序からなるキュビズムの構築のように思われるがそうではない。
この映画は私にそのことを教えてくれた。
監督はアンリ・ジョルジュ・クルーゾー。
恐怖の報酬を撮った名匠である。
ピカソの絵画を見たことがある方で彼に興味を持っている方には是非観ていただきたい作品である。
1957公開、フランス映画。

明日のためにその11-ステファン・ベネット

2012年02月01日 | 洋楽ポップス
超絶的ギターテクニック

STEPHEN BENNETT(ステファンベネット)
6弦のギターに6本の固定絃のハープの付いたアコステックギターを操るギターの魔術師である。
知名度は高いとは言えない彼だがその卓越したギターテクニックは観るもの・聴くものを驚嘆させるだろう。
私はあるきっかけで彼の存在を知った。
そしてユーチューブで彼の演奏を観て息を呑んだ、まさに驚きのテクニックである。
その彼がビートルズの曲をカバーしたCDを出している。
アレンジ、演奏ともまったくもって満足、アコステックギターが好きな人なら是非所有すべきCDだろう。
特にビートルズの初期の楽曲が良い、後期の楽曲も良いが初期の楽曲の方が演奏にスピード感があり私は好きである。
ウエス・モンゴメリー以来の衝撃的なギタリストとの出会いである。