ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその256-若者の暴発する狂気。

2017年03月03日 | 邦画
青春時代、何もかにも希望が持てず、有り余る情熱を狂気と化し、暴走する者たちも多いだろう。
社会の仕組みも分からず、何をしたいかも分からない状況では、そのような行動にはしることもしかたあるまい。
私には青春時代、音楽があった。そのおかげで、有り余る情熱を全て音楽にかけていた。幸運なことだ。
本日紹介する映画は「ディストラクション・ベイビーズ 」青春の情熱を狂気と暴力で描いた作品だ。
ストーリーを紹介しておこう。

舞台は松山市。泰良は幼くして両親を亡くし、弟の将太と暮らしている。
泰良はとにかく喧嘩が好きで、暴力しか見えていない狂犬である。
彼はある日地元から姿を消す。心配した弟はなにかにつけて、兄泰良を探そうとしている。
弟の心配をよそに、泰良は松山の繁華街などで誰彼区別無く喧嘩をふっかけ、いくら倒されようとも相手に向かっていく。そんな生活を繰り返す泰良だったが、あるきっかけから、泰良の行動に共感を持った裕也は泰良と行動を伴にし、みさかえない暴力の世界をつき進むのだったが......

とにかくこの映画は喧嘩のシーンが凄い。昔のアメリカ映画のように、本当に相手を殴っている。
特に相手を殴る時の音が、リアル過ぎて怖いくらいである。
本当に相手を殴る演技をしているのか、詳しく調べていないので断言はできないが、私が観た印象ではそうだ。
そして主役の泰良を演じた「柳楽優弥」が凄い。
暴力でしか情熱の発散、欲求の満足を得られない、感情が無い、氷で出来た刃のような役を見事にこなしている。
さらに裕也を演じた「菅田将暉」も良かった。
泰良の「虎の威を借る狐、それも限りなく臆病な狐をこちらも見事にこなしている。
この二人の演技あってのこの映画だろう。
一方、映画についての感想は「なぜ?」と思えるシーンが多く、映画の出来については不満が残る。
原因の一つは、映画の作りに「力強さ」が無いためだろう。
力強さのある映画は、多少の矛盾、疑問はまったくどうでも良くなってしまうものだ。
総合的に「いびつな」作りの映画ではないだろうか。
前述のとおり、主演、助演の二人の演技が良かっただけに、そこが惜しまれる所である。
ラストシーンからエンディングロールにかけても、今流行の作り。
インディーズ系の曲が流れ、エンディングロールが始まる。
そろそろこのような作りは、改めた方が良いのではないかと、私は思う。
映画の作りには不満があるものの、主演、助演の演技は一見の価値がある。
特に暴力シーンが過激なので、一般的には勧めづらいが、興味を持たれた方は是非観ることをおすすめする。

2015年製作、日本、2016年日本公開、カラー108分、監督:真利子哲也

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