fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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宮沢賢治生誕祭全国俳句大会(1)ーイギリス海岸・羅須地人協会

2012年08月29日 | 俳句

 波は青ざめ

 支流はそそぎ

 つくづくここは修羅の渚 〈宮澤賢治『イギリス海岸の歌』より〉

                              

  宮沢賢治の言葉のセンスには驚かされます。昭和初期の岩手の川岸に「イギリス海岸」と名前をつけて歩いていたのですから。このブログ名としてお借りしている「イーハトーヴ」しかり、「羅須地人協会」という勉強会しかり。

  渇水期には地層が現れ、イギリスのドーバー海峡に似ているということらしいですが、今では他の北上川とどこにも違いはありません。この上流に注いでいるのが猿が石川という川で、この川は東和町に行く途中にもあり、気に入っています。イギリス海岸は、手すりが設けられ、駐車場もきれいになり……。でも入れ物が立派すぎる他の賢治関係のものよりは、この自然は好き。近くには畑があるのもいいです。左は胡桃(くるみ)の木。右の写真は、猿が石川です。

    

 8月27日は、宮沢賢治が生まれた日。宮沢賢治生誕祭全国俳句大会が花巻であり、辻桃子主宰が選者として来県しました。26日、新花巻でお迎えしてから、このイギリス海岸に立ち寄りました。川が見えるところに、「くるみの森」という無料休憩所があります。ここは今まで行ったことがなかったのですが、あまりの残暑の厳しさにちょっと休ませていただこうということになりました。

 古い木造の家をボランティアの方々が借りて、賢治ゆかりの地を尋ねてくる人たちに休んでいただこうと運営されているところです。冷たい麦茶を出していただき、ちょっとしたお料理まで。私たちが行った日は、キュウリとオクラの和え物、ミニトマトのヨーグルト和えでした。

 ここを訪れて、「なーんだ、ただの川」だと思うかたもいるかもしれませんが、私は賢治がここを歩いたんだなあ、そのころは……と思い描くことができ、やはり好きな場所のひとつです。「イギリス海岸」」という言葉のマジックにかかってしまうような? イギリス海岸沿いの胡桃(くるみ)の実は、ほんの少し黄色みがかっていました。9月1日、二百十日が胡桃が落ちる日なのだそうです。賢治は、当時ここを歩いていて「バタグルミ」の化石を見つけてもいます。今見られる「オニグルミ」とは違う品種ですが、〈くるみの森〉の方も数年前渇水期だったときに、見つけられたそうで(とてもめずらしいこと)黒く変色したその化石も見せていただきました。

  そしてとてもよかったのが、そこの方達が賢治の「星めぐりのうた」や花巻農学校のために賢治が作詞した「精神歌」を生で歌ってくださり(我々もおぼろげながら、いっしょに歌いました)、岩手弁「雨ニモマケズ」や「永訣の朝」を朗読してくださったこと。とても感動しました。この感動が思わぬ結果につながるのですが、これはまた明日。(またかい)

 そのあと行った羅須地人協会では、窓を全部開け放ち、風を入れてまったりすることもできました。羅須地人協会は賢治が近所の人達を集めて農業指導をしたり、歌を歌ったりした家ですが、現在は花巻農業高等学校の敷地内にあり、ちょうど縁側から見えるところに、Tシャツ短パン姿の高校生たちが待機していました。どこかの運動部かなと思っていたら、一列になり腰をかがめて、「だぐすこ、だぐすこ」などと口でお囃子を唱えながら、踊り出したのです。9月に行われる花巻祭りでの鹿踊りの練習なのでした。とてもとてもよかったです。彼らが衣装をつけ、太鼓を持って踊る姿が見たいなと思いました。

 ここは、「下ノ畑ニ

       居リマス 賢治」  の黒板が有名なところですが、写真うっかりしました。

 26日夜は、俳句大会会場のホテルで辻桃子歓迎会が催され、ちゃっかりわたしや神奈川から来てくれた「童子」の仲間もご一緒させていただきました。岩手の俳人の方達とお目にかかる機会は初めてだったので、嬉しかったです。みなさんとても気さくで、楽しくすごさせていただきました。ここでも、主催者側の方が挨拶の中で『永訣の朝』を諳んじたり、『星めぐりのうた』の合唱もあり、賢治の詩や歌がどれだけ親しまれているか、感じ入りました。



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