Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

死体袋の帰還兵

2015-07-30 05:58:39 | コラム
公開中の日本映画、『野火』が凄まじい。

原作小説は、大岡昇平によるもの。
かつて市川崑も映画化(59)している・・・ものの、崑さんの映画としてはけっして出来はよくないと(個人的には)思う。

映像技巧では59年度版、ただ迫力という点に関しては「圧倒的に」リメイク版が勝っている。

監督はインディーズの星、塚本晋也。
乱暴ないいかたをすれば、背景が現代東京から戦中のジャングルに変化しただけであり、やっていることは同じ。

いやこれ、たいへんな褒めことば。
戦時中のカニバリズムを描き、心臓には悪いが戦後70年に公開される映画として、たいへんに価値があることだと思う。

今夏はもうひとつ、やはりリメイクとなる『日本のいちばん長い日』の公開が控えている。(8月8日公開)





そこできょうは、まぁたぶんかつてやったことあるのだが、戦争を扱った映画の10傑を展開してみたい。

戦争映画には傑作が多い―じつはこの事実そのものが、ひじょうに厄介というか、皮肉だなぁ、、、と思うのだけれども。。。

※ちなみにきょうのコラムタイトルは・・・まぁ、分かるひとには分かると思う。
QTタランティーノによる脚本で、こういうB級映画風のタイトルが登場するのだった。


(1)『地獄の黙示録』(79)

すべてが圧倒的。

戦争を描いたはずなのに、国家そのものまで迫った感じがする。

(2)『肉弾』(68)

激しい戦闘場面などは皆無だが、全編に漂う無常観に震える。

(3)『ジョニーは戦場へ行った』(71)

SOSに、誰も応えることが出来ない・・・。

(4)『ディア・ハンター』(78)

青春に蹉跌はツキモノだが、それは戦場である必要はない。

(5)『フルメタル・ジャケット』(87)

殺人マシーンも、少女ゲリラひとりに敵わない。

(6)『戦争のはらわた』(75)

変態技巧派サム・ペキンパーは、戦場でもスローモーションを多用して表現する。

その徹底さが、気持ちいい。

(7)『ゆきゆきて、神軍』(87)

戦後でも、戦争は終わっていない。
そう信じて疑わず、戦争責任を追及し続けた鬼の元兵士の記録。

(8)『独裁者』(40)

ヒトラー個人を攻撃した作品ではあるものの、軸になるのは命がけの反戦思想であった、、、はず。 

(9)『プラトーン』(86)

やはりベトナムを描いた映画は強い―と思うが、映画ファンにそうした認識を植えつけたきっかけは、この作品だったのではないだろうか。

(10)『プライベート・ライアン』(98)

映画の描写で初めて、銃撃を「痛い!」と感じられた。

その時点で、この映画の価値は「おおいに、ある。」のだと思う。


じつは『野火』も、この点において同価値なのだった。

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明日のコラムは・・・

『わたしが棄てたおんな 2015年版』

コメント (1)
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