About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

証券税制と非課税口座の話は本来、別問題では!?

2010-11-29 18:37:55 | リンク
いま、証券税優遇税制の廃止と、日本版ISAの導入がセットのように議論されていますが、本来はいっしょくたに議論すべき問題ではないと思います。

下記のブログでは「これは成長戦略が絡むことなので重要なことです。投資資金が日本国内に向かわなくなったらどうなるか。もう少し真剣に検討すべきなのではないでしょうか」とありますが、まさにそうした観点から議論すべき問題。そのためにも、証券税制はシンプルに、そして、金融一体課税にしてほしいですね。

参考:投資十八番「証券優遇税制」廃止はいいんだけど

いっぽう、非課税口座については、個人が長期的に資産形成を考える上で必要な制度として議論すべき問題なのでは。

先日のブログでも触れましたが、従来、下記の1~3で賄われてきた、リタイア後の資金のうち、1・2が縮小傾向にあるという背景を考えると、個人が資産形成をしていく上で3を拡充していく必要があるのではないでしょうか。

1.公的年金
2.業年金/退職金 
3.私的年金(自分で準備をする分=じぶん年金)

ただ、こちらも、確定拠出年金や日本版ISAなど、複雑に制度が絡み合って、活用するにも複雑になってしまっています(確定拠出年金を含む、年金関連は厚生労働省ですし、日本版ISAなどは金融庁ですしね・・・)。こちらも、全国民一律の、もう少しシンプルで使い勝手のよい制度にしていくことはできないのものだろうか・・。

例えば、
日本市場を活性化するためにシンプルな証券税制にしよう、とか
個人の資産形成を後押しするために非課税貯蓄制度をシンプルに使いやすいものにしようとか、そういうことを言う議員さんはいないのかな? 金融業界出身の方もたくさん当選されていると思うので、積極的に発信する方が出てくるのを期待しています。

そして、個人も、あきらめずにそうした声を発信していきたいものです。

日本版ISAって、知ってます?(その2)

2010-11-24 16:01:45 | リンク
以前、こちらでも書いた日本版ISAですが、周りに聞いても知っている人は少数派のようなので、日本版ISA関連のレポートをいくつか挙げました。中でも、野村総研の金子久氏のレポートは良くまとめられていますので、参考になると思います。

野村総合研究所/
【拡大が見込まれる個人向け非課税口座】~「日本版ISA」の解説と普及に向けて~
日本版ISAに向けた期待と課題
日本版ISAのスタートに向け準備を始める金融機関

大和総研ホールディングス/
コラム;日本版ISAは普及するのか


日興アセットマネジメント/
日本版ISA

フィデリティ退職・投資教育研究所/
超高齢社会に向けた自助努力

ダイヤモンドオンライン/山崎元のマルチスコープ
「日本版ISA」、導入された場合の正しい利用法

従来、リタイア後の資金は以下の1~3でまかなってきました。
1.公的年金
2.企業年金/退職金
3.私的年金(自分で準備をする分=じぶん年金)

このうち、1と2は縮小傾向にあります。
今後は3の重要性が増す中、自分で資産形成をすることを支援するような税制の位置づけは非常に大切です。

上記のレポートでも、「改正税法では、3年間で合計300万円とされた。個人投資家の上場株式等への長期投資を促進する制度として、効果があるか否かを検証するため、試験的な意味合いもあり、3年間に短縮されたようである」(大和ホールディングス)とあります。
 
実際、本家、イギリスISAでも
「英国ISAは一朝一夕に作られた制度ではない。全身の制度も含め長い期間をかけて、改良され、現在のような利便性の高い制度となった」(野村総研金子氏~【拡大が見込まれる個人向け非課税口座】~「日本版ISA」の解説と普及に向けて~より)というように、評価と改正を繰り返して今の制度のなったわけです。

現状では改善点も目立つ日本ISAではありますが、2012年に導入が決まった以上、
ここは積極的に個人が声をあげて、よりよい方向に改善を重ねていくことがとても大事だと思います。

企業型確定拠出年金の個人拠出、ようやく解禁に!?

2010-11-15 11:33:10 | リンク
13日の日経新聞によると「与党と自民、公明両党は12日、年金確保支援法案の修正協議に入った」と報道されています。

具体的には、
・国民年金保険料の未納分の事後納付期間を2年から10年に延長
(事後納付できるのは施行から3年間に限定する方向で調整)

・企業が掛け金を出す「企業型確定拠出年金」で個人拠出を認める
・積立期間の上限を現行60歳から65歳に引き上げる

といったことが盛り込まれるもよう。確定拠出年金のマッチング拠出については以前もこちらで書きました。が、結局、2010年1月から限度額は引き上げられたものの、個人拠出については見送られた状態です。

今国会中の成立をめざしているようですが、「拠出限度額の枠内」かつ「企業拠出掛金を超えない範囲」となると、個人拠出の部分がかなり限られそう。むしろ企業拠出の少ない企業に勤めている人ほど、個人でプラスして拠出したいと思うのですが・・・。この辺はこのままいくのでしょうか(ちなみに、アメリカの場合、加入者拠出に企業拠出を合わせるかたちなのでまったく逆です)。

<参考>
大和総研/確定拠出年金普及の鍵となるマッチング拠出は?

日本生活設計/企業型確定拠出年金(DC)、個人拠出導入意向は39.8%

野村もインデックスファンドシリーズ

2010-11-09 15:13:13 | リンク
野村アセットマネジメントが11月26日にインデックスファンドシリーズを設定するようです。信託報酬はSTAMとeMAXISを意識した水準となっています。
詳しくはこちらを。

野村アセットマネジメント・日本債券/信託報酬0.42%(税込)
野村インデックスファンド・日経225/信託報酬年0.42%(税込)
野村インデックスファンド・J-REIT/信託報酬年0.42%(税込)
野村インデックスファンド・TOPIX/信託報酬年0.42%(税込)

野村インデックスファンド・外国債券/年0.5775%(税込)
野村インデックスファンド・外国株式/信託報酬年0.5775%(税込)
野村インデックスファンド・外国REIT/信託報酬年0.5775%(税込)

野村インデックスファンド・新興国債券/信託報酬年0.63%(税込)
野村インデックスファンド・新興国債券・為替ヘッジ型/信託報酬年0.63%(税込)
野村インデックスファンド・新興国株式/信託報酬年0.63%(税込)

低コストなインデックスファンドを設定してもすぐに儲からないように思いますが、野村グループとして長い目でこうした商品を育てていこうという視点があるのかどうか、でしょうね(野村ファンドネット証券やジョインベスト証券の例もあることですし・・・)。

EDINETをみると
「当初設定日より3年を経過した日以降に、受益権の口数が30億口を下回った場合またはこの信託契約を解約することが受益者のため有利であると認めるとき・・・(以下、省略)」とあるので、3年は頑張るつもりなのでしょうか・・。

<参考>雄牛と熊と欲豚とクマーな投資ブログ
「今度は何年持つかしら? 野村がインデックスファンド商売に何度目か挑む」

みずほ投信も11月19日に以下のインデックス投信を設定予定です(こちらは信託報酬がとても低いというわけでもありませんね)。

MHAM外国株式インデックスファンド/信託報酬年0.7875%
MHAM外国債券インデックスファンド/年0.735%
MHAM日本債券インデックスファンド/年0.4515%

にわかに商品が増えてきたインデックス投信。コストも重要ではありますが、長期的に育てていく姿勢があるかどうかも注視したいところ。とくに資産形成層であれば、長いおつきあいになりますから-。

また、個人的には、グローバルバリュー株インデックスとかグローバル小型株のインデックスファンドなど、別のスタイルのものもほしいです。

ETFの認知度はアップする?

2010-11-08 22:09:15 | リンク
先週、東証さんでETFについての意見交換会がありました。
その詳細については水瀬さんが書かれているので、そちらをご覧ください。

梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー
東京証券取引所意見交換会に参加

改めて、国内ETFとが以外ETFの現状と課題をまとめると、

国内ETFは
●品ぞろえについては揃ってきた。国内ETFだけで国際分散投資が可能になった
●流動性の低さ(一部を除いて売買が活発でない)
●NAV(正味価値)と取引価格の乖離率がリアルタイムで確認できない
●販売会社(特に窓口)が積極的に販売しない

海外ETFは
●メジャーなETFは売買は流動性高く、かい離率もリアルタイムで確認できる
●売買委託手数料が25ドル程度かかるのである程度まとまった金額は必要
●ネット証券は特定口座に対応していないので計算や確定申告がかなり面倒

また、両者に言えることですが、配当を再投資できる仕組み(DRIP)がほしいという意見もありました。ただ、国内・海外を問わず、ETFの認知度が低いというのが最大の問題だと感じます。帰宅後、「日本でETFが普及するにはどうしたらいいだろう? 解決策は?」とツイッターでつぶやいたところ、

「まずは名前を変えるべき」(@luther8703)
「商品特徴が伝わりやすい名称を作るとか」(yamachan1122)
といった声が。たしかにETFのアルファベット三文字はわかりにくいし、他の複雑な仕組みの金融商品と同じようなイメージを受ける人が多いかもしれませんね・・・。

また「10年・20年の長期に渡って指数を上丸るパフォーマンスを上げている投資信託は米国でもほとんどないこと、またそのような長期投資をする場合、年間にかかる信託報酬等のコストが仮に1%違うだけでトータルリターンがどれだけ違ってくるかを示すことなど」(@Mororiin)というご意見から、

「AKB48に、一言、ETFやってる人ってカッコいい!と言って貰えればETFの、認知度が上がりおたく男子の資金が一気に流れ込み経済が活性化するかも!」という斬新なアイデアまで出てきました(成人でETFに興味ある子はいるかなぁ!?)。

さすがに「TVでETFのCM流せばイイんじゃないでしょうか? 野村や日興などの運用会社は自社商品を。楽天やSBIのようなところは、例えば家電量販店みたいな感じを出して・・・(以下、省略)」は、手数料の安いETFでは難しそう・・・。

また、やはりというべきか、国内ETFでは
「1617~33のセクター別ETFや1682~97の商品別ETFのように面白いものがあるが流動性がないので売買できない」(@TRADE_HACK)
「私も何本か持っていますが、日本での流動性がまだまだで買いたくても買えないのもあります。投資信託より信託報酬が安く、売買が分かり易いのでもっと普及して良いと思います」(yosi_0701)
というように、流動性の低さに対する不満が大きいですね。

そうした折、三菱UFJ投信が「MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ)上場投信」が11月25日に東証に上場するとの発表もありました。
詳しくはこちら

スキームや売買手数料など、今後に注目です(これについては「フリーETFだったらよいな」というコメントも目立ちましたが、どうなるでしょう?)


コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ#6のご報告とお知らせ2つ

2010-11-05 16:51:05 | リンク
今週月曜日は「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ#6」が行われました(本当は第一水曜日ですが3日が祝日だったので変則的に今月だけ月曜日です)。参加者は33名。はじめて参加される方もいらっしゃって“いい感じ”で循環しているようです。今回は立食にしたので、いろんな方と交流しやすくなったように思います。

「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ#7」は12/1(水)19時30分~
詳細・お申し込みはこちらからどうぞ!(前回の参加者の声も載ってます)

関連してお知らせが2つあります。

1つ目は11/27(土)に大阪で行われる「投資はじめ隊」という勉強会にゲストとして参加します。投資はじめ隊というのは「投資や年金・保険、ライフプランなど、お金に関する疑問を銀行員やファイナンシャルプランナーや生命保険といった金融に詳しい方達にゆっくりと相談できる集まり」です。

内容は東京のコツコツ~とは少し違いますが、投資をはじめた方やはじめようという方が気軽に集まれる場を提供するという意味では仲間です(こういう場が全国各地にできていくとよいですよね!)

前日、仕事で広島に行くので、翌日大阪に寄って参加することにしました。テーマは「投資信託」となっていますが、資産形成全般についてざっくばらんにお話したいと思いますので、関西方面で少しでもご興味のある方はのぞいてみてください。
詳細・お申込はこちら

2つ目は
投信ブロガーのrennyさんが運営委員長となって進めている「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2010」。今年も投票がはじまりました。受付は11月30日(火)まで。

今回で4回目となり、注目度も増してきました。投信ブロガーのかた、1票(正確には持ち票は5票)を投じてみてはどうでしょう。結果は来年1月に行われる予定のインデックス投資ナイトで発表されます。

詳しくはこちら

リバランスの効果は?

2010-11-04 17:16:35 | リンク
モーニングスター「アナリストの視点(ファンド)」で「分散投資におけるリバランスの効果」についての検証する記事がありました。
詳しくはこちら

個人の場合、パソコンに張り付いて毎日チェックできるわけではないので、一定度の乖離よりも、一定期間の経過でリバランスをするのが現実的だと思います。

今回、モーニングスターが検証したのは「国際株式40%、国際債券40%、国際REIT10%、コモディティ10%」という比率で15年という期間です。その結果、一定期間の経過でみた場合、「中でもリターンが最大になるのは6ヵ月経過ごと、リスクが最小になるのは3年経過ごとにリバランスした場合となっている」としています。

ただ、これは組み合わせる資産や比率、計測する期間によって結果は変わってきます。例えば、イボットソンでは国内外の株式・債券という四資産でリバランスの効果を検証しています。

【参考】リバランスとは? リバランスの効果とは?

いずれにしても、まったくリバランスしない場合に比べて、リバランスを行った場合のほうがリスク(=価格の変動幅)を抑えることができるということです(かといって、あまり頻繁に行う必要もありませんが)。

ただ、現実にはリバランスを実行している人というのはあまりみたことがありません。
できていないのであれば、本数を絞る、証券会社を1つにまとめるなど、リバランスしやすいような環境を整えることも大切です。コアは低コストなバランス型1本にしてしまう(リバランスも任せる)のも選択肢の1つ。

購入したまま放置ではなく、年の1、2回は現状をチェック。そして、数年に1回は(組み合わせて運用している場合には)リバランスを実行。こうした作業もできるだけルールに則ってしくみ化したいものです。