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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

MSCIの指数見直し

2011-06-22 09:27:34 | リンク

6月21日欧州大陸時間午後11時(日本時間23日午前6時頃)にMSCIが指数見直しの発表を行いました。今回注目が集まっていたのは、韓国と台湾の2カ国ががエマージング指数から先進国指数にアップグレードするかどうかです。

そして-
結果は今回も韓国・台湾のアップグレードは見送り。両国はエマージングマーケット指数にとどまります。

<参考>
MSCI
「MSCI Announces the Results of the 2011 Annual MarketClassification Review」
ロイター
「MSCIが韓国と台湾の先進国市場への格上げ見送り、カタールとUAEめぐる判断は12月に」

先進国市場とエマージング指数の分類は、1人当たりGDPのほか、外国人に対する投資規制の有無、市場環境の整備状況、為替回送制限の有無などを基準に分類されますが、両市場は市場アクセスをめぐる問題で先進国市場への格上げが実現していないようです。

もう1つ。カタールとアラブ首長国連邦(UAE)をフロンティア市場から新興国市場に格上げするかどうかの決定も保留。今年12月に先送りされています。




ネット証券4社 社長会見(その2)

2011-06-20 10:12:03 | リンク
--今1.6%のシェアを3年後に30%に高める。どのような層に切り込みたいのか? どうやってやっていくのか?

楽天証券・楠社長
実際、悩むところではある。実際にアセットを持っているのは年配の方だし、大きなアセットをぐっと取るのが楽だが、ネットのチャネルにはなかなかそういうものが合っていないというのもある。
ネットの強みは30代、40代。これから財産をつくっていく人たちなので、そういう人たちにいかに広く理解してもらって、1000円の積立でもなんでもいいので、ロングテールで地道にすそ野を広くやっていくのがいちばん堅実なやり方ではないかと思っている。

SBI証券・井土社長
当社のグループも、30代、40代に強い。いずれはそういう方たちが富裕層になるわけですからね。10年後、20年後には自然に増えていくのでは。

カブドットコム証券・齋藤社長
ケータイやスマートフォンはパソコンも含めて益々普及していく。60代くらいまでは(利用が)大丈夫だと思う。相続などがあったときに今まで通り、野村証券のままでいられるのだろうか。我々にもチャンスがあると思う。

マネックス証券・松本社長
ネットなので、30~40代中心ではあるが、ロングテールで「誰でもいい」という感じは強い。1000円買う人でも、100万円買ってくださる方でもネットは営業のコストが低いから、1万円を100人に売るのも、100万円を1人に売るのもどちらでもいいと思っている。みんな合わせていろんなところに浸透していきたいと思っている。

--SBI証券井土社長へ。専用投信販売開始に向けての進捗状況と手ごたえについて
先程も言ったように、我々ネット証券の場合には、長きにわたってという話なので、じっくりと取り組んでいきたい。各社サイトで着々と準備を進めているところだし、お互いのサイトで紹介しあうというのは今までになかったことだし、意義は大きい。

--カブドットコム証券・齋藤社長へ。ネット取引で投資信託という発想はいつどのように思い起こされたのですか?
昨年11月か12月くらいに電話をして。皆さん、アセットを増やしたいとか、投信の大衆化であるとかいろいろ考えていた。そういう意味では自然発生。私の電話はきっかけ。最初に食事会をして、それで盛り上がり、そこで、資産倍増計画を決めた。

--楽天証券・楠社長へ。日本と欧米の投資信託の違いについて教えてください
米国では今1000兆円程度の投信残高がある。日本は65兆円くらい。米国も20年前は100兆円程度だった。その時に日本は30兆円~40兆円くらい。米国の成長の仕方はすさまじいが、投信を使って投資をしていく(背景には)年金や税制など国の制度を含めた、いろんなトリガーを与えられて成長した。日本の場合には、政治に対して期待できないこともあるので、我々がいろんな試みをしていくことで、一般の方が気づいて資産を築いていくという発想にいくのではないかと思う。

--マネックス証券・松本社長へ。今までと違い、運用会社といっしょに投信の新しいマーケットを作っていきたいとのことですが、具体的にきかせてください。
製造業の場合、買う人の意見が必ずフィードバックされる。食べ物でもそう。だが、なぜか金融の世界は受益者の意見「こういうのがほしい」というのが反映されない世界。これを売りたいというのが製品化される。(個人が)買いたいものが作られないといけない。お役様の要望にこたえて商品を作っていく。そういうのはネットのほうがやりやすい。それを吸い取って、運用会社にわたして、作ったら金融の世界も変わるかもしれない。日本は本来消費者が強いが、(現状は)金融だけはそうではない。


*その後、ネット専用投信などについても質問していますが、こちらはまだ取材中ですので、次号『日経マネー』でまとめたものをお読みください。
日経マネーのツイッター(@nikkeimoney)でのマネックス証券・松本社長のコメントは新興国の中小型株投信関連の質問の流れででてきたものです→「インデックス・長期がいいという時代は終わったと思います。それは世界経済とか金融市場が完全に変わったので、インデックスファンド・長期は必ずしもベストの答えではなくなっているということはいえる」





ネット証券4社 社長会見(その1)

2011-06-20 10:11:04 | リンク
6月14日に、資産倍増プロジェクトについて、井土太良・SBI証券社長、齋藤正勝・カブドットコム証券社長、松本大・マネックス証券社長、楽天証券・楠雄治社長の4名がマネー雑誌の会見に応じました(時間は30分ほど)。途中から対談っぽい感じになっています。

--改めて資産倍増プロジェクトをスタートした意義について

楽天証券・楠雄社長
ネットでは投信は売れてこなかった。ネット証券が始まって12年。4社合わせて(投信は)9000億円。今は1兆円くらいまでいっているかもしれないが、日本の投信全体は65兆なので、その中のたった1~2%。必ずしもうまくいってこなかったチャネルが、一緒にタッグを組んでやることで、より一般に投資家に幅広く知っていただける点において意義深いのではないか。

SBI証・井土社長
2011年3月期の大手証券の決算をみると、投信の収益率が非常に上がっている。株式についてはネット証券の存在意義を示すことができたが、そういう中で大手証券の収益構造が変わってきたのかと思う。投信の世界でも、我々の存在意義を示そうではないかと。やればできるのではないか。

カブドットコム証券・齋藤社長
我々も同じ。アセットは株式もまだまだ・・・。日本の場合、アセットの大半を高齢者の方がお持ちになっている。今後は世代交代を含めて、ネットの文化を、すそ野拡大を広げていく。

マネックス証券・松本社長
我々が12年前にネット証券を始めた時、個人の方と株の関係が変わった。違うステージに入ったと思う。新しい文化というか、新しい投信との付き合い方をネット証券が力を入れることによって変えられるのではないかと思う。


--意気込みについて
SBI証券・井土社長
大手証券であれば、募集期間中に「みんなで1兆円集めようぜ」みたいな話になると思うが、そういうのと違い、ネットの投資家は地道に買ってくれて買い越し額が目立つ。そういう特徴がある。新しいタイプの投信。ある意味”あるべき姿”を示せるといい。

マネックス証券・松本社長
「是正」というと言い過ぎでしょうが、もっとよくしたいという気持ちを持っている。

楽天証券・楠社長
ネットで1000円から積立ができるようになったし、対面とは全く違うお客様層にしっかり浸透させていくことができる。まさに大衆化の口火を切っていくことがいえると思う。

マネックス証券・松本社長
もともとの言い出しっぺの(カブコムの)齋藤さんは…

カブドットコム証券・齋藤社長
大手証券がフローで儲からなくなってきて、ダンピングもはじめて、私たちは私たちで収益源を確保しないと。金融(機関)としてアセットを増やす必要があると思い、外債や投信などをどうすればいいかと考えていた。そこで、とても1人ではできないなと-。

マネックス証券・松本社長
金融機関としての成長を考えようとしたわけですね?

カブドットコム証券・齋藤社長
危機感もあってですね、ネットで投信といろいと考えていたので、システムや手数料というのもあるが、原点、12年前に戻ってというのもあり、電話したら、皆さん、理にさとい方なので、即返事が帰ってきた。

SBI証・井土社長
ノーロード投信も増え、運用業界もネット証券との付き合い方もずいぶん変わりましたね。

(続く)

自分で調べ、行動する個人が増えれば、変化は起こる(はず)!

2011-06-17 15:54:21 | リンク
昨年発売した『投資信託にだまされるな!』(新版)のあとがきに以下のように書きました。

『真っ先に変われるのは投資家だと思います。「人気だから」「分配金がたくさんもらえるか」ではなく、「何が儲かりますか?」と売り手に選択をゆだねるのでもなく、自分で調べて、行動する人が増えていけば、一歩ずつでも変わっていくはず。運用会社の理念・投資哲学に共感し、商品性やコストをみて商品を選択することで、日本に「いい投信」が増えていく、育っていくといいですね』。

ただ、現実にはそう簡単には変わりません。
まあ商売ではありますから、販売会社は売りたい商品を売りたがる傾向にあります。

また、この1週間運用会社の方にお会いする機会も結構ありましたが、こちらからの質問に対して「販売会社から反対されるので難しい」といった返答をされることも多く、なかなか現実は厳しいなあということも実感しています。

正直、落ち込むこともありますが、自分のできることを自分のできる範囲でやっていくしかないですね・・。

例えば、家電製品などであれば、パナソニックがいいとか、ソニーがいいというようんはある種のこだわりがあると思うのですが、投資信託については「どの運用会社が運用している」「どういう商品」というよりは、あの金融機関で売っている商品のなかから選ぶ傾向がまだまだ強いように感じます。

日本では、まだ一般的に運用会社の色(運用理念や強みなど)が個人の頭にイメージとして浮かばないのですね-。

でも、資産形成を考える場合には、
家計の現状把握(バランスシートや年間収支の把握)、その上でリスク許容度などを考慮して「資産配分」を決定。そして、金融商品を選択する。
そのうえでどこで買うかを決めるべきだと思います。

つまり、「どの商品を買おうか」→「どの金融機関で買おうか」という順番です。

ですから、(私自身も含めて)個人の方は家計のリスク管理や資産配分、どんな商品を選択するかをしっかりと考えましょう。
そこさえしっかりすれば、取引金融機関は手数料や利便性などを考慮して合理的に選べばいいと思うのです。


投資の賢いやめ方

2011-06-01 18:00:38 | リンク
投資信託事情6月号で「リタイア後における投資の賢いやめ方」という記事がありました。
執筆はアライアンス・バースタイン戦略ソリューション室長兼DC推進室長の後藤潤一郎氏です。
以下、ポイントだけ(詳細は「投資信託事情」6月号をお読みください)。

リターンは同じでも、出方によって大きく変わる
・積立局面では   「先悪後良」>「先良後悪」 となり
・取り崩し局面では 「先悪後良」<「先良後悪」 となる

・産残高が最も大きいのは定年前後(積立の最終局面・取り崩し始める局面)。リタイア前後の損失をいかに抑えるかが最終資産額を大きく左右する

・リタイア前後の大きなマイナスを回避するには、取り崩し局面に入る前に資産配分を保守化するのが賢明(例えば、株式などのリスク資産の比率を減らし、安全資産の比率を高める)。またはリタイアに向けて徐々に保守化する。

・ゴール目前あるいはゴール直後に最悪のタイミングで損失を被ることはあるが、その場合は運用を継続することが大切

・大きな損失を被ったまま資産運用をやめたり、資産配分を極度に保守化するのは利益確定機会を放棄することになりかねない。

・リタイア後も運用を続ける
→年齢とともに徐々に資産配分を保守化しながら資産を取り崩すのは最善の策。

定額引き出しかか、定率引き出しか
それぞれ一長一短ある。
●定額引き出し;一定の生活資金を毎年確保できる点は○、ただし、資産額が増えているときは少ない比率、減っているときは大きな比率で引き出すので、運用額によって引き出しの影響は異なる。
●定率引き出し:運用額への影響は常に一定。財産の保全の観点は○、ただし、最良と最悪のシナリオでは引き出し総額のブレ幅が非常に大きい。

保険の活用
・想定以上に長い気する場合(長生きリスク)のヘッジとして保険、具体的には定額の終身年金を活用するのが効果的。
・資産運用→終身年金→給付という新たな形の模索も必要ではないか。

長期的にコツコツ資産形成を行うという点については、(少しずつではありますが)広がってきたように思います。今後は、資産を形成した後、いかに使っていくかという点も含めて長期的なプランを考えていく必要があるでしょう。私自身、目下の研究課題でもあります。