About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

「金融税制調査会」の設置

2010-07-29 20:27:16 | リンク
今日は田村政務官の会見があったので、金融庁に行ってきました。

平成23年後税制改正要望の取りまとめにあたり、これまで政務官を座長とする「金融税制研究会」で議論を行ってきましたが、今度は副大臣を座長とする「金融税制調査会」を設置するそうです(3回開催予定)。

「金融税制研究会の論点整理」について公表されています。
詳しくはこちら。各委員の主張が並べてある感じではありますが・・・。

「金融税制調査会」は3回開催されますが、審議は非公開(公開してほしい)。
メンバーは有識者11人。金融税制研究会と6名重複。
有識者からの意見を伺い、報告書をつくって、それをもとに金融庁の方針を決めるそうです。

詳しくはこちら

2点質問してきました。

①日本版ISA(少額投資非課税制度)の導入は「証券税制の軽減税率の適用期間の終了(平成23年予定)」が前提となっているのか?

田村氏:ISAは政府税調で決定した。その際に、軽減税率とは切り離して認められた。
(そもそも原稿の)軽減税率は自民党政権下のもの。当時の野党民主党においては、まだリーマンショックの前の時点ですが、その時点では譲渡益については20%に戻し、配当については10%に維持をするという方針を決定した。その後、リーマンショック以降は経済状況をみて軽減税率について延長するというふうになった経緯がある。

「税率をどうするか」という議論はしなくてはいけないと政府税調でも指摘がある。これ(税率)については今年しっかり議論していきたい。

②金融税制研究会では日本版IRA(個人型年金非課税制度)についての発表もあったが、IRAについても議論をする予定か?

田村氏:IRAに関してはまだ提案をいただいただけで、来年の要綱でということはまったく考えておりません。ただ、検討材料として大変意義深いと思いますが、IRAくらいになると金融庁だけで議論できない。関係省庁も含めてということになるかもしれませんが、まだどういう風に議論していくのかは考えておりません。

*現在、金融庁の会見は記者クラブ加盟社とそれ以外に分かれて会見を行うのではなく、合同になっています(今日も一緒です)。でも、ISAに関する質問などは一切ないのですよね。あまり興味ないのだろうか??

「投資信託にだまされるな!【新版】」が8/6に発売になります

2010-07-27 11:26:45 | リンク
「投資信託にだまされるな! 2010年最新投信対応版」が8月6日に発売になります。

色々ありましたが、何とか発売にこぎつけることができました。「いつでるの?」というお問い合わせをたくさんの方から頂いていたので、発売日が決まりホっとしています。

2007年4月に発売したものを改訂したものですが、本当にこの3年間で商品・サービスなども変わったので、後半はかなり書き直しています。

また、前著では校了ギリギリにセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド(セゾン投信)設定にニュースが飛び込んできて急いでコラムに入れた記憶があります。今回も、かなり進んだ段階でSTAMインデックスシリーズ(住信アセットマネジメント)の信託報酬引き下げが発表されたり・・・。追加や修正は大変ですが、いいニュースが飛び込んでくるのはよいことです。

投信については、いい方向に進んだと面もありますが、一方で「変わらないなあ」という部分もたくさんあります。手にとっていただいて少しでも資産形成や投信選びを考えるきっかけになっていただけることを願っています。












「点検 新規投信」は興味深い記事 

2010-07-26 21:56:29 | リンク
今日の日経新聞では投信に関する話題が2つ載っていました。

1つは1面「個人の投信保有平均1年短く」のいう記事。
「今年6月末時点の株式投信の平均保有期間は2.8年と、前年同月より1年短くなった」とのこと。野村アセットはさらに短く平均保有年数は1.5年(!)だそうです。

2つ目は17面の「点検 新規投信」という記事です(編集委員・田村正之氏によるもの)。

新規設定された投信のうち各年度末で純資産の大きい10本の投信の翌年度以降の3年間の成績を類似分野の指数(インデックス)と比較したグラフは興味深いです。

新規設定で純資産総額の上位はアクティブ投信が並びますが、2010年を除き指数をかなり下回っています。新規設定の投信はどうしても資金が集まりやすいように旬のテーマに関連したものを設定しがちですが、そうした時期は相場が過熱気味で高値掴みしやすいことが主な理由でしょう。

この2つの記事、実はつながっています。
新しい、一見魅力的にみえる投信が設定されると、「これまでのものを解約して新しい商品を購入する」という具合に資金が移行するその結果、投信の保有年数も短くなってしまうと考えられるからです。実際、毎年多くの投信が新しく設定されて多くの資金を集めますが(大手投信では110本以上!)、その割に投信全体の資産が増えていきません。新規のお金が入ってきているというより、別の投信を解約して新商品を購入する人たちが多いからでしょう。

本来長期で資産形成をしていくツールとして活用したい投信の平均保有年数が3年未満では短すぎますよね。おまけに、新しい商品に飛びついても(あくまでも過去の結果はではありますが)対象指数を上回る成績をあげるのは難しい、ときています。

・新規設定のもの(いわゆる新商品)は買わない
・流行りのテーマのものには手を出さない
・過去の実績(リスクやコストなど)をきちんと確認する
 (→運用報告書を読んでみてほしいなあ)

を実践するだけでも大けがはだいぶ避けられると思うのですが・・・。

鎌倉投信の第一回受益者総会に行ってきた

2010-07-25 23:38:52 | リンク
土曜日は鎌倉投信の第一回受益者総会に行ってきました。

総会の内容は、直販ボーイズ&ガールズの、m@さん(@msyk)とまっき~さん(@makiko8)が中継していたので、詳細はそちらをご覧ください。

10時から18時までの長丁場で、三部構成。「日本でいちばん大切にしたい会社」の坂本先生の講演を皮切りに、元リッツカールトンの高野さんの講演やパネルディスカッションなど盛りだくさんでした(私は二部のパネルディスカッションに参加させていただきました)

後半はいち受益者として会場で傍聴しましたが、三部のパネルディスカッションがとくに良かったです。登壇されたのは、池内タオルの池内社長、トビムシの竹本社長、Kaienの鈴木社長。そして、モデレーターは鎌倉投信の新井さんでした。

経営者三名のそれぞれの事業にかける思いが伝わってきたし、事業内容についても理解が深まりました。知森林事業や自閉症など、知らないことも多く、勉強になりました。

こうした運用会社、投資先企業、そして、受益者が参加できる総会を開催した意味は大きいと思います。ぜひ来年以降も続けてほしいです。

投資信託は運用会社から選びたい

2010-07-19 21:09:41 | リンク
遅ればせながら、先日『投資信託は運用会社で選べ』を読みました。マネックスユニバーシティ内藤忍氏と、イボットソンの小松原宰明 氏の共著です。

投信をつくって実際に運用している運用会社のことを知った上で投信を選ぼうというのはその通りだと思います。

本来、運用会社の運用ポリシー→それに沿った品ぞろえ→商品選び
という順番で考えるべきだと思うのですが、これまで作り手である運用会社について焦点を当てたものはほとんどありませんでした。でも、本当は「運用会社の運用ポリシーに共感できるか否か」はとても大事なポイントですよね。

本書では以下の9項目で運用会社をスコアリングしています。
1. レーティング
2. 資金流出入状況
3. ファンドマネージャー/アナリスト平均経験年数
4. ファンドマネージャー1人あたり運用本数
5. (設定+償還)比率
6. アクティブファンド比率
7. ノーロードファンド比率
8. 平均信託報酬
9. ディスクローズ積極度


運用ポリシーなども記載されていますが、個性的なものは少ないという印象。ファンドマネジャー1人あたり運用本数が17本という会社もあって驚きました。投信DATAはアセットクラスごとになっているとわかりやすい気も・・・。

次回は、親会社への依存度とか(どこ経由の販売が多いか)、トップ人事歴なども載せてほしいなあ・・・。株主構成と役員一覧(出身も)などが載っているだけでもうれしいです。

いきなりこの本を読んで運用会社を選ぶのは厳しい気もしますが、何冊か基本的な本を読んだり、実際に投資を始めたり(実際に運用をしていたり)という方が1冊手元に置いておくという感じでしょうか。来年度版は、個人投資家が運用会社を選ぶうえで、さらにわかりやすい指標の追加を望みます。

金の果実シリーズのセミナーに行ってみた

2010-07-07 18:25:40 | リンク
昨日はカブドットコム証券・東証共催の「貴金属ETF上場記念セミナー」に行ってきました。

貴金属ETF(金の果実シリーズ)が上場したためです。
(上場から3日間、金の果実(1540)は売買が1億円を超えたそうです。

このシリーズの特徴は純金、プラチナ、銀、パラジウムの裏付けがとした、日本初の国内組成による商品現物ETFであるということ。

三菱商事が委託会社、三菱信託銀行が国内に保管(保管場所は秘密だそうです・・・笑)。

従来のETFは信託報酬は低く、取引の利便性は高いが、実物資産の魅力を一部あきらめる必要があった。そのため、今回は「現物資産の価値」に焦点を当てたとのこと

金・プラチナは現物1kgから転換できる。銀とパラジウムは大口向け(まあ、個人でパラジウムと交換したいと言う人はいないでしょう)。
転換できるのは、今のところカブドットコム証券と、三菱UFJモルガン・スタンレー証券。

特定口座の利用が可能、信用取引も可能。

そのほか、個人が現物に転換できる、金とプラチナを中心に市場、需給の話などが続きました(いまや金の生産量では中国がトップなのですね・・・)。

カブドットコム証券の臼田さんからは、資産運用にお買える金投資の考え方や使い方、金ETFは長期しながら、信用取引で売るといったお話などがありました。
(国内ETFの流動性についてはよく指摘される問題です。長期保有の人たちがいる人たちに加えて、いろんな方が入ってきたほうが厚みは増すと思うので、こうしたお話もいいですよね)。

ということで、今後に注目です。




STAMインデックスファンドシリーズ、ついに信託報酬引き下げ!

2010-07-05 19:23:36 | リンク
住信アセットマネジメントのSTAMインデックスシリーズ、ついに信託報酬を引き下げを発表しましたね。


STAMインデックスシリーズの信託報酬引き下げ等について


「純資産総額が増えたら信託報酬の引き下げも検討する」。
2009年1月の第一回インデックス投資ナイトで橋本氏が公言してから、1年以上が経ちました。投資家の中には「いったいいつ?」と心待ちにしていた方も多かったと思います。

今回、シリーズ8本の純資産総額が約260億円(2010年6月末現在)になったことを受けて、信託報酬の引き下げとなったようですが、

理由として
(1)受益者のさらなる利便性の向上
(2)これから投資を始める人たちに対しても、インデックスファンドの認知度をさらに高め、資産形成の一助となること
をあげていました。

口約束でなく信託報酬の引き下げを実行し、受益者に対してこうしたメッセージを発信したのはとても新鮮でした。「純資産総額の増加することで、信託報酬を引き下げる」という、よい意味での先行事例になってほしいですし、これがスタンダードになってくれるとよいなあ・・・。

投資家のなかには「もう少し引き下げてほしかった」という意見もあるようですが、私は大事なのは「黒字化」と「継続」だと考えています。いずれもっと大きくなれば、さらなる引き下げも検討されると思いますので、ここは投資家サイドも長い目で見守っていきましょうよ。

また、STAMは純資産総額の増加に応じて販社の取り分が増えるといった方式になっていない点も好ましいと思います。