About Money,Today

ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

通貨選択型はハイリスク!?

2010-06-29 21:50:10 | リンク
「投資信託事情」の7月号で、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンの小松原宰明氏が「通貨選択型ファンドの推計リスクについてまとめた記事がありました。

2009年末には400本以上が運用され、純資産が4兆円を超えるまでになった通貨選択型投信ですが、

詳しくは「投資信託事情」をお読みいただくとよいと思いますが、投資先の「5つの資産クラス」×「ヘッジ通貨」のグラフはとても興味深いものがあります。

例えば、南アフリカランドやブラジルリアルヘッジなどは、例にあげられている5資産のいずれもリスク(標準偏差)が30%を超えているのです。

仮にリスク30%とすると、統計的には96%程度の確率で、期待リターンから上下に60%ブレるということになります。

新興国株式のインデックスファンドのリスクが30%程度と考えると、かなりハイリスクなことがわかります。

たくさんの分配金をもらえるというのが通貨選択型の”売り”ですが、元本の価格がこれほど大きく変動するということを購入者の方のどれくらいが意識しているのでしょうか。ちょっと心配です。

久々に積立について

2010-06-25 19:37:59 | リンク
野村総研の金子氏が書いたレポートを読みました。

データは少し前のものですが、P30の
「投信の投資家全員による過去の購入パターンよりも、
ドルコスト平均法による評価損益率がすべての分類で上回っている」
というのが興味深いですね。

「ファイナンスの立場からみれば、ドルコスト平均法は賢い投資方法とは言えないのであろうが、一般的な判断力しか持ち合わせていない多くの投資家にとっては、ドルコスト平均法を上回る投資を行うことが極めて困難なのである」

という結論はなるほどなあと思いました。



目論見書の簡素化(その2)

2010-06-24 17:28:39 | リンク
目論見書の簡素化野続き

では、どんな情報が入るかというと、
まずは「基本情報」が入ります(順番などは運用会社や商品によって異なる)

交付目論見書である旨
金商法上の目論見書である旨
ファンドの名称及び商品分類
委託会社等の情報
(委託会社名、金融商品取引業者登録番号、設立年月日、資本金、運用する投資信託財産の合計純資産総額、ファンドの指図を行う者である旨、その他)

受託会社に関する情報
詳細情報の入手方法
(HPアドレスや電話番号、受付時間等、請求目論見書の入手方法及び投資信託約款が請求目論見書に掲載されている旨)

使用開始日
届出の効力に関する事項
商品分類及び属性区分表
その他の記載事項

そして、「ファンドの目的・特色」が続きます。

ファンドの目的・特色
・ファンドの目的
・ファンドの特色
(例:ファンドの仕組み、運用手法、運用プロセス、投資制限、分配方針等)

*収益の源泉や投資方法(直接投資かファミリーファンド方式か等)の内容を図表等でわかりやすく説明することがのぞましい


そして、「投資リスク」です
・基準価額の変動要因
・その他の留意点

 そして、「投資リスク」の次に来るのが「運用実績」です。
基準価額や純資産の推移
分配の推移
主要な資産状況
年間収益の推移

リスクページと運用実績のページは原則見開きとするとなているので、
この辺は従来より見やすくなりそうです。

実際に、7月から改訂される目論見書の実物をみないと何とも言えませんが、従来の交付目論見書に比べると、見やすくはなりそうです。

あとは、運用会社ごとの創意工夫に期待します!

「交付目論見書」が簡素化されます

2010-06-21 19:31:51 | リンク
7月から「交付目論見書」の簡素化が始まります。

これまでは有価証券届出書の抜粋だったので、用語もなんとなく難しいし、ページ数も多かった交付目論見書。今回の簡素化により、交付目論見書は「おおむね10Pを超えない程度」(パブコメ「金融庁の考え方」)となっているので、8Pもしくは12Pのものになりそうです。

ただ、決算期(1年決算なら1年ごと)に更新され、順次改訂版に切り替わるようなので、この1年くらいは分厚い目論見書と、薄い目論見書が併存するかたちになります。

それに伴い、投資信託約款は請求請求目論見書へ移動するので、請求目論見書は逆に厚くなるかもしれません。


今回の改訂で
・投資リスクと運用実績を見開きページにする
・年間収益率の推移をグラフ化する(ブレ幅がわかりやすい)など、
複数ファンドの比較はしやすくなりそうです。

用語についても
信託報酬⇒「運用管理費用」
販売手数料⇒「申込時手数料」
と、いちおう投資家からみた言い方に変更されます。

運用担当者・チームのプロフィールや実績を公表してほしいなど、
まだまだ改善の余地はありそうですが、少ないページでわかりやすくまとめるという意味では、運用会社ごとに対応に差がでそうなので、そういう意味では楽しみです。

補足)
金曜日に運用会社の方がお話するセミナーを受けたのですが、
目論見書は「法定文書」なので、いかに漏れがないか、間違えないかという部分に一番気を使うようです。もう一歩進んで「いかに投資家に伝わるか」までいけばよいですね!
(ディスクロージャーチームの方々も忙しそうですが、これは投信の本数が多すぎることもあると思います、個人的には)

続く・・・

フリーETF

2010-06-17 20:41:18 | リンク
カブドットコム証券が「フリーETF(特定のETFの売買手数料を無料とするサービス)」を始めました。これにより、 三菱UFJ投信の「MAXIS」シリーズのETF3銘柄の売買手数料が無料になります。

詳しくはこちら

米国だとETFの売買手数料の無料化が進んでいるですが、日本でもこうしたサービスができるようになったのですね。いまは3銘柄に限定されますが、将来的には拡大の余地もありそうです。

3本とも先物での取引も可能です。上級者はETFはじっくりと保有しつつ、短期的な相場変動は先物で対応するといった対応をすることも可能だそうです。

ETF関連のニュースでは、三菱UFJ信託銀行と三菱商事が金、プラチナ、銀、パラジウムの貴金属ETF(現物国内保管型)4本を新たに設定、東証に上場すると発表しています。

詳しくはこちら

カブドットコム証券は現物交換可能会社となっていて、例えば純金ETFを買って、金に交換することができます(ネット証券だから宅急便で送ってくれる!?)。

詳しくはこちら

税制面では有価証券と金の両方の税制を使い分けられること。損していれば、ETFのまま売って、ほかの株や配当などと益との相殺に使え、ものすごく儲かったら、地金に代えて売却することでキャピタルゲイン課税がかからないそうです。

ネット証券の中で、ETFについては沈黙を守ってきた(?)カブドットコム証券ですが、ここにきて一気に新サービスを発表してきましたね。

ギリシャがシティグループ国債インデックスから除外の見通し

2010-06-16 18:24:20 | リンク
ギリシャ国債の格下げを受け、ギリシャが主要指数から除外される見通しです。外国債券インデックスファンドの代表的な指数である、シティグループ国債インデックスからも。

そこで、低コストインデックスファンドの運用会社のHPをみてみると・・・。

まずは、三菱UFJ投信
ギリシャ国債の格下げについてだけでなく、「ギリシャ国債信用格付け引き下げに関する弊社ファンドの対応について」の臨時レポートも掲載されていました。

格下げだけでなく、ギリシャ国債を組み入れている投信を迅速に公開している点は評価でいます(eMAXIS先進国債券も)。

次に、住信アセットマネジメントです。
「ムーディーズがギリシャを格下げ、投資不適格級の(Ba1)へ」と題するフォローアップレターが出ていますが、投信についての言及はなし。

そして、中央三井アセット。こちらも、「ムーディーズがギリシャ国債格付けを投機的水準に引き下げ」というマーケットレポートの掲載。投信についての言及はなし。

一方、セゾンバンガード・グローバルバランスファンドのセゾン投信や、マネックス資産設計ファンドなどを運用するDIAMアセットマネジメントは、トップページをみた限りでは、とくにギリシャ国債に対する言及はありませんでした(6/15時点)。国際分散投資をうたう商品も多いので、この辺はフォローしてくれてもよい気がします。

いずれにしても、こういうときの情報公開・対応なども要注目です。






「改訂版はいつ」の質問がこわい今日この頃(でも、ホントは嬉し) 

2010-06-11 18:44:11 | リンク
今日、ようやく『投資信託にだまされるな!』改訂版のゲラがでてきました。
が、進行は当初よりかなり遅れ気味で、焦っております・・・(汗)。

何といっても、前著に引き続き、この本、図表の数がかなり多いのすよ・・・。
なので、作成するのも、チェックするのもなかなか大変です。

HP経由やツイッターなどで、「で、いつ改訂版でるんですか?」というお問い合わせと励ましと叱責をいただいています。感謝の一言です。

編集者もデザイナーさんも、みんなで頑張ってますので、もう少しだけ暖かく見守っていただけると幸いです(涙)。

若者も分配型?

2010-06-09 12:34:40 | リンク
今月に入って、「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ」やマネーカレッジ主催の1Day集中スクールなどで、若い投資家の方とお話をする機会がありました。

そこで、気になったのが、20代、30代の毎月分配型ホルダー。ネット証券などで購入したわけではなく、おもに給与振込先の銀行ですすめられたというのです。

「投信を買いたいと思って銀行に行ったら、2本の毎月分配型をすすめられた(海外株と海外債券)」

「いろいろ質問されて、リスク許容度などから資産配分を示してくれた。その結果、出てきたのが毎月分配型の投信だった」

などなど、です。
資産配分を提案し、そのあと商品が毎月分配型になるのかは謎ですが・・・。

私も以前、銀行でコンサルを受けた際、日本株を持っているというと、外債ファンドを勧められた経験があります。ところが、出されたのは「ファンドセレクション(=要はおすすめ一覧?)」のなかにある、売れ筋の毎月分配型の投信か新規設定のばかりでした。

「あのお、まだ20年くらいは運用しようと思ってるのですが、毎月分配金をもらっても・・・」と尋ねたところ、

「再投資できるコースも選べますよ」といわれてしまいました。
再投資するなら、年1回とか2回決算のものでよいと思いますが・・・(苦笑)。

さて、お話した方たちは実は「よく勉強する前に購入してしまって」と後悔している方も多いもの。でも、「今下がっているから解約したくない」とか、「なんか悔しくって・・・」といった理由でまだ保有されています。

でも、仕事で収入があるのに、毎月、数百円の分配金は必要?と聞くと「必要ないですねえ-」と。

まだ幸いなことに投資金額も少ないことですし、「間違えたと思ったら、勉強代だと思ってやり直す」ことをおすすめします。


インデックスファンドの平均残高は?

2010-06-02 15:28:24 | リンク
投信協会の発表によると、
2010年4月末現在のインデックスファンドの本数は146本。
うちETFを除くと、公募のインデックスファンドは72本になります。

詳しくはこちら

結構な本数がありますね。

トータルの残高は1兆6729億円なので、
1本当たりの残高は232億円程度ということになります。

新しく、低コストのインデックスファンドが誕生するのはよいことだと思うのですが、そのいっぽうで、とくに合併した運用会社のサイトには、TOPIXや日経225に連動する投信が複数本並んでいるのをみると、なんだかなあ・・・と思ってしまうことも。こうしたものを併合して(ひとまとめにして)、信託報酬を下げるという選択肢もありだと思うのですが。

アクティブファンドの場合には投信同士の併合はなかなか難しいと思いますが、
同じ指数に連動するインデックスファンドであれば、可能なはず。

もちろん事務手続きなどは煩雑かもしれませんが、規模拡大→継続・成長するのは、長い目でみたら受益者・運用会社にとってプラスなのではないでしょうか。

-規模が大きくなったら、信託報酬を下げる!
-運用方針が明確で、受益者(投資家)に対して、情報開示が明確
-そして、併合を推し進める会社

こうした会社は支持したいと思います。

投信もイノベーションを

2010-06-01 18:37:02 | リンク
独立系のコモンズ投信が、「こどもトラスト」という試みを始めると発表しました。英国で導入された公的制度「チャイルドトラスト」の考え方をベースとした「こどもトラスト」を、投資信託を活用したサービスとしてスタートするというもの

詳しくはこちら
今日、会長の渋澤さん(@shib30)ツイッター上でもけっこう話題になっていましたね。

ロイターの記事

コモンズ投信は顧客や企業との対話を掲げて、様々なセミナーを実施していますが、最近は 「パパ&ママ向けセミナー」を開いたりしていてユニークですね。

こうした試みが根づくかどうかまだ未知数ですが、教育資金=学資保険(と定期預金)というイメージが強いですが、ほかにもいろんな選択肢があるということが広まるきっかけになるとよいですね。加えて、コツコツ積み立て投資も・・・。

同じく独立系の鎌倉投信長は投資先、運用会社、投資家の三者で「受益者説明会」を行いたいと、先日の直販投信のイベントでおっしゃっていました。

独立系・ベンチャー型の投信は、従来の投信にない、革新的なサービスや試みにトライしてほしいです(もちろんしっかり運用していただくというのが大前提ですが・・・)。