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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

1年間継続して資金純増のファンド(2014年4月末時点)

2014-05-26 13:40:06 | 投信

『投資信託事情』2014年6月号が届きました。毎月恒例の「1年間継続して資産純増の人気ファンド」を見てみましょう。これは1年以上継続して、資金の流入額から解約額を差し引いて、資金が純増している投信を調べたものです。

2014年4月末時点で「1年間継続して資産純増のファンド」(純資産30億円以上、DC、SMAなどの専用ファンドを除く)は60本(前月比+8本)。順位は1年間の資金増加額の順です。ここでは、毎月分配型以外の投信をピックアップしてみます。

17位:野村ドイチェ・高配当インフラ関連株投信・米ドルコース・年2回(野村AM)
20位:コア投資戦略ファンド<コアラップ(成長型)>(三井住友トラストAM)

23位:コア投資戦略ファンド<コアラップ(安定型)>(三井住友トラストAM)
25位:優良日本株ファンド<ちから株>(三菱UFJ投信)
27位:日興レジェンド・イーグル・ファンド(アムンディ)
30位:明治安田米国中小型成長株式ファンド(明治安田)

32位:利回り株チャンス13-03<年4回決算>(大和投信)
35位:GS米国成長株集中ファンド/年4回決算(ゴールドマン・サックス)
36位:フィデリティ・USハイイールド・ファンド/資産成長型(フィデリティ投信)
39位:トレンド・アロケーション・オープン(国際投信)

46位:結い2101(鎌倉投信)
47位:みのりの投信(ポートフォリア)
49位:中小型株式オープン<投資満々>(三井住友トラストAM)

51位:ピクテ・アセット・アロケーション・ファンド<1年決算・ノアリザーブ1年>(ピクテ投信)
52位:グローバルCBプラス<Wレインボー・ヘッジなし>(国際投信)

54位:野村Jリートファンド(野村AM)
56位:eMAXISバランス<8資産均等型>(三菱UFJ投信)
57位:SMT国内債券インデックス・オープン(三井住友トラストAM)
58位:DIAM外国債券・パッシブ・ファンド(DIAMアセット)
59位:しんきん公共債ファンド<ハロー・インカム>(しんきんAM)
60位:三菱UFJライフセレクトファンド<安定成長型>(三菱UFJ投信)


*結い2101(鎌倉投信)はついに3年以上資金純増にとなりました。eMAXISバランス<8資産均等型>(三菱UFJ投信)とSMT国内債券インデックス・オープン(三井住友トラストAM)は2年以上資金純増です。
*みのりの投信(ポートフォリア)やフィデリティ・USハイイールド・ファンド・資産成長型(フィデリティ投信)など3投信が初登場。マイ・ロードが姿を消しています。


MSCIエマージング・マーケット・インデックスの対象国変更

2014-05-22 19:53:43 | 指数

2014年5月にアラブ首長国連邦(UAE)とカタールがフロンティア市場から新興国市場へ分類が変更になります。これにより、MSCI エマージング・マーケット・インデックス(円換算ベース)の対象国が変更になる予定です。MSCIエマージング・マーケット指数は「21カ国」から2カ国増えて「23カ国」になります。

フロンティア株式指数に占めるUAEとカタール両国の比率が高いため(約32%)、段階的に移行することになります。

特定の指標に連動して動く「インデックスファンド」ですが、このインデックス(指数)の中身は時代とともに変わります。組み入れられる国や企業などは柔軟に変化していくのです。
(MSCIのサイト→こちら )

<ご参考>
●プレスリリース「Changes to the Methodology for the MSCI Frontier Markets 100 Index」

●三菱UFJ投信サイト「eMAXIS Index Information vol.9 MSCI エマージング・マーケット・インデックスの対象国分類の変更について (PDF)」

 


新・投資信託にだまされるな!が発売されます

2014-05-16 18:15:31 | 近況

本日、『新・投資信託にだまされるな!』の見本が届きました。

5/22頃に書店さんに並ぶ予定です。
Amazonでも予約受付中です→こちら

第1章の広告例は全て新規に作成しましたし、2章・3章も大幅に加筆・修正しました。逆に、迷って迷って途中で元に戻した部分もあります。執筆にあたっては、どうしたらわかりやすく伝えることができるのか本当に悩みます。調べて、書いて、悩んで、直して--を繰り返してできた本です。ご興味のあるかたは手にとっていただけると嬉しいです。


6/12(木)にNISAの勉強会&意見交換会を行います!

2014-05-15 10:53:34 | イベント

先月のコツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)で、参加者の方からご要望があったため、スピンオフ「NISAの勉強会&意見交換会」を行うことにしました(個人投資家の方が対象です)。 

NISAはひとり1金融機関にしか口座を開設できないため、個人で比較・検討して金融機関を選ぶのがむずかしいのが現状です。そのため、NISA口座を開設してはじめて「そうだったのか」と感じることも多いようです。平成26年度の税制改正でNISA口座開設の金融機関については毎年変更することが可能になったことを受けて(移管は不可)、改めて 

●それぞれの金融機関の特徴は何か 
●どんなところが違うのか(商品・手数料、サービス、システムなど) 
●どういうポイントで金融機関を選べばよいのか 

--等々について、情報を持ち寄って、勉強&意見交換をしてはどうかというお話になりました。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。 

詳細・お申込はこちら 


日本コムジェストとセゾン投信の共同セミナー報告(その3)

2014-05-07 16:02:46 | 直販投信

最後に、トークセッションの内容を抜粋してリポートします。

(中野さん)達人ファンドの4分の1をアルノーさんが運用している。そして、一度も解約をしたことはない。

 (アルノーさん)優良な企業に長期的に投資することを考えたほうがよい。株式市場は素晴らしい会社だと認めるのに時間がかかる。皆さんがセゾン資産形成の達人ファンドにお金を出すと、(コムジェストの投信を通じて)投資先の企業に投資をし、そのリターン・配当がファンドのゾン資産形成の達人ファンドパフォーマンスに跳ね返ってくると思ってください。

一例として、1919年に上場したコカ・コーラは利益成長は10.5%だが、株価は4000倍になっている。この利益と株価の差は複利効果。配当を再投資していくので、長期的に資産が拡大していく。いい企業はあるが、知られていない会社も多い。我々はいい企業に投資していきたいし、そのパフォーマンスをセゾン資産形成の達人ファンドを通して還元していきたい。

(中野)リサーチはどうしているのか?

(アルノー) アナリストは現場に行くこと、現場を理解することが大事。四半期ごとに投資先の企業とMTGを行うだけでなく、その会社の顧客や競争相手などもリサーチしている。グローバル企業が多いので、アジアや南米の工場まで出かけていくこともある。

(中野)会社の価値・理念はどう引き続くのか?

(アルノー)長期投資ということは20年、30年と投資をしていくわけで、理念は継続しないといけない。コムジェストの第一世代(創業者2名)はすでに引退しており、我々第二世代が引き継いでいる。そして、第三世代についても、若いうちから運用理念を叩きこんでいる。また、そうできるできるように、運用チームも、シニア、中堅、若い層と幅広い年齢層でチームを組むようにしている。
 

<Q&A>
-売りのタイミングは?
(アルノーさん)知識と辛抱強さが必要。ビジネスについて理解する、その先に確信度。株価が割高か割安か。割高であれば、1年でも2年でも待てる。株価が30%下げても、ビジネス的に揺るぎがないと思ったら、投資し続ける。

―成長予想が外れたときの基準は?
(アルノーさん)四半期ごとにデータを確認し、5年先までの利益予想を立てる。そして、四半期ごとに成長力が落ちてきたら、ウエイトを0.5%引き下げる。利益予想以上に買われていたら、(一部)売却。全く利益成長が期待できない場合には売却を考える。

-社員の勤続年数が長いと以前きいたが、欧州の運用会社ではそれが普通なのか?
(アルノーさん)欧州でも金融機関は人の入れ替わりは激しい。離職や転職が少ないのは稀だと思う。従業員のほぼ全員が会社の株主になっているし、独立系運用会社とうこともあり、自分の会社という意識が強いこと、頑張ることで報われるという想いがあるのではないか。

以上です。 

*2010年の12月に、コムジェストのフランス本社を訪れたことがあります(プラス機関投資家さん向けのセミナーも参加させていただきました)。そのときに、アルノー・コッセラさんにもお話をうかがいましたが、投資先企業の選定ポイントや投資先企業の例などがほとんど同じ(笑)。ブレていないなあと感じました。


日本コムジェストとセゾン投信の共同セミナー報告(その2)

2014-05-07 15:20:51 | 直販投信

続いて、コムジェスト・グループ取締役兼副CIOでヨーロッパ株式戦略のポートフォリオマネージャー、アルノー・コッセラさんからお話がありました。

①コムジェストの会社概要と運用理念

・1985年設立、株式投資に特化した独立系運用ブティック。
・残高は150億ユーロ(約2兆円)
・設立以来、同じ運用哲学で運用してきた
・社員は40名弱。
・フランス本社のほか、ダブリン、香港、東京、シンガポール、デュッセルドルフに拠点。
・欧州株は25年、エマージング株は20年の運用実績がある
・運用手法はどのファンドも共通。少数の銘柄に厳選投資を行い、長期運用をする。

・欧州は日本と共通点がある。高齢化がすすみ、全体としての成長はむずかしい。しかし、企業をみると、成長力がある素晴らしい企業がある。そこに厳選投資を行う。欧州企業はそれぞれの分野でノウハウを持った企業がたくさんある。たとえば、エルメスやルイ・ヴィトン、プラダなど。

・多くの欧州企業は、国内の戦時ア的な市場規模が限られていることから、昔(18世紀)から海外展開を進めてきた。その結果、新興国へのビジネスに早いうちから展開している会社も(ハイネケンやダノン、アディダスなど)
・マクロ経済は予測しにくい。あくまでも「個別の企業がどんなビジネスをしているか」に注目している
・3年前のセミナーではユーロに投資して大丈夫かと質問された。2年経って、欧州株式は53%上昇している(円ベースでは94%)


②投資をする企業の選定ポイントとは

・企業の成長力をみている。具体的にはEPS(1株当たりの利益)がどれだけ伸びるか、そして、配当とキャッシュフローをみる

・ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSAのポートフォリオ(組入れている企業)のEPSは(2014年は)年率10%(ユーロベース)伸びるとみている。株価の動きは短期的にはノイズ(感情などいろんな要因)に左右されるが、長期的には企業の利益にリンクして動く。14年前から投資してきた補正レンズメーカーEssilorなどがいい例だ。

・クオリティの高い、グローバル企業をどう見つけるか。共通しているのは「持続可能な売上成長があること」、そして、ユニークな商品やサービスを提供していて、価格支配力があり、利益を継続的に出していけること」。これがEPSの成長につながる。

・ただし、PERが高いときに買ってはだめで、株価が適正な水準になるまで辛抱強く待って投資を行う

・ここでいう成長企業は「メガトレンド」にのっていける企業。メガトレンドというのは、経済サイクルとは関係なく、持続的に拡大していくトレンドのこと。たとえば、
「生活様式の西欧化」→新興国の人たちの生活様式が西欧化し、使われるモノや食品、サービスなどを提供するブランドのある企業→ハイネケンやロレアル、プラダなど
「人口の高齢化」→長く生きたい(しかも小ぎれいに、健康)→補正レンズや薬品など
「デジタル化」→世の中でデジタル化が進むことで、未整理のデータを企業と消費者を結び付ける企業 などだ。

・「厳選投資」。1994年から2013年までの間、115銘柄がポートフォリオに組み入れられた(欧州6000社くらいある)。平均年6銘柄しか新たに加わっていない。

・成長力のある企業はめずらしい。(投資したら)いかに長期的に保有するか。長いものでは10年、20年と投資を続けている。たとえば、ロレアルは1991年から、SAPは1992年から投資している。
・株価は上昇していない。経済が低成長だから。個別の企業をピックアップすることが重要だと思う。企業の利益成長をとりにいく。ポートフォリオは(各社の)利益を足したもの。だから、リーマンショックの時でも(ファンドの基準価額は)あまり下がらなかった。その結果、市場平均と大きな差がついている(市場平均はあまり回復していない)

・いくつかポートフォリオ内の銘柄を紹介する

○インディテックス(スペイン)→ZARAを展開。ファストファッション。市場の反応をすぐに取り入れることができる(4週間で市場に商品を出すことができる)柔軟でユニークなビジネスモデル
○ロレアル/フランス→マーケティング戦略を積極的に展開。若い人から高齢者まで幅広い層に、商品を提供できている。健全性の高い財務体質。
○ノボノルディスク/デンマーク→インシュリンの世界的な市場シェア48%を占める、糖尿病治療の世界的な会社。中国をはじめ、これから糖尿病患者は増える見通し。
○リンツ/スイス→高級チョコレート。市場派拡大していないが、高級なものを少し食べたいという方向にマッチ。米国では年率10%の伸び
○ARM→携帯やスマートフォン向け半導体でシェア100近くを占める世界有数のチップ設計企業。


日本コムジェストとセゾン投信の共同セミナー報告(その1)

2014-05-06 22:22:02 | 直販投信

少し前になりますが、4/19(土)に日本コムジェストとセゾン投信の共同セミナーがありました。テーマは「セゾン資産形成の達人ファン組入れファンド『コムジェスト』を知る」です。

コムジェストはフランスの独立系運用ブティックで、セゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」では以下2本の投信を組み入れています。
・ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSA
・ニッポンコムジェスト・エマージングマーケッツ・ファンドSA

●まず、セゾン投信・中野社長からコムジェストを選択した理由について説明がありました。

・コムジェストとの共同セミナーは3年ぶり。ユーロ危機の時で、お客様からは「いつまで欧州に投資をしているのか」といった質問もでた。だが、逆に欧州にオーバーウエイトしてきた。資産形成の達人ファンドのパフォーマンスがよいが、その要因のひとつはみんなが見向きもしないときに投資してきたこと。

・資産形成の達人ファンドの特徴
→徹底した国際分散投資→世界的な成長にのっていく。
→相対的に割安と評価するマーケットに投資をしていく→常にアセットアロケーションは逆バリだと思ってください。ただ、安くなる要因は評価はする(欧州の価値は既存していない中で暴落していたので、買っていくチャンスとみた)
→集中投資。少数の銘柄に厳選投資するファンドに投資している。
→ファンド・オブ・ファンズ(FOF)で、マルチマネジャー制。それぞれの地域で専門性があり、我々の運用哲学と合致することが大事。(セゾン投信の)運用部の仕事は、サブファンドのファンドマネジャーを探して、デューデリ(=デューデリジェンス。投資対象に十分な価値があるのか、リスクは等々を詳細に調査すること)を行うこと。理念が合致しているかを常にみている。
・ブレを抑える運用を意識したい→値動きが抑えられている中で、安定的なリターンをあげていくことをめざす。

・コムジェストは(投資先の投信の中で)いちばん付き合いが長いが、ほぼブレがない。
・ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSAは欧州の30銘柄に投資をしている。
・業界関係者にいわせると、コムジェストは「シブイ会社」と言われる。機関投資家に支持されて成長してきた。実績のある運用ブティックである。

・会社が行っている事業の価値(どれだけお金を生み出す価値があるのか、安定的に生み出せるのか=成長)をみている。
・株価=PER(株価収益率)×EPS(1株利益)。EPSをいちばん重視。今度どの程度伸びていく見通しがあるのか。いいビジネスをやっている会社はEPSが伸びていく。安定的にキャッシュフローを生み出すビジネスか、景気の波に対して翻弄されるビジネスか。後者はICチップや銀行などで、こうしたセクターは避ける。そうすることで、景気が悪い・相場がさえないときでも、下がりにくく、ブレを抑えることができる。

・達人ファンドは約4分の1を欧州に投資している。欧州については100%コムジェストにコミットしていけばよい。

(その2に続く) 


【投信協会が運用報告書などについてパブコメを募集】

2014-05-01 20:23:25 | 確定拠出年金

投資信託協会が【「交付目論見書の作成に関する規則」及び「投資信託及び投資法人に係る運用報告書等に関する規則」等の一部改正について」】パブコメを募集します。詳しくはこちらをご覧ください。【締切は5/20まで】です。

2014年6月に「投資信託及び投資法人に関する法律」が一部改正され、運用報告書が「交付運用報告書」と「運用報告書全体(全体版)」に二段階化されます。それを受けて記載内事項や方法などが変わります。また、交付目論見書についてもリスク水準の表記などが変わります。

パブコメを書くにあたっては、読むべき資料が結構あるのですが、ぜひ目を通していただき、ご意見があれば積極的にコメントしていただきたいと思います。
少しでも今後の改善につながることを願って! よろしくお願いいたします。

昨年12月の交付運用報告書等の意見交換会に参加したときのブログはこちら。ご参考までに