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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
お金に関する情報や日頃感じたことを発信していきます。

ひふみアカデミー(2015年9月の運用報告)久々に参加(その1)

2015-10-06 23:25:27 | 直販投信

毎月開催している、レオスキャピタルワークスの「ひふみアカデミー(2015年9月の運用報告)」に久しぶりに参加しました。2015年10月1日から藤野英人さんが代表取締役社長に復帰したため、最初に挨拶がありました。

<以下、挨拶概要>
・当社は2003年に私を中心に湯浅、五十嵐と創業した。なぜか。当時の日本にはいい金融商品がなかったから。たとえば、「日本株の投信でいい投信ありますか?」と街でビジネスマンに質問しても答えられないのではないか。
・米国なら「キャピタルのAmerican Funds」「フィデリティのマゼランファンド」、「バンガードのグローバルファンド」といった声がでてくる。
・でも、同じ先進国の日本には(そういう声は)でてこない。そういうファンドができないかと思い、2008年10月1日にひふみ投信を作った。
・ただ、時期が悪かった。リーマン・ショックの後。システム投資をしたあとで残高が減り、財務的にも厳しい状況に陥った。今も大株主であるISホールディングに支えてもらい、7年やってきた。
・ひふみ投信+ふひみプラスのマザーファンドは800億円を超え、日本株ファンドではトップクラスの成績をあげることができている。
・まだ「国民ファンド」になっていないが、10年後には、東京駅で聞いても、10人中半分くらいの人は(ひふみのことを)知っていてほしい。そのためには、成績もよくて、信頼されるファンドになっていないといけない。
・社長をおりてから運用と営業をがんばってきたが、これまで以上にがんばっていきたい。

*毎月1回行われている、運用報告(ひふみアカデミー)の一部はUstream動画配信されています。報告会の一部はアーカイブされていて後から視聴することが可能です。ですので、運用報告の内容については、記載しません。興味がある方はご覧ください→こちら
(→毎月定期的に運用報告を実施。地方在住者にも配慮してインターネット配信をしている点はよいですね。資料もダウンロード可能)

*ひふみのあゆみ(運用レポート)簡易版は こちら から

*藤野さんがアベノミクスの新3本の矢について「矢ではなく的が飛んできた」と言っていたのは笑ってしまいました。


鎌倉投信 第6回「結い2101」受益者総会(その1)

2015-09-15 09:20:10 | 直販投信

去る9月5日に行われた、鎌倉投信の第6回「結い 2101」の受益者総会に参加してきました。受益者総会が開催されるのは6回目です(第6期の決算)。

受益者総会は、鎌倉投信が運用する「結い2101」の年1回の決算後に、運用会社が受益者(投信保有者)に対して運用報告を行うとともに、投資家、投資先企業、運用者が一堂に会する場、と説明されています。鎌倉投信は第1期の決算からこの受益者総会を継続的に開催しています。自分たちが投資したお金がどういう会社に投資されているのかを投資先企業の講演やパネルディスカッション、企業展示などを通して肌で感じてもらう場をつくりたい、というこだわりが感じられます。

今年の総会は京都・国立京都国際会館で行われました。毎回テーマが設定されていますが、今回は「~循環型社会創造元年~京都議定書が交わされたこの地で、民間の力で循環型社会を再構築する」でした。
12時30分~17時まで行われた受益者総会の内容は以下の通りです。

■プログラム
・鎌田恭幸代表取締役社長による挨拶
・新井和宏取締役・資産運用部長による「結い2101」の決算・運用報告
(後半はダックス四国=投資先であるエフピコの特例子会社の且田久雄社長との対談)

・投資先のひとつである日本環境設計株式会社 代表取締役 岩元美智彦氏の講演
・パネルディスカッション(トビムシ竹本吉輝氏、IKEUCHI ORGANIC池内計司氏、マイファーム西辻一信氏、パタゴニア篠健司氏)*パタゴニアは投資先ではありません

そのほか、午前10時から投資先企業などの企業展示もあり、開演前や、総会の休憩時間に自由に企業ブースをみられるようになっています。企業ブースには各企業の担当者がいるので、商品・サービス、取り組みなどを直接聴くことができますし、実際に商品等の展示・販売している会社もあります。午前中には資産運用部長・新井さんが企業展示のブームを回るツアーもありました。新井さんが各社のいいところや新しい試みなどを解説、その後、各社の担当者から想いや商品・サービスの説明やPRなども。

*企業展示には、投資していないけれど、応援している企業やNPOのブースなどもはあります。良いことだと思いますが、一方で投資先の会社も増えてきたので、できれば、現在投資している会社の展示を増やしてほしいです(要はバランスの問題なのでしょうが…)。特に上場企業の展示は少ない気がしました(今年はカヤック、前田工繊、カゴメ、アニコムホールディングス、エフピコの5社)。

以下、ポイントのみまとめました。

■鎌田社長のあいさつ
・受益者総会は(投資先の)会社が主役、お客様が主役。
・6期の決算時、受益者は1万3427人、純資産総額は191億円になった。

・あっという間の5年半だった。その間、ギリシャショックや東日本大震災など、平坦な道のりではなかった。ここまでこられたのは、寄り添ってくれるお客様があってこそ。一番印象に残っているのは東日本大震災。こういう時だからと、日本の企業を応援したいとたくさんの方が投資してくれた。祈りにともいえるお金だった。

・「純粋な独立系の運用会社」としてやっていきたい。会社を作るときもそれを大切にしたいと思ってきた。海外でも100年を超えて続いているのは(販売会社の資本系列に属なさい)純粋な独立系の運用会社。投資哲学を貫けるのはそうした運用会社だと思う。

・日本の投信の現状について、販売会社の投信の販売の在り方などが問題視されている。だが、それは本質的な問題ではない。我々運用会社の問題だ。鎌倉投信はいい会社を増やそうと思ってやってきた。商品の質にこだわって、魂を込めて運用をする。(そして)質の高い商品を提供し続けていきたい。

・今年のテーマは「循環型社会創造元年」。(受益者総会は)単なる運用報告ではなく、いい会社とつながることで、いい会社をふやしたい。3つ「わ(和、話、輪)」が鎌倉投信の信条だ。
・1人ひとりの力は微力だが、無力ではない。今日はいろんなことを感じながら、自分にできることは何かを考えてほしい

<ご参考>直販リレーブログ|「独立系の運用会社」であること

(その2)に続く…


セゾン投信 第8期運用報告会(その3)

2015-02-05 16:20:47 | 直販投信

運用部長の瀬下さんの運用報告のあと、質疑応答がありました。

-- 交付運用報告書(*)に記載されたセゾンバンガード・グローバルバランスF、資産形成の達人Fの「1万口当たりの費用明細」について。両ファンドはファンド・オブ・ファンズ(以下FOF)だが、ここに記載されている費用・比率は、投資先のファンドを含めていない。組み入れたファンドの信託報酬等を加えた実質的な費用は(金額・比率)はどのくらいになるのか? また、運用報告書の全体版(*)などには記載されているのか?

A.運用報告書の全体版も含め、(投資先ファンドを含めた実質的な費用は)記載していません。投資先のファンドを含めた「1万口当たりの費用明細」についてはわかりません。

―― 交付運用報告書の「当ファンドのデータ」(セゾンバンガード・グローバルバランスFの10P、資産形成の達人Fの11P掲載)の国別、通貨別配分は実際の投資先の配分ではなく、投資先ファンドが設定された国、通貨の配分になっているようだが…。これでは、ファンドが実際に投資している国・地域、通貨の比率といった全体像がまったくわからない。全体版などで開示しているのか、開示していないのであれば、開示してほしい。

A.全体版でも開示はしていません。

―― (資産形成の達人Fで)コモンズ30ファンドを売却した理由についてもう少し詳しく教えてください。

A.アナリストが辞めたり、運用担当者が変わったりして体制が変わった部分があり、デューデリを行った。銘柄選択についてはあまり変わっていなかったが、例えば、現金比率の調整を大きく行うようになった。例えば、(以前は)円現金5%以内にしていたのが、(現金比率が)10%を超えることもあった。つまり、マクロ経済をみて(現金比率を調整していると)判断した(-補足。資産形成の達人Fは「企業価値に対して割安な価格で購入することができれば、途中の株価に関わらず、長期的には収益をあげることができる」「マクロ経済や株式、為替市場の予測に頼らない」という哲学なので、組み入れ投信として合わなくなったと判断したようだ)。また、売買回転率が高くなった点も気になった。ただ、今後もウォッチはしていく。

<補足>
金融庁が平成24年12月に公表した『投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ 最終報告』を受けて、運用報告書については2014年12月決算のものから「交付運用報告書」と「運用報告書」の全体版に2段階化されました。セゾン投信の2つの投信の決算は12月10日なので、運用報告会で配布されたのは「交付運用報告書」になります。運用報告書(全体版)についてはホームページに掲載されています。より詳しい内容を見たい人はそちらをご覧ください。

セゾンバンガード・グローバルバランスF
資産形成の達人F


セゾン投信 第8期運用報告会(その2)

2015-02-03 19:25:53 | 直販投信

セゾン投信の第8期運用報告会の続きです。後半は、運用部長の瀬下哲雄さんから、交付運用報告書と、投影したパワーポイントをもとに、2本の投信についての第8期の運用報告がありました。 

<セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド>

■期中の株式、債券、為替の状況
-株式市場は、北米を中心に上昇基調。ただし、ドル建てでみると、北米を除いてマイナス。
-原油価格の低下により、将来のインフレ観測が低下。債券市場:各市場の金利が低下
-金融政策の違いや資源価格の下落などを受けて、ドルがほぼすべての通貨に対して上昇

■期中の基準価額の推移
-期中の騰落率:+19.51%(1万1347円→1万3561円)
-新興国株以外はすべて上昇要因となった。上昇のうち、為替と投資先ファンドの影響は半々。

■1万口当たりの費用明細
-大きな変化はない。今年から概算だが、比率も表示されるようになった。
-1万口当たりの費用明細合計額は60円(0.505%)
 (→この数値は組み入れているファンドの費用を含んでいない点は注意)

■過去5年間の基準価額等の推移
-2期連続下落の後、3期連続で上昇(3期連続でファンド、為替がともに上昇した)。
-ベンチマークがないため、MSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(配当込)とバークレイズ・グローバル国債:G7インデックスを50%ずつ組み合わせた合成指数を参考指数として掲載。

■運用経過と結果
-証券税制の軽減税率の廃止等の影響により解約が増加した局面においては、定められた比率に従い、ファンドの解約を行ったほか、株式と債券の比率が乖離した局面では、比率の高まったファンドを売却し、比率の低下したファンドを購入することでリバランスを実行した。
-すべてのファンドについて購入と売却を行った
-購入額合計が約108億円、売却額合計が約34億円
-ファンドの売買回転率20%(純流入は約11%)

-株式市場と債券市場がともに上昇する中、株式市場の上昇率が相対的に高めとなる局面が多かったため、債券ファンドへの投資を継続的に実施し、株式市場の調整局面を中心に株式ファンドへの投資を行った。
-期末ファンドの組み入れ資産は、米国株27%(前期末25%)、欧州株12%(同13%)、日本株4%(同4%)、太平洋株2%(同2%)、新興国株6%(同6%)、米国債22%(同21%)、欧州債19%(同19%)、日本債8%(同9%)


<セゾン資産形成の達人ファンド>

■期中の基準価額の推移
-期中の騰落率:+25.25%(1万2743円→1万5960円)
-米国の金融引締や中国経済の減速懸念などで下落する局面はあったが、上昇基調。10月末の緩和で一段と上昇。
-ファンド、為替がともに上昇。投資先のファンドはT.ロウ・プライス米国大型グロースファンドとコモンズ30ファンド(2014年4月までに全て売却)を除き、参考指数を上回った。特に、コムジェストヨーロッパ、コムジェストエマージングの2ファンドが、米国オポチュニティファンドが上昇に寄与。

■1万口当たりの費用明細
-大きな変化はない。
→1万口当たりの費用明細合計額は79円(0.584%←期中平均基準価額は1万3560円)
*ただし、組み入れているファンドの費用を含んでいない点は注意

■運用経過と結果
-コモンズ30ファンドを全売却したほか、2013年12月の軽減税率の廃止に伴う解約を受けて、4投信を一部売却。
-購入額合計が約46億円、売却額合計が約11億円
-売買回転率は40%(純流入が約30%)

■投資している投信について
-定量的なパフォーマンスは参考。投資哲学と戦略の一貫性を重視する
-資産形成の達人ファンドの投資哲学は「企業価値に対して割安な価格で購入することができれば、途中の株価に関わらず、長期的には収益をあげることができる」「マクロ経済や株式、為替市場の予測に頼らない」

■期末のファンド組み入れ資産
-北米45%(前期末43%)、欧州27%(同28%)、日本13%(同18%)、日本除く太平洋1%(同1%)、新興国14%(同10%)
―今期の純投資額は欧州の株式市場への投資額が全体の40%強と最も多くなったほか、米国が35%、新興国が25%程度となる一方、日本への投資はコモンズ30ファンド売却額がスパークス・長期厳選、スパークス・集中投資、TMA長期投資ファンドを合わせた購入額を上回り、5%ほど減少。
-当期の新規組入れ投信はない。来期には新規ファンドを組み入れを行う予定。準備が整った段階で受益者に報告したい。

(その3)へ続く
 
セゾン投信 第8期運用報告会(その1)はこちら 


セゾン投信 第8期運用報告会(その1)

2015-01-29 14:47:49 | 直販投信

昨日(2015.1.28)セゾン投信の第8期運用報告会がありました。セゾン投信は毎年、受益者(投信の保有者)に向けて運用報告会を行っていますが、それに先駆けてメディア・FP向けに報告会を開催しています。

 まずは、マーケティング部長の津田さんよりセゾン投信2014年の振り返り。
・「社員(25名)が選んだセゾン投信5大News」発表(受益者向け運用報告会でも発表すると思いますので結果は差し控えます)。
・2月から日本全国の郵便局で「セゾン投信と提携したよ」という案内が出る予定。
・口座開設が最も少なかった2009年3月は271件/月だったが、最近はコンスタントに1000件/月を超える申し込みがある。
・NISA口座は1万件を突破(NISA口座は60%以上が30~40歳代)
・お客様の男女比→男性66.4%、女性33.6%。 

<今期の振り返り>
 続いて、中野晴啓社長から「第2ステージに入ったセゾン投信」と題して、今期の振り返りと来期についてのお話です。

・2014年はいい年だった。これまでに苦労がこの1年で報われた感がある。人生の中で最大の幸せを感じている。
・資金流入に加え、値上がりもあり、1年で純資産総額は330億円プラス。お客様も1年で1万4000人増えた。
・3月の決算では3000万円程度のネット利益が出る見通し。安定したキャッシュフローを生み出せる土台ができた。
・お客様のうち、約6割(約5万人)が積み立てを行っている。これは当社の強み(日本で一番積み立てが多いと自負していたが、NISA開始後に野村証券での投信積み立てが急増し、今では一番ではない…。それでも多くの方が積み立て投資をしてくれている)。
・NISAは1万1000口座。口座開設者の約7割が40歳代以下。ほぼ100%の稼働率)。独立系直販投信の中でも最も成果を挙げられた。

・当初「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」に比べて影が薄かった「資産形成の達人ファンド」が大健闘。「R&Iファンド大賞2014」で最優秀ファンド賞を受賞。「シャープレシオ」で評価するというシンプルな評価で、運用の現場としてもこの賞を取りたいと思っている人が多い。連続受賞投信は少数なので、2年、3年と継続して受賞できるようにしたい。
・「1億人の投信大賞」(→くわしくはこちら)でも達人ファンドが先進国部門で部門賞をいただいた。2年目でまだ地味な賞だが、評価方法については非常に納得できるものだ。
・「セゾン・バンガード・グローバルバランスF」は「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the year 2014」で3位に入賞。2007年に大賞を受賞してからはずっと順位が下がってきていたが、NISAがスタートしたことで、まっとうな投信に少しずつではあるがスポットが当たるようになってきた。セゾン投信の商品についても再評価を受けた。

・日本郵便との提携については、セゾン投信が7年半にわたって積み上げてきたことを評価していただいた。高橋社長には「これまでやってきたことを続けてほしい」「これまでの価値を守ってほしい」「成長を加速するために日本郵便のインフラ、コミュニティを活用してほしい」と言われている。今後の日本郵便で販売を行うことはない。3~5年かけて、セミナーを行ったり、冊子を作ったり…まっとうな長期投資家を作れるかどうかだと思っている。

<来期の見通し・戦略について>
①ファンドのコストを少しでも削減していく努力をしたい。来期はさらに利益がでる見通しなので、検討の準備に入る。(コスト引き下げは)当初から望んでいることだし、受益者のためにもなると考えている。

②人員強化をしたい(5名程度)。専門性もあるが、それ以上に、心が温かい、人の幸せを自分と同じように考えられる人に来てほしい。また、(今いる)スタッフがずっと安心してセゾン投信の成長を喜べる人事制度をつくりたい。1/16付でバンガード・インベストメンツ・ジャパンから1名をお客様対応チームのヘッドとして採用した。

③直販モデルの強化。既存金融機関との明確な差別化を行いたい。一方で、セゾン投信の価値を100%理解してくれる相手とは外販(販売会社を通して販売すること)も選択肢として検討。なかでも地銀に注目している。地銀再編の中で、地元の人たちを長期投資に導いてくれる会社があれば、パートナーシップを組む可能性もあり。

④DC(確定拠出年金)に参入したい。1つ足がかりができた。星野リゾートが企業型DCを導入。その商品のひとつに「セゾン・バンガード・グローバルバランスF」が入る。社員に向けての長期投資の啓蒙なども期待されている。当初は運営管理機関になることも考えていたが、まずは商品提供から。そして、個人型DCにどれだけ入れるかどうか、だ。

<質疑応答>
このあと、質疑応答がありました。

--地銀を選ぶ際に「真贋」とおっしゃっていたが、どう判断するのか?
A.地銀の対応は「地元経済の発展を助け、地域の人たちの自立をお手伝いしようとする」か「ピンハネを続けるのか」の2つにわかれる。当然、組みたいのは前者。前者の地銀であれば、投信販売が抜本的に変わることもありえる。ただ、外販についてはまったく焦っていない。あくまでも100%価値を共有できるとことがあれば、考えたい。

 ――職場積み立てNISAについてはどう考えているか、ジュニアNISAについての対応は?
A.職場積立NISAについて。私見だが、おそらく大手金融機関による優越的地位の乱用になりかねないのではないか。積極的なのは大手金融機関の一部だ。セゾン投信はそのルールの範疇でやってく必要はないし、あまり価値はおいていない。ジュニアNISAについては、制度の恒久化が前提。途中で終わってしまっては元も子もない。

――外販(販売会社経由で販売)する場合、ノーロードを考えているのか?
A.購入時手数料をとるところとは提携しない。販売手数料は存在する意義がないと思っている。この辺は草食投資隊の他の2社(レオス・キャピタルワークスやコモンズ投信)とは意見が異なるかもしれない。

(その2に続く)


鎌倉投信・結い2101が100億円達成

2014-07-03 23:50:36 | 直販投信

独立系直販投信のひとつ、鎌倉投信が運用する「結い2101」の純資産総額が7月1日に100億円を突破しました。設定から4年3カ月で大台にのりました。

独立系投信の草分け、さわかみ投信が誕生してから15年。先日、ありがとう投信が通期黒字化。レオス・キャピタルワークス、セゾン投信も通期黒字化が射程内に入ってきました。そして、今回、鎌倉投資が100億円に達したことで、独立系直販投信もようやく厚みがでてきたように感じます。

長期投資をうたうのであれば、運用会社の黒字化→経営の安定は大前提。その上で、運用理念、投資プロセスに沿った運用・実績が伴ってこそ、だと思います。鎌倉投信の100億円はひとつの通過点だと思いますが、当初の理念とブレることなく、このまま突き進んでほしいですね。


日本コムジェストとセゾン投信の共同セミナー報告(その3)

2014-05-07 16:02:46 | 直販投信

最後に、トークセッションの内容を抜粋してリポートします。

(中野さん)達人ファンドの4分の1をアルノーさんが運用している。そして、一度も解約をしたことはない。

 (アルノーさん)優良な企業に長期的に投資することを考えたほうがよい。株式市場は素晴らしい会社だと認めるのに時間がかかる。皆さんがセゾン資産形成の達人ファンドにお金を出すと、(コムジェストの投信を通じて)投資先の企業に投資をし、そのリターン・配当がファンドのゾン資産形成の達人ファンドパフォーマンスに跳ね返ってくると思ってください。

一例として、1919年に上場したコカ・コーラは利益成長は10.5%だが、株価は4000倍になっている。この利益と株価の差は複利効果。配当を再投資していくので、長期的に資産が拡大していく。いい企業はあるが、知られていない会社も多い。我々はいい企業に投資していきたいし、そのパフォーマンスをセゾン資産形成の達人ファンドを通して還元していきたい。

(中野)リサーチはどうしているのか?

(アルノー) アナリストは現場に行くこと、現場を理解することが大事。四半期ごとに投資先の企業とMTGを行うだけでなく、その会社の顧客や競争相手などもリサーチしている。グローバル企業が多いので、アジアや南米の工場まで出かけていくこともある。

(中野)会社の価値・理念はどう引き続くのか?

(アルノー)長期投資ということは20年、30年と投資をしていくわけで、理念は継続しないといけない。コムジェストの第一世代(創業者2名)はすでに引退しており、我々第二世代が引き継いでいる。そして、第三世代についても、若いうちから運用理念を叩きこんでいる。また、そうできるできるように、運用チームも、シニア、中堅、若い層と幅広い年齢層でチームを組むようにしている。
 

<Q&A>
-売りのタイミングは?
(アルノーさん)知識と辛抱強さが必要。ビジネスについて理解する、その先に確信度。株価が割高か割安か。割高であれば、1年でも2年でも待てる。株価が30%下げても、ビジネス的に揺るぎがないと思ったら、投資し続ける。

―成長予想が外れたときの基準は?
(アルノーさん)四半期ごとにデータを確認し、5年先までの利益予想を立てる。そして、四半期ごとに成長力が落ちてきたら、ウエイトを0.5%引き下げる。利益予想以上に買われていたら、(一部)売却。全く利益成長が期待できない場合には売却を考える。

-社員の勤続年数が長いと以前きいたが、欧州の運用会社ではそれが普通なのか?
(アルノーさん)欧州でも金融機関は人の入れ替わりは激しい。離職や転職が少ないのは稀だと思う。従業員のほぼ全員が会社の株主になっているし、独立系運用会社とうこともあり、自分の会社という意識が強いこと、頑張ることで報われるという想いがあるのではないか。

以上です。 

*2010年の12月に、コムジェストのフランス本社を訪れたことがあります(プラス機関投資家さん向けのセミナーも参加させていただきました)。そのときに、アルノー・コッセラさんにもお話をうかがいましたが、投資先企業の選定ポイントや投資先企業の例などがほとんど同じ(笑)。ブレていないなあと感じました。


日本コムジェストとセゾン投信の共同セミナー報告(その2)

2014-05-07 15:20:51 | 直販投信

続いて、コムジェスト・グループ取締役兼副CIOでヨーロッパ株式戦略のポートフォリオマネージャー、アルノー・コッセラさんからお話がありました。

①コムジェストの会社概要と運用理念

・1985年設立、株式投資に特化した独立系運用ブティック。
・残高は150億ユーロ(約2兆円)
・設立以来、同じ運用哲学で運用してきた
・社員は40名弱。
・フランス本社のほか、ダブリン、香港、東京、シンガポール、デュッセルドルフに拠点。
・欧州株は25年、エマージング株は20年の運用実績がある
・運用手法はどのファンドも共通。少数の銘柄に厳選投資を行い、長期運用をする。

・欧州は日本と共通点がある。高齢化がすすみ、全体としての成長はむずかしい。しかし、企業をみると、成長力がある素晴らしい企業がある。そこに厳選投資を行う。欧州企業はそれぞれの分野でノウハウを持った企業がたくさんある。たとえば、エルメスやルイ・ヴィトン、プラダなど。

・多くの欧州企業は、国内の戦時ア的な市場規模が限られていることから、昔(18世紀)から海外展開を進めてきた。その結果、新興国へのビジネスに早いうちから展開している会社も(ハイネケンやダノン、アディダスなど)
・マクロ経済は予測しにくい。あくまでも「個別の企業がどんなビジネスをしているか」に注目している
・3年前のセミナーではユーロに投資して大丈夫かと質問された。2年経って、欧州株式は53%上昇している(円ベースでは94%)


②投資をする企業の選定ポイントとは

・企業の成長力をみている。具体的にはEPS(1株当たりの利益)がどれだけ伸びるか、そして、配当とキャッシュフローをみる

・ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSAのポートフォリオ(組入れている企業)のEPSは(2014年は)年率10%(ユーロベース)伸びるとみている。株価の動きは短期的にはノイズ(感情などいろんな要因)に左右されるが、長期的には企業の利益にリンクして動く。14年前から投資してきた補正レンズメーカーEssilorなどがいい例だ。

・クオリティの高い、グローバル企業をどう見つけるか。共通しているのは「持続可能な売上成長があること」、そして、ユニークな商品やサービスを提供していて、価格支配力があり、利益を継続的に出していけること」。これがEPSの成長につながる。

・ただし、PERが高いときに買ってはだめで、株価が適正な水準になるまで辛抱強く待って投資を行う

・ここでいう成長企業は「メガトレンド」にのっていける企業。メガトレンドというのは、経済サイクルとは関係なく、持続的に拡大していくトレンドのこと。たとえば、
「生活様式の西欧化」→新興国の人たちの生活様式が西欧化し、使われるモノや食品、サービスなどを提供するブランドのある企業→ハイネケンやロレアル、プラダなど
「人口の高齢化」→長く生きたい(しかも小ぎれいに、健康)→補正レンズや薬品など
「デジタル化」→世の中でデジタル化が進むことで、未整理のデータを企業と消費者を結び付ける企業 などだ。

・「厳選投資」。1994年から2013年までの間、115銘柄がポートフォリオに組み入れられた(欧州6000社くらいある)。平均年6銘柄しか新たに加わっていない。

・成長力のある企業はめずらしい。(投資したら)いかに長期的に保有するか。長いものでは10年、20年と投資を続けている。たとえば、ロレアルは1991年から、SAPは1992年から投資している。
・株価は上昇していない。経済が低成長だから。個別の企業をピックアップすることが重要だと思う。企業の利益成長をとりにいく。ポートフォリオは(各社の)利益を足したもの。だから、リーマンショックの時でも(ファンドの基準価額は)あまり下がらなかった。その結果、市場平均と大きな差がついている(市場平均はあまり回復していない)

・いくつかポートフォリオ内の銘柄を紹介する

○インディテックス(スペイン)→ZARAを展開。ファストファッション。市場の反応をすぐに取り入れることができる(4週間で市場に商品を出すことができる)柔軟でユニークなビジネスモデル
○ロレアル/フランス→マーケティング戦略を積極的に展開。若い人から高齢者まで幅広い層に、商品を提供できている。健全性の高い財務体質。
○ノボノルディスク/デンマーク→インシュリンの世界的な市場シェア48%を占める、糖尿病治療の世界的な会社。中国をはじめ、これから糖尿病患者は増える見通し。
○リンツ/スイス→高級チョコレート。市場派拡大していないが、高級なものを少し食べたいという方向にマッチ。米国では年率10%の伸び
○ARM→携帯やスマートフォン向け半導体でシェア100近くを占める世界有数のチップ設計企業。


日本コムジェストとセゾン投信の共同セミナー報告(その1)

2014-05-06 22:22:02 | 直販投信

少し前になりますが、4/19(土)に日本コムジェストとセゾン投信の共同セミナーがありました。テーマは「セゾン資産形成の達人ファン組入れファンド『コムジェスト』を知る」です。

コムジェストはフランスの独立系運用ブティックで、セゾン投信の「セゾン資産形成の達人ファンド」では以下2本の投信を組み入れています。
・ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSA
・ニッポンコムジェスト・エマージングマーケッツ・ファンドSA

●まず、セゾン投信・中野社長からコムジェストを選択した理由について説明がありました。

・コムジェストとの共同セミナーは3年ぶり。ユーロ危機の時で、お客様からは「いつまで欧州に投資をしているのか」といった質問もでた。だが、逆に欧州にオーバーウエイトしてきた。資産形成の達人ファンドのパフォーマンスがよいが、その要因のひとつはみんなが見向きもしないときに投資してきたこと。

・資産形成の達人ファンドの特徴
→徹底した国際分散投資→世界的な成長にのっていく。
→相対的に割安と評価するマーケットに投資をしていく→常にアセットアロケーションは逆バリだと思ってください。ただ、安くなる要因は評価はする(欧州の価値は既存していない中で暴落していたので、買っていくチャンスとみた)
→集中投資。少数の銘柄に厳選投資するファンドに投資している。
→ファンド・オブ・ファンズ(FOF)で、マルチマネジャー制。それぞれの地域で専門性があり、我々の運用哲学と合致することが大事。(セゾン投信の)運用部の仕事は、サブファンドのファンドマネジャーを探して、デューデリ(=デューデリジェンス。投資対象に十分な価値があるのか、リスクは等々を詳細に調査すること)を行うこと。理念が合致しているかを常にみている。
・ブレを抑える運用を意識したい→値動きが抑えられている中で、安定的なリターンをあげていくことをめざす。

・コムジェストは(投資先の投信の中で)いちばん付き合いが長いが、ほぼブレがない。
・ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSAは欧州の30銘柄に投資をしている。
・業界関係者にいわせると、コムジェストは「シブイ会社」と言われる。機関投資家に支持されて成長してきた。実績のある運用ブティックである。

・会社が行っている事業の価値(どれだけお金を生み出す価値があるのか、安定的に生み出せるのか=成長)をみている。
・株価=PER(株価収益率)×EPS(1株利益)。EPSをいちばん重視。今度どの程度伸びていく見通しがあるのか。いいビジネスをやっている会社はEPSが伸びていく。安定的にキャッシュフローを生み出すビジネスか、景気の波に対して翻弄されるビジネスか。後者はICチップや銀行などで、こうしたセクターは避ける。そうすることで、景気が悪い・相場がさえないときでも、下がりにくく、ブレを抑えることができる。

・達人ファンドは約4分の1を欧州に投資している。欧州については100%コムジェストにコミットしていけばよい。

(その2に続く) 


鎌倉投信の運用報告会・2014年春(その2)

2014-04-13 17:37:45 | 直販投信

参加者からの質問とそれに対する新井さんからのお答えです。

――投資先が100社になるのはどれくらいかかるのか?
・相場の状況によっても変わってくるが、組入れのペースから考えて、2年くらいで100社になると思っている。
・投資先が増えて運用管理体制は大丈夫かと思われるかもしれないが、10/1からもう1名増える予定(今は勉強をさせている)。そうなれば、組入れ銘柄が増えても大丈夫だ。
・対話をする中で、この投資先で大丈夫かということはある。担当や社長が交代することもあるし、スタンスが変わることもある。そういう意味では、投資先は増えることもあるが、減る可能性もある。

――投資先のメンテナンスはどうなっているのか? 会社の決算説明会などは新井さん1名では回れないのでは?
・(時間が空いていたら参加することもあるが)基本、決算説明会には行かない。決算数字などはネットでもみられる。社長の健康状態などは確認できるが(笑)、実がないと思っている。
・経営の方向感、方針の変化などをつかむことが大事で、そのためには直接会って「対話」することが必要。そのため、個別にアポイントをとって訪問している。頻度は規模によっても違い、未上場企業などは月に1度のペースで訪問するし、大きい会社は年に1回程度。

――金融機関からの資金も入っているということだが、大口の資金が入ってくることで、運用が不安定になることはないのか?
・金融機関の場合、1社当たりの投資額は純資産総額の10%を上限と決めているし、リスク管理やシミュレーションは行っている。分散もしている。また、例えば3月に投信を売って益出しするような金融機関さんとはお付き合いしない。副次的な効果としては、いい会社を教えてもらえるケースもある。
・お客様も分散したい。個人投資家のかたが毎月1万円の積み立てをすると黒字化するのに3年程度かかる。大口の顧客をふやすことで(経営的にも)安定する。最近は財団なども含め、顧客の分散もはかっている。ただし、「価値観を共有できる」ことが前提だ。 

――以前、鎌田社長に「ウォール街のランダムウォーカー」「敗者のゲーム」「インデックス・ファンドの時代」を読むことを薦められたが、それを読むことで何がわかるのか?
・本ではアクティブファンドのほとんどはインデックスファンドに勝てないということを言っている。ほとんどのアクティブファンドのファンドマネジャーは「それは違う」というかもしれないが、私もそう思う。
・では、なぜアクティブファンドの運用をしているのか。日本以外の市場であれば、インデックスファンドでいいと思っている。他の先進国株のインデックスは上昇してきたからだ。
・だが、日本のマーケット自体に成長はないと思った。日本には課題があり、リスクをとってもリターンが上がらない(=TOPIXについていってもあがらない)。 そこで、社会的課題の解決に取り組む企業だけに投資をしたい。インデックスが上がらないという前提の中で、日本をあきらめず、日本を応援するという観点でアクティブファンドを運用している。だから、結い2101は”第3基軸”と思っていただけるとよいのではないか。

――未上場企業の社債への投資。満期後の対応は?
・資金需要が明確になっている場合にはお金を出す。条件を提示して、必要なお金を必要なだけ出す形にしている。
・償還後は状況によって変わるだろう。10年後に株で買えるようになっているかもしれないし、再び債券かもしれないし、ニーズがないかもしれない。個人的には株で応援できるようになっているとよいとは思う。

以上です。